2025年10月4日、高市早苗氏が日本の自由民主党の新しい党首に選出された。同氏は10月15日の臨時国会で、日本初の女性首相に指名される見込み。
成長志向で財政積極派として知られる高市氏の経済政策は、デフレ脱却と経済拡大の推進を優先している。暗号資産について明確な発言はしていないが、同氏の財政姿勢と野党との協力の可能性が、長らく日本のデジタル資産業界が期待してきた暗号資産の税制改革に影響を与える可能性がある。
Sponsored日本の鉄の女:高市氏のプロフィール
高市氏は、故英国首相マーガレット・サッチャーを長年にわたり敬愛している。同氏の敬愛は、「鉄の女」像に関連する野望を実現することに近づけている。
1961年生まれの高市氏は、神戸大学経営学部を卒業し、松下政経塾で研修を受け、米国議会フェローとして実務経験を積んだ。テレビ放送局で働いた後、1993年に衆議院議員に初当選し、現在10期目を務めている。
政治家として、総務大臣や経済安全保障担当大臣、内閣府特命担当大臣などの要職を歴任。安倍政権下で中心的な役割を果たし、経済政策と安全保障政策に影響力を示した。
自民党党首に選出された後、同氏は「皆さんに馬車馬のように働いてもらう。ワークライフバランスの概念を捨てる」と述べ、決意を強調した。
Sponsored Sponsored石破元首相との対照的な立場
高市氏の暗号資産とWeb3へのアプローチは、前首相の石破氏とは異なる。2025年8月、石破氏は国内最大のWeb3会議であるWebX2025でWeb3とブロックチェーン技術を支持する意向を示した。しかし、2024年12月の国会で暗号資産の別課税について質問された際、石破氏は慎重な姿勢を示し、一部の業界関係者を失望させた。
石破氏は公の場で前向きな発言をしたものの、具体的な税制改革を進めることには消極的だった。高市氏は暗号資産政策について具体的な発言をしていないが、同氏の積極的な財政アプローチと減税志向は、間接的にこの分野の改革を支援する可能性がある。
野党協力と税制改革の可能性
暗号資産税制改革の可能性を左右する重要な要素は、高市氏の野党への政策である。同氏は、日本維新の会や国民民主党との協力を強化する意向を示しており、これらの党は歴史的に暗号資産税制改革を支持してきた。
国民民主党は歴史的に暗号資産税制改革を支持してきた。党首の玉木雄一郎氏は、前首相の石破氏の慎重な姿勢に失望を表明した。日本維新の会も規制緩和と税制改革に前向きである。高市氏がこれらの野党との協力を強化すれば、より広範な減税政策の一環として暗号資産税制改革を実施する可能性が高まる。
2025年8月29日、金融庁(FSA)は正式に2026年度の暗号資産課税の見直しを要請した。提案された措置には、暗号資産の利益を株式と同様に約20%の分離課税にすること(現在の最大55%の累進課税率と比較して)や、損失の繰越控除を最大3年間認めることが含まれている。政府の「新しい資本主義グランドデザイン2025改訂版」には、分離課税の検討が明記されている。高市氏が野党との協力を深め、減税を優先すれば、これらの改革は2026年の通常国会で実現する可能性がある。
トランプ氏訪日:暗号資産政策への影響
高市氏の最初の重要な外交政策の課題の一つは、10月下旬に予定されているトランプ米大統領の訪日である。トランプ氏は10月27日頃から3日間日本を訪問する予定であり、この訪問中に高市氏との初の首脳会談を行う。
Sponsored2025年1月に就任して以来、トランプ氏は米国を暗号資産の世界的な中心地にする意向を表明し、ビットコインの戦略的備蓄の構築や暗号資産諮問委員会の設立などの政策を実施している。両首脳の成長志向の視点が一致すれば、会談中に経済政策の調整が可能となるかもしれない。しかし、高市氏の保守的な価値観が、トランプ氏の暗号資産イニシアチブとの整合性に影響を与える可能性がある。ビットコインの備蓄や暗号資産の規制緩和に関する議論は、日本の暗号資産業界にとって重要な指標となる。
不確実性と潜在的影響
高市氏の暗号資産政策に関しては依然として多くの不確実性が残っている。同氏の主な焦点は、伝統的な産業政策や国家安全保障にあるかもしれない。内閣の人事が重要な要素である。加藤勝信財務大臣の留任は政策の継続性を維持する可能性があるが、加藤氏は石破政権下で暗号資産問題にあまり関与しておらず、大きな変化を制限する可能性がある。平井卓也デジタル大臣も暗号資産やWeb3に関する具体的な立場を明確にしていない。
高市氏の積極的な財政政策は、潜在的に負の影響を及ぼす可能性がある。政府の積極的な支出がインフレを加速させ、日本銀行が金融政策を引き締める可能性があり、暗号資産を含むリスク資産にとって逆風となるかもしれない。同氏の保守的な志向が、マネーロンダリングやテロ資金供与に対する厳格な措置につながる可能性がある。さらに、半導体や伝統的な製造業への関心が、暗号資産やWeb3の優先順位を下げる可能性がある。
自民党総裁に高市氏が選出されたことは、日本の暗号資産業界にとって転機となる。野党との協力強化や税制緩和の姿勢は、分離課税や損失繰越といった長年求められてきた改革の機会を生む可能性がある。しかし、同氏の暗号資産への直接的な関与の限界、規制強化の可能性、財政政策のリスクも不確実性を生む。閣僚の任命、野党との調整、10月下旬のトランプサミットの結果が業界の未来に影響を与える重要な要素となる。