石破茂首相は7日、米国との貿易交渉の完了と党内分裂回避を理由に辞任を発表した。首相の退任により、近日中に総裁選が行われることになる。
石破首相の辞任はある程度想定されていたが、政府の経済方針、特に暗号資産規制やデジタル産業政策に不確実性が生じている。これらは同氏の政権下で勢いを増していた。
Sponsored石破氏、圧力の高まりで辞任
石破首相は7日に辞任することを確認し、予想より早く任期を終えることになった。石破氏は同日、首相辞任に伴う総裁選を実施し、首相は自らの立候補はないと語った。
退陣表明によって8日に予定していた自民党総裁選を前倒しするか否かを判断は必要なくなった。石破氏は、米国との貿易交渉の終了に合わせて決断したと述べた。トランプ米大統領が自動車関税を引き下げる大統領令に署名したばかりだった。
石破首相の辞任表明は、日本の政治的混乱を反映している。与党が7月の参議院選挙で大敗した後、野党や自民党内の多くの議員が石破氏の辞任を求めた。9月2日には、森山裕幹事長を含む4人の党幹部が同時に辞任し、首相は政治的に孤立した。
暗号資産とデジタル政策への影響
石破氏の退任は、日本の暗号資産およびWeb3エコシステムに影響を与えることが考えられる。8月下旬、同氏は東京で開催されたWeb3イベントで講演し、ブロックチェーンやAIのようなスタートアップが日本の経済成長と社会的課題の解決に不可欠であると強調した。同氏はデジタル分野への投資と規制改革の継続的な支持を示していた。
しかし、自民党総裁・次期首相の選出が間近に迫る中、政策の方向性は不透明となりかねない。高市早苗元経済安全保障担当大臣との小泉進次郎農林水産大臣が有力候補として浮上している。
日本経済新聞が8月末に実施した世論調査では、高市氏が次期首相として23%の支持を得てトップに立った。小泉氏が22%で続いた。
両氏のデジタル資産に対する姿勢は不透明だが、微妙にトーンが分かれる。
3月に高市氏は、暗号資産取引所を含む金融機関が疑わしい取引に関する情報を共有できる枠組みの作成を求める提案を提出した。このシステムにより、早期の口座凍結が可能になる。この提案が実現するにつれ、「規制・抑制派」と見ることができるかもしれない。
Sponsored Sponsored一方の小泉氏はDX化の遅れを懸念。米国政府との親和性も高く、暗号資産やステーブルコインについては積極姿勢を示す可能性が高い。
「政治のデジタル化は非常に遅れている。政治家は国民にデジタル化を受け入れるよう求めながら、自らはそれを先送りしている。これが政治不信の一因となっている」と小泉氏はテレビ番組で語っていた。
暗号資産業界の自民党支持者たちは、石破政権が暗号資産の税制改革提案に対して受容的であったという認識だ。石破内閣でデジタル相を務める平将明氏も暗号資産税制改革を推し進めてきた1人だが、金融庁が推し進める暗号資産税制改革の勢いは、自民党の次の指導者にかかっていると言えよう。
Sponsored市場の反応と暗号資産関連株
石破氏の辞任発表に対して金融市場は迅速に反応した。円安傾向が金曜日の時点から見られ、8日朝には1ドル148.48円と1.5円安となった。
NLIリサーチインスティテュートの上野智之主任エコノミストによれば、財政拡大の期待がさらなる円安を促し、2円程度の下落余地があるという。
暗号資産関連株、特にDAT企業の株は早期の買い意欲を示した。本稿執筆時点で、メタプラネットは716円(+0.42%)に上昇し、リミックスポイントは317円(+1.37%)に上昇、イクヨは1,152円(+0.17%)で取引され、リブワークは793円(+1.93%)に上昇した。
市場アナリストは、これらの動きが日本のデジタル金融における役割を再構築する可能性のある政策変更を投資家が期待していることを反映していると示唆している。
自民党の総裁選の結果は、最終的に日本が暗号資産の規制を強化するか、石破氏のように国際基準に合わせてイノベーションを促進する緩やかな道を追求するかを決定することになる。