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韓国FIU、2025年に疑わしい暗号資産報告が倍増と警告

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著者:
Shigeki Mori

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編集:
Shota Oba

22日 9月 2025年 20:13 JST
Trusted-確かな情報源
  • 韓国は8か月で36,684件の疑わしい暗号通貨取引を記録し、過去2年間の合計を超えた。
  • 税関データによると、暗号通貨関連の犯罪は710億ドルに上り、その多くは違法な通貨交換スキームである。
  • 議員たちは、ステーブルコインの使用が国境を越えた違法取引で増加しているため、より厳格な監視を求めている。
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韓国の金融情報分析院(FIU)は、2025年1月〜8月に3万6,000件超の疑わしい暗号資産取引を報告し、過去2年間の合計を上回った。

報告件数の着実な増加は、ステーブルコインやその他のデジタル資産を悪用したマネーロンダリングや外為スキームのリスク拡大を示す。国内の暗号資産投資家が1,000万人を超えるなか、当局は一段の監視強化と迅速な対応を求めている。

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疑わしい活動報告が過去最高に

韓国では疑わしい暗号資産取引が急増している。2025年1月〜8月にFIUが受理した疑わしい取引報告(STR)は36,684件で、2023年と2024年の合計35,734件をすでに上回った。暗号資産関連犯罪の拡大ペースの速さを物語る数字だ。

特定金融取引情報の報告及び利用に関する法律に基づき、国内取引所はマネーロンダリングやその他の違法行為が疑われる場合、STRの提出が義務付けられている。たとえば、犯罪者が国外で不正資金をデジタル資産へ換え、国内プラットフォームに戻して現金化する手口などが対象となる。

増勢は明確だ。FIUのSTRは2021年199件、2022年10,797件、2023年16,076件、2024年19,658件と推移。2025年は8月時点で昨年の合計を倍増させており、急速な普及と歩調を合わせた上昇トレンドが確認できる。

税関データが示す数十億ドル規模の不正流出

韓国関税庁は、2021年〜2025年8月にかけて暗号資産関連犯罪を合計95.6兆ウォン(約710億ドル)相当、検察に送致したと報告した。約9割は、未登録の通貨交換スキームを使った越境資金移動に関わるものだった。

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5月の事例はリスクの典型だ。ある通貨ディーラーが現金と引き換えにロシアの輸入業者へドル建てテザー(USDT)を発行し、約57.1億ウォンの移転を助長した疑いがある。関係者によれば、こうした取引はステーブルコインを介して資金の越境フローを秘匿化し、摘発を難しくしている。

世界の暗号資産犯罪動向が示す広範なリスク

暗号資産を巡る犯罪は世界的にも増加傾向にある。BeInCryptoは、規模や巧妙さを示す事例を報じてきた。8月には、LIBRAプロジェクトのプロモーター、ヘイデン・デイビスがカニエ・ウェストのYZY Snipeに絡むスキームで約1,200万ドルの利益を得た疑いで起訴された。

また、北朝鮮のハッカーは偽の求人オファーを用いて暗号資産の専門家を狙い、ビデオアプリやコーディング課題にマルウェアを仕込んでいた。日本では、警察が約750万ドルを取引所経由で洗浄し、反社会勢力へ資金供与していた詐欺リングを摘発。犯罪の広がりと多様化が浮き彫りになっている。

各国政府も対抗策を強化。コインベースとバイナンスは、暗号資産犯罪へのリアルタイム対応を連携する米国のビーコンネットワークを立ち上げた。トルコもマネーロンダリング・違法賭博・詐欺の抑止に向け、デジタル資産規則の大幅見直しを発表。国際協調の必要性が一段と高まっている。

議員らが監視強化を要請

与党・共に民主党の前政策委員長、ジン・ソンジュン氏はFIUデータを入手し、より厳格な管理を要請した。ステーブルコインが実需決済で一般化し、外為違反の新たな機会が生まれていると警鐘を鳴らし、FIUおよび関税庁に対し、調査体制の強化と偽装送金の遮断を求めた。

同氏は、有効な監視にはテクノロジー、規制当局、法執行機関、取引所の連携が不可欠だと付言。国内投資家が1,000万人を超える現状では、堅牢な枠組みがなければ暗号資産犯罪はさらに増勢を強めかねないと指摘した。

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