ミームコインは2025年も買い時なのか？

ミームコインは、その話題性と投機的な魅力から、暗号資産市場で特異な地位を築いてきました。2024年には市場規模が急拡大し、「スーパーサイクル」と呼ばれる現象が再び注目を集めました。しかし、その一方で市場に存在するミームコインの約97%が短命に終わるなど、リスクの高さも顕著です。2025年に向けて、ビットコインの半減期やアルトコインシーズンといった市場動向がミームコイン価格にどのような影響を与えるのかが焦点となっています。

本稿では、ミームコインの歴史や市場動向、投資リスクを紐解きながら、2025年における適切な投資戦略について詳しく解説します。

ミームコインとは？

ミームコインは、インターネット上のジョークやミーム文化を起源とする暗号資産で、当初は実用的な価値を持たず、主に政治的な表現や娯楽目的でコミュニティ内で利用されていました。その代表例が2013年に誕生したドージコインです。このコインは柴犬の画像をモチーフとしており、ジョークとして始まったものの、瞬く間にインターネット上で注目を集め、暗号資産市場においても重要な存在へと進化しました。

ミームコインの価値は、コミュニティの支持に大きく依存しており、SNSやオンラインフォーラムでの活発な議論や共有が、その認知度と市場価値を押し上げる原動力となっています。柴犬コインやペペコインといった例では、熱心な支持者たちの活動によって、短期間で驚異的な価値の上昇を遂げ、億り人を輩出したケースもあります。また、著名人がSNSで言及することで、一部のミームコインが急激に価格を引き上げる現象も見られます。

しかしながら、ミームコインは極めて価格変動が大きいため、投資には高いリスクが伴います。それでも、ジョークとして始まったミームコインは、暗号資産市場において独自の存在感を確立し、現在も進化を続けています。

ミームコインの人気が急上昇の今回の上昇相場

ミームコイン市場は急速に拡大しており、資金の流入ペースも非常に速まっています。2024年までに新たに誕生したミームコインは市場全体の75％以上を占めています。市場では「ミームコインスーパーサイクル」が到来していると囁かれています。その一方で、現在約97％のミームコインが短期間で消滅している現状も指摘されています。このため、持続可能な価値を提供するには、他のミームコインとの差別化がより重要になっています。

バイナンスリサーチの24年11月のレポートによれば、ミームコイン購入者の94％が40歳未満であり、暗号資産市場における若年層の影響力が引き続き拡大しています。実際、2022年以降、ミームコインの合計時価総額は、Total 3（BTC、ETH、ステーブルコインを除いた全仮想通貨の時価総額）に対する割合として、2022年の約4％から2024年には11％へとほぼ3倍に増加しましたが、依然として2021年の水準には達していません。

24年第3四半期もミームコインが市場を牽引

コインゲッコーの24年第3四半期のレポートによると、ミームコインは暗号資産市場で最も注目を集めたカテゴリで、全体トラフィックシェアの17.05%を占めました。また、ミームコイン関連カテゴリ全体のシェアは31.8%に達し、投資家の関心が引き続き高まっていることが示されています。特にソラナエコシステム内のミームコインは人気が際立ち、単独で11.41%のシェアを占めるなど、市場での存在感をさらに強めています。

ミームコインスーパーサイクルとは？

This is a #Memecoin supercycle! pic.twitter.com/c6dtBhKbvy

— Crypto Rover (@rovercrc) November 17, 2024

ミームコイン市場は、2021年5月に約900億ドルというピークに達しましたが、その後1年以内に150億ドル以下まで急落し、多くの人々からバブルと見なされました。しかし、約2年にわたる調整期間を経て、2024年3月から市場規模が再び上昇し始め、2024年11月には過去最高を更新しました。この「ミームコインスーパーサイクル」とは、価格の急騰と市場全体の規模拡大を伴う非常に強気な市場局面を指します。

従来の金融市場では、株式の価値はファンダメンタルや収益によって評価されますが、ミームコインスーパーサイクルはインターネット文化の広がりや、熱狂的で強力なコミュニティの影響を主な原動力としています。オンラインのトレンドやソーシャルメディアの拡散、そして話題性に支えられたミームコインは、短期間で急速に勢いを増し、市場規模や価格が新たな高みに達します。しかし、このサイクルの価値は純粋に投機的なもので、有形資産や内在的価値ではなく、コミュニティの熱意に大きく依存している点が特徴です。

たとえば、このスーパーサイクルの中では、評価額が低く実用性の乏しい暗号資産プロジェクトが突然注目を集め、トップミームコインの一角に食い込むケースも見られます。数千ドル規模のミームコインプロジェクトが、わずか数日で数百万、さらには数億ドル規模に成長することも決して珍しくありません。

ミームコインスーパーサイクルの歴史

スーパーサイクルは新しい現象ではなく、過去にも複数回目撃されています。違いは現在、この現象を多くの人が認識し、早期に行動する機会を持っている点です。

第1回スーパーサイクル (2017-2018)

最初のスーパーサイクルはドージコインによって推進され、2017年2月の$0.00020から2018年1月の$0.0175まで急騰しました。この間、ドージコインは約8,700%成長し、暗号資産全体の市場規模も180億ドルから8500億ドルへと約50倍に拡大しました。ドージコインの市場規模は同期間中に2300万ドルから19.8億ドルに達しました。

第2回スーパーサイクル (2020-2021)

2020年から2021年のパンデミックを契機に、小売投資家の急増で第2回サイクルが発生しました。この期間、ドージコインは2021年1月の$0.005540から5月の$0.6818まで12,200%の上昇を記録。また、このサイクル中に登場した柴犬コインは、2021年1月の$0.000000000080から10月には$0.000081まで急騰し、初期投資家に約1,012,500,000%のリターンをもたらしました。他にもFlokiなどがこの時期に人気を博しましたが、サイクルは2021年11月の暗号資産冬の到来で終了しました。

第3回スーパーサイクル (2023-2024)

第3回スーパーサイクルは2023年末に始まり、2024年3月頃に本格化。ミームコイン市場規模は2024年1月の200億ドルから11月には1100億ドル以上に成長しました。このサイクルでは、Dogwifhat、Bonk、Peanut the Squirrelなど、多数のミームコインが成長を支え、時価総額トップ100にランクインしました。第1回や第2回とは異なり、このサイクルは多様なミームコインが市場を牽引しています。

ミームコインは高リスク？｜2025年に買っても大丈夫なのか

CoinWireが2024年11月に公開したレポートによると、過去3ヶ月間に377人のインフルエンサーが宣伝した1,567のミームコインを分析した結果、76%のインフルエンサーが価格が90%以上下落したコインを喧伝していたことが明らかになりました。

さらに同調査によると、インフルエンサーによって宣伝されたミームコインの約67%が現在無価値であり、3ヶ月後には86%のコインが価値を10分の1に減少させています。10倍の利益を生み出したコインを宣伝できたインフルエンサーは、全体のわずか1%にすぎません。

短期的なパフォーマンスも悪く、宣伝されたコインの80%が1週間以内に価値の70%を失い、1ヶ月後には損失が80%に拡大します。特にフォロワー数が20万人を超える大規模インフルエンサーが最も悪いパフォーマンスを示し、3ヶ月後の平均的な損失率は89%に達しています。一方、フォロワー数が5万人未満の小規模インフルエンサーは、わずかに良いリターンを提供し、場合によってはプラスの結果を出すこともあります。

平均すると、インフルエンサーはプロモーションツイート1件あたり399ドルを稼いでおり、多くのプロモーションが投資家利益よりも収益性を重視している現状が浮き彫りになっています。

加えてCHAIN PLAYのデータによると、2024年時点で加速度的にミームコインの数が増えるなか、ミームコインの97%が破綻しており、その投機的で短命な性質が浮き彫りになっています。平均すると、ミームコインは約1年しか生き残れない一方、他の暗号資産プロジェクトの平均寿命は3年となっています。さらにBeInCryptoが24年8月に報じたように、Pump.funでローンチされた170万以上のミームコインのうち、1,000万ドル以上の時価総額を複数週にわたって維持できたのはわずか15に過ぎないというのが現状です。また2024年にBinanceに上場したミームコインのうち、ポジティブなリターンを記録したのは1つだけで、残りの29トークンは価値を失い、その一部は最大90%近くの下落を経験しました。

アナリストの見解は？

暗号資産の専門家ムラド・マフムドフ氏とアーサー・ヘイズ氏は、2024年11月にミームコイン、DeFi、AIトークンの進化する役割についてそれぞれの見解を述べました。

市場サイクル分析の専門家であるムラド・マフムドフ氏は、ミームコインを暗号資産市場における「浄化メカニズム」として捉えています。同氏によれば、市場が成熟するにつれて、暗号資産は「キャッシュフロートークン」と「ミームコイン」という2つのカテゴリに分かれると予測しています。ミームコインはコミュニティや投機的プレミアムを吸収し続けることで、従来の金融アナリストにとってもキャッシュフロートークンの信頼性を高める役割を果たすとしています。さらに、DOGE、FLOKI、SHIBといった主要なミームコインには、さらなる成長の可能性があると見ています。

一方で、BitMEXの共同創設者アーサー・ヘイズ氏は、ミームコインを短期的な取引の機会と捉えています。同氏は、「ミームコインはキャッシュフローや技術の理解を必要とせず、取引自体が楽しめる要素がある」と述べ、その話題性を活用して短期的なモメンタムを狙い、長期的なリスクを避けつつ利益を追求する戦略を採用しています。

関連記事：アーサー・ヘイズ氏、「ミームコインは一概に無意味とは言えない」

This cycle’s main narrative is Memecoins.

To the majority this still sounds crazy.

To those paying attention, this is obvious. pic.twitter.com/X0Vbodv9Pf

— Murad 💹🧲 (@MustStopMurad) October 28, 2024

さらにマフムドフ氏は同年9月、自身のミームコインスーパーサイクル理論に基づき、ミームコイン市場はまだ初期段階にあり、1兆ドルの市場規模を超える可能性があると示唆しました。暗号資産トークン市場は、小売トレーダーや投資家に大きく依存しており、その多くが技術的な複雑さには興味を持っていません。Muradは、小売投資家の多くがブロックチェーンが「少し高速であること」や「よりプライベートであること」、またはzk-SNARKのような複雑な概念に関心を持たないと指摘しています。

Meme liquidity index surged firstly since 2021…

starting the biggest meme super cycle ever

Last time I turned $217 in $182,754 in few weeks…

here's list of 1000x memes that will repeat it now 🧵👇 pic.twitter.com/X3P0YFs520

— ᴛʀᴀᴄᴇʀ (@DeFiTracer) November 2, 2024

アナリストのTracer氏は11月、24年ののミームコインスーパーサイクルに関して以下のようにコメントしています：

ミームコイン流動性指数が2021年以来初めて急上昇し、史上最大のミームコインスーパ―サイクルが始まろうとしている。現在ミームコイン市場で起きていることは、この巨大なサイクルの序章にすぎない

Tracer

• ミームコイン流動性指数は、ミームコイン市場での取引のしやすさや活発さを示す指標です。具体的には、取引量、取引所での上場数、スプレッド（買値と売値の差）、そして注文の厚さ（売買の安定性）を測ることで、市場の流動性を評価します。

一方でBinance創設者で元CEOのチャンポン・ジャオ（CZ）氏は11月、ミームコイン市場活況と広がる湾曲した解釈を持ったミームカルチャーを受け、懸念を示しました。

ミームには反対しないが、ミームコインはもはや微妙。ブロックチェーンの利用は実際の価値があるアプリケーションの構築に

同氏の発言を受け、Bitcoin Ordinalsエクスプローラーの共同創設者であるLeonidasに、ミームコインのリストに関してより透明性と厳格な基準を求める請願書を立ち上げるよう促しています。

これらの言動はPump.funなどの行きすぎたミームカルチャーに対する批判が背景となっていると見られています。Pump.funはライブストリーミング機能は不適切なコンテンツや金融詐欺の温床となっており、「ラグプル」が目立っていたために深刻な論争を引き起こし、禁止を求める声が上がっていました。なお、同プラットフォームを通じて作成されたいくつかの投機的トークンは、時価総額で数百万ドルを蓄積したが、利益を得たのは10%未満の投資家しかいませんでした。

関連記事：トランプ、イーロン・マスク関連ミームコインはどうやって買う？

ミームコインは2025年も買い時なのか？

端的に言えば、ミームコインは2025年も買い時なのかは慎重な検討が必要です。過去のスーパーサイクルに見られるように、ミームコイン市場は短期間で大きな価格上昇を経験する一方で、その多くが持続性を欠き、破綻するリスクも高いです。これまでも述べたように2024年には市場全体の急拡大が確認されましたが、同時に約97%のミームコインが短命で終わる現状が浮き彫りになっています。特に投機的な性質が強いミームコインは、価格がコミュニティの熱意や話題性に大きく依存しているため、予測が困難です。

また、これらの暗号資産に対する明確な規制がなされていないことからも、各国規制機関が厳しい規制を設けることで価格が上下する可能性があります。実際、上記のように過去の調査では、多くのインフルエンサーが高リスクなミームコインを宣伝し、多くの投資家が損失を被ったケースが報告されています。

ビットコイン半減期後のアルトコインシーズンに注目したり、ミームコイン流動性指数などを活用して適切なタイミングを見極め分散投資や、複数の利益確定をすることで盛り上がりの見せるミームコイン市場で高いROIを保った利益確定ができるでしょう。

2025年に買い時のミームコインを見つけ、うまくトレードするには？

インフルエンサーCrypto Koryo氏の投稿によれば注目すべきミームコインを見つける際のポイントは以下の通りです：

1. VCやエンジェル投資家が関与していないミームコインに早期参入することが重要です。
2. 中央集権型取引所（CEX）ではなく、未上場コインが取引できるDeFi（分散型金融）での取引を選びましょう。
3. ステークホルダーの数が多い場合、売却圧力が高まりやすい可能性がある点に注意してください。
4. ミームコインは爆発的な勢いを持つ一方で、高いリスクを伴う投資となることを理解し、そのリスクを受け入れる姿勢が求められます。
5. ミーム自体の知名度や話題性をしっかりと考慮してください。
6. コミュニティの成長状況や新たなコラボレーションの発表があるかどうかをチェックすることも重要な要素です。

• エンジェル投資家とは、エンジェル投資家とは、創業間もないベンチャー企業やスタートアップに投資する個人投資家のこと
• ステークホルダーとは、組織やプロジェクト、企業などに直接的または間接的な関心や影響を持つすべての個人や団体を指す

関連記事：ネクスト「ぺぺコイン」は存在するのか

一方でトロンの創設者であるジャスティン・サン氏はミームコインを買う前に考慮する3つの要素について以下のように語っています：

1. 注目を集める能力の重視
   サン氏は、ミームコインが世間の注目を引きつけ、それを維持する力を最優先します。「経済は注目を集めることが鍵であり、ミームコインはその象徴」と述べ、人々の関心を引きつけるミームの価値を強調しています。
2. コミュニティのエンゲージメントを評価
   ミームコインのソーシャルメディアでの活動やフォロワー数だけでなく、真のコミュニティとのつながりを重要視します。エンゲージメントの質を見極めるために、開発者との対話や作成されたミームや動画を細かくチェックしています。
3. 開発への努力の重要性
   サン氏は、成功するミームコインの作成には、戦略的なシナリオ構築や継続的なイノベーションが必要であり、単なる偶然の産物ではないと考えています。さらに、この努力はレイヤー1ブロックチェーンや暗号取引所の開発に匹敵するものだと主張しています。

ジャスティン・サンがミーム・コインを買う前に考慮する3つの要素

また、暗号資産アナリストであるマイルス・ドイッチャー氏は、ミームコインを効果的に取引するための詳細な4ステップ戦略を以下のように解説しています：

1. ポートフォリオの配分を決定する
   長期投資と短期投資の適切な割合を決め、自分の投資時間軸に基づいた戦略を立てる。初心者は長期投資を優先し、経験者は短期投資を増やすことを検討する。
2. ウォッチリストを作成する
   投資対象を効率的に追跡するために、整理されたウォッチリストを作成する。TradingViewなどのツールを活用し、投資中のコインと検討中のコインを区別しやすく管理する。
3. ソーシャルメディアで情報収集する
   X、Telegram、Discordなどを活用し、信頼できるアナリストやインフルエンサーの情報フィードを確立する。過剰な宣伝や非公開の有料プロモーションには注意を払い、独自の判断基準を持つ。
4. 積極的に取引し、柔軟性を持つ
   小規模な取引から始めて経験を積み、取引テーマや市場環境の変化に応じてポートフォリオをリバランスする。専用ウォレットを用意し、計画的に進める。

関連記事：マイルス・ドイッチャー氏、ミームコイン取引の4ステッププランを発表

ミームコインの蓋然性

ミームコインは価格変動が激しく、大きな利益を狙える一方で、損失のリスクも非常に高い資産です。特にビットコインの半減期後、アルトコイン全体の時価総額が増加し、そのピークに達するまで約505日かかることが一般的で、この影響はイーサリアムをはじめ他の暗号資産などにも波及します。ミームコインはバンドワゴン効果によって急激に価格が上昇することがあり、投資家には冷静な判断と慎重なリスク管理が欠かせません。また、ミームコインは実用性が乏しいため、投資の際にはそのリスクを十分に理解することが求められます。

より詳細アルトコインシーズンのタイミングを測るためには、アルトコインシーズンインデックスやアルトコインドミナンスを注視し、アルトコインシーズンの到来を見極めることが重要です。ビットコインドミナンスが低下し、アルトコインの市場規模が拡大する局面では、アルトコインへの資金流入が増加しやすく、それに伴いミームコインの価格も上昇しやすい傾向があります。このタイミングを捉えることが、投資を検討する上での重要なポイントとなります。

関連記事：「アルトシーズン」を見極める方法：アルトコイン投資法

まとめ：ミームコインへの盛り上がりに注目し、余剰資金で適切に投資しよう

ミームコイン市場は、その話題性とコミュニティの影響力によって引き続き注目されています。特に2024年には「スーパーサイクル」と呼ばれる市場拡大が観測され、多くのミームコインが大幅な価格上昇を遂げました。しかし、その一方で市場の97%が短期間で破綻しており、リスクの高さも明らかです。このような状況で投資を検討する場合、投機的な性質を理解し、余剰資金での投資が推奨されます。市場動向やビットコインの半減期後のアルトコインシーズンといったタイミングを見極めつつ、分散投資やリスク管理を徹底することが成功の鍵です。さらに、コミュニティの成長性や話題性など、プロジェクトの基盤を十分に見極めることが求められます。ミームコインの熱狂的な市場を楽しみつつ、冷静な判断で投資を行いましょう。