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現物資産(RWA)トークン化とは?

26分
投稿者 Ikkan Kawade
編集 Shigeki Mori

ブロックチェーン技術は金融の世界に大きなインパクトを与えましたが、その中でも注目を集めているのが、トークン化された現物資産(RWA)です。RWAとは、不動産、債券、現金など、現実世界の資産をデジタルトークンに変換したもの。このトークンは、ブロックチェーンネットワーク上で発行・管理され、従来の資産とは異なるさまざまなメリットをもたらします。

そこで本記事では、トークン化されたRWA、トークン化の仕組み、その利点やDeFiにおける重要性について説明します。

トークン化された現物資産(RWA)とは?

RWAとは、現実世界に存在し、価値を割り当てることができる資産のこと。具体的には、芸術作品、コモディティ、国債、不動産などが含まれます。資産のトークン化はブロックチェーン技術の中でも有望なユースケースの1つであり、実世界資産をデジタルトークンに変換することを可能にします。RWAは、その後ブロックチェーンネットワーク上に保存されます。

現物資産のトークン化は、RWAへのアクセスと管理方法を変革します。このプロセスは本質的に、有形資産(芸術品、コモディティ、不動産など)に紐付けられたブロックチェーンベースのデジタル投資を可能にします。

トークン化は、ブロックチェーンにおける新たな可能性を切り開き、さまざまな物理資産の所有権をオンチェーン化することを可能にし、その結果当事者は直接資産を売買したり、資産を分割して複数の人々に所有させることができます。不動産の分割所有権は、このようなトークン化の優れた活用例の1つです。

RWAトークン化は、ほぼ全ての価値ある資産がトークン化されブロックチェーン上に保存できるため、暗号資産経済において成長を続ける市場セクターとなっています。RWAの潜在的な市場価値は、数兆ドル規模になると考えられています。

RWA TVLランキング: 
DeFiLlama

DefiLlamaのデータによると、2024年3月29日時点のRWAにおけるロックされた総資産額(TVL)は、40億ドルを超えています。

現物資産(RWA)がDeFiにとって重要である理由

DeFiの最も有望な機能の1つは、ブロックチェーン上でRWAをトークン化することです。

RWAは、ブロックチェーンの仮想世界と物理資産の現実世界を結びつけるだけでなく、投資の民主化、アクセスの向上、DeFiにおける流動性の提供可能性を秘めています。DeFiプラットフォームは、アートや不動産などのRWAを貸借取引の担保として利用しており、借り手はステーブルコインなどのさまざまな暗号資産で融資を受けられる一方、貸し手は利息を得ることが可能です。

さらに、RWAはDeFiをより関連性があり汎用性の高いものにするために重要な役割を果たし、現物資産トークン化により、人々はアートや不動産などの普遍的に売りにくい資産を、ブロックチェーンネットワーク上で容易に譲渡・分割可能にしました。

DeFiのインデックスファンドは、RWAを利用して投資家が無数の資産にエクスポージャーを得る新しい機会を提供することができ、またRWAはDeFiエコシステム内でリスクの低い投資のための新しい選択肢を提供します。安定した商品に連動した資産を提供することで、DeFi投資家は、暗号セクターほど変動性の高くない市場に参入できる可能性があります。

時価総額別の商品担保トークン: CoinGecko RWA レポート

RWAはDeFiセクターに多様性を持ち込むチャンスを提供しますが、そのDeFiへの統合は規制上の課題も伴います。資産裏付けトークンを保護し、その安全性を保証するための堅牢なメカニズムが必要です。

「RWA のトークン化は DeFi と TradFi を変革するだろう」

Oculus Crypto、暗号資産投資家

現物資産のトークン化とは

現物資産のトークン化は、物理的な資産所有権の概念を変革し、それらの権利をブロックチェーンネットワーク上で検証および保存できるデジタルトークンに変換するプロセスです。

現物資産のトークン化にブロックチェーンテクノロジーを使用すると、分割所有権、流動性の向上、セキュリティ、透明性などのさまざまな利点が得られます。

RWAのトークン化とは、芸術品、不動産、株式などの実世界の資産を選択し、価値付けるところから始まります。この段階で資産の価値が決定されるとともに、その資産を分割するデジタルトークンの数も決定されます。

次に、トークンの所有権を明確にするための堅牢な法的枠組みが構築され、この法的枠組みは、参加者がすべての適用される規則を遵守することを保証するものでもあります。

次のステップは、互換性のあるブロックチェーンプラットフォームの選択です。さまざまなブロックチェーンがトークン化機能を提供していますが、重要なプロセスを自動化するスマートコントラクトの高度な機能も備えていることが望ましい点に注意してください。

続いて、実世界の有形資産の所有権を構成するデジタルトークンが作成されます。各トークンは、資産価値の一部を表現しており、選択したブロックチェーンのトークン規格を使用して開発されます。作成されると、ブロックチェーンは各トークンの所有者と取引データを記録し続けるため、透明性と有効性が保証され、詐欺のリスクが軽減されます。作成されたデジタルトークンは、投資家が関連する取引所やマーケットプレイスで購入、取引することが可能になります。

RWAのメリット

RWAの主なメリットは以下の通りです。

  • アクセス性と包摂性:不動産やアート作品などの高額な資産への投資は、限られた富裕層のみが可能でしたが、トークン化により、資産を小口化し、より多くの人々が投資に参加できるようになりました。従来の金融市場から排除されていた個人投資家にとって大きなチャンスとなります。
  • 自動化された資産所有:DeFiにおけるスマートコントラクトの使用により、RWAを第三者なしで自動的に管理および移転することが可能に。スマートコントラクトは、コンプライアンスチェック、口座取引、決済など、さまざまなプロセスを自動化することで、トークン化された実世界の資産の決済を促進することができます。
  • 投資の分散:DeFi投資家は、デジタル通貨以外の資産にも投資することができます。
  • 流動性の向上:資産のトークン化と小口化は、DeFi取引所やプロトコルにおける流動性を向上させます。
  • ボラティリティの低減:RWAは、暗号資産よりもはるかに安定しており、DeFiエコシステムに組み込むことで、ある程度の安定性が生まれます。価格暴落のリスクを軽減し、金利を安定させることで、DeFiエコシステムを安定させます。
  • トークン化された実世界の資産の取引:ユーザーが国境を越えて分散化された方法でトークン化されたRWAにアクセス、管理、取引することを可能にします。
  • 新しい投資商品の誕生:資産のトークン化は、不動産などの流動性を高め、新たな投資機会を生み出します。これは、流動性の低い資産をオンチェーン化し、その価値を解き放つことで、デジタル金融と伝統金融のギャップを埋めます。

RWAが抱えるリスクと課題

RWAは、投資と資産管理の分野に革命をもたらしましたが、他の革新的な技術と同様に、いくつかのリスクも伴います。主な課題とリスクは以下の通りです。

  • 物理資産の保管:トークン化により、実世界の所有権を小口化することが可能になるが、同時に、物理資産の所有権を確実に保管するという課題も生まれる
  • 流動性の問題:RWAは流動性の向上に貢献するが、特定のRWAの取引量が少ない場合、暗号経済における流動性が制限される可能性がある
  • 市場変動:デジタル資産であるトークン化された資産は、価格変動や市場変動の影響を受けやすいという特徴がある
  • セキュリティ懸念:トークン化された資産は比較的新しい投資手段であり、投資家保護メカニズムが十分に整備されていないため、詐欺のリスクがあります。さらに、ハッキング、スマートコントラクトの脆弱性、技術的な誤動作などのサイバー脅威にさらされる可能性があります。
  • 不明確な規制:RWAトークン化が直面する大きな課題は、規制枠組みが不明確であること。RWAトークン化のエコシステムは常に変化しており、規制枠組みも同様。

RWAの活用事例

RWA市場は拡大しており、さまざまな活用事例が生まれています。以下はその代表的な例です。

  • アートとコレクティブルのトークン化:芸術作品やコレクティブルをトークン化すると、所有権を分割することが可能になり、コレクターや愛好家は、通常は高額で手が出ないような貴重品にも、少額ずつ投資できるようになる。
  • 債券のトークン化:国債などのRWAは、利息を得るために利用することが可能。例えば、アメリカの国債がトークン化され、ブロックチェーン上で取引することが可能
  • 不動産のトークン化:不動産のトークン化は、RWAの中でも特に注目すべき分野。少額の資金で特定の物件の一部を購入・所有し、さらにそこから賃貸収入を得ることも可能にする新しい投資手段。従来は資金不足で購入が難しかった資産にも投資しやすくなり、また、トークン化を活用することで、不動産開発のためのクラウドファンディングも可能になります。

RWAが役立つ理由

RWAは、より強固で、国境を越え、分散化され、規制された投資ポートフォリオの構築に役立ちます。

RWAトークンは、従来の金融資産の多くが抱えている課題に対して革新的なソリューションを提供し、例えば、RWAは本来デジタル世界に存在しませんが、トークン化により、デジタル化されDeFiエコシステムに加わることで新たな可能性が生まれます。

さらに、トークン化はRWAに新たな機会をもたらし、分割所有権を通じて投資参入障壁を下げることが可能に。資産の分割化は、初期投資に必要な資本を減らすのに役立ち、これまでそのような市場にアクセスできなかった人々にとっての金融アクセシビリティと包摂性を向上させます。

RWAはブロックチェーン技術を活用しており、その結果、世界中の人々が、そうでなければアクセスできなかった新しい機会にさらされる可能性が広がります。

また、暗号資産取引所やマーケットプレイスを利用することで、従来流動性の低かった資産の流動性が向上。投資家は、市場の変化に合わせて迅速に売買ポジションを取ることができ、トークン化されたRWAは物理資産の分割を可能にするため、投資家の間でのより公平な競争環境を作り出す「投資の民主化」を実現します。

RWAが生み出す革新的な活用方法

RWAは、資産の投資と管理における新たなパラダイムシフトをもたらしています。トークン化された実物資産は、アクセスしやすさ、効率性、流動性を向上させるのに役立ち、このアプローチは、さまざまな業界でトークン化されたリアルワールド資産の革新的な活用方法を生み出しています。

アート・コレクターズ業界

アートやコレクターズアイテムの世界は、トークン化によって大きく変革しています。高額なコレクターズアイテムや芸術作品を投資家が所有したり、取引したりすることが可能になり、これまで閉ざされていた市場へのアクセスが根本的に変化しました。

カーボン・クレジット

カーボン・クレジットは、温室効果ガス排出量の削減量を表す取引可能な資産です。ブロックチェーン上でトークン化し、追跡や売買が可能になり、流動性が向上。企業は排出規制への対応や排出量のオフセットにカーボン・クレジットを活用でき、環境問題解決に貢献できます。

プライベートエクイティ

プライベートエクイティ投資は、非公開企業を買収または投資するオルタナティブ投資の一種です。一プライベートエクイティのトークン化は、より多くの投資家が参入できる扉を開き、プライベートエクイティ市場の活性化につながります。

不動産

不動産は比較的安定した資産クラスであり、世界的に見ても規模が大きいですが、売買が容易でないため、流動性が低いという課題もあります。不動産のトークン化により、物件を分割所有できるようになり、少額の資金しかない投資家でも不動産投資に参加しやすくなります。

トークン化経済における規制テクノロジーの役割

ブロックチェーン技術は、さまざまな業界で活用が広がっています。急成長に伴い、市場がコンプライアンスを遵守し、この革新的なテクノロジーへの統一された対応方法を確立する必要性が高まっています。世界各国でRWAに関する法令が異なるため、これらの資産の取引は煩雑になりがちです。

共通の規制基準があれば、RWAの越境取引をより安全なものにできます。ブロックチェーンネットワークを利用して、スマートコントラクトを通じてさまざまなコンプライアンスや法的枠組みを自動化することが可能です。言い換えれば、テクノロジーを使ってテクノロジーを管理するということ。これにより、RWAの越境取引の安全性が向上します。

RWA:伝統的市場とデジタル市場をつなぐ橋渡し

RWAは、従来の金融とデジタル金融のギャップを埋める大きな可能性を秘めています。革新的な分野として、RWA市場は急速に成長しており、さまざまな企業がその活用方法を模索しています。ブラックロックのような資産運用会社はすでに、ブロックチェーンを利用して伝統的な資産をトークン化し、新しい金融投資手段として顧客に提供中。

さらに、RWAは、流動性の向上、金融アクセシビリティの改善、資産ポートフォリオの多様化をもたらしています。規制の不透明感など、RWAにはリスクや課題もありますが、資産所有の形を大きく変革する可能性をもっている新しいアセットクラスになるでしょう。

よくある質問

トークン化されたリアルワールド資産(RWA)とは?

RWAトークン化プロセスとは?

不動産資産のトークン化とは?

不動産トークン化の問題点は?

米国におけるトークン化のメリットは?

トークン化のリスクは?

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2020年よりBTC投資をはじめる。同時に、暗号資産ブログとSNSの運用を開始。DeFiでの資産運用・Play to Earnゲーム・国内NFTへの投資も積極的に行う。メタバースに深い関心があり、「メタバースへの移住」が目標。
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