中国の地方議会は、押収された暗号資産の処分に関する地方規則の制定を正式に拒否し、北京当局による国家レベルでの規制を求めた。これは、中国における全面的な暗号資産禁止の避けられない副作用を反映している。
河南省、地方立法は不適切と表明
北京の南に位置し、約1億人の人口を抱える河南省の議会は、「事件に関与する資産の管理に関する規則案」を検討した報告書を公表した。省の法務委員会は、暗号資産が財産的属性を有し、事件関連資産に含まれることを認めた。これは既に司法実務において確立されたコンセンサスである。
一方で、全国的な暗号資産取引禁止措置により、合法的な取引プラットフォームは全て排除されており、当局は資産処分の方法を模索し続けていると指摘。委員会は、この新しいタイプの押収資産を管理するために地方レベルで立法することは適切ではないとの結論に達した。
さらに、公安部が関連規制の研究を進めているとした上で、政策の一貫性を担保するために中央政府が対応すべきだと促した。これにより国家の金融安全保障に関する対立を避けることができるとしている。
この新しいタイプの事件関連財産の管理は、国家レベルで統一的に規制されるのがより適している
法的および技術的課題
河南省の慎重な姿勢の背景には二つの要因がある。第一に、デジタル資産の管理に伴う法的および技術的な複雑さだ。安全な保管、評価から清算に至るまで、処理は極めて難解である。加えて、全国各地で規制上の懸念が広がっており、河南省を含む多くの地方当局がステーブルコインを利用した詐欺スキームに繰り返し警告を発している。違法な資金調達からマネーロンダリングにまで及ぶこれらの活動は、関与するリスクの高さを浮き彫りにしている。
第二に、2021年の暗号資産取引全面禁止後、法的空白が広がっている点である。この禁止により多くの取引所は海外に移転し、法執行当局にとって押収資産の処分は複雑化した。実際、北京の裁判官はこのジレンマを認め、裁判所が処分を行うための明確な法的根拠を欠いていると指摘、実務に一貫性がない現状を明らかにした。
注目すべきは、この空白の中で地方の対応が分かれている点である。例えば北京の当局は、ライセンスを持つ香港の取引所を通じて資産を清算するという複雑な越境処理チャネルを開拓している。
北京の警察は、押収資産を北京証券取引所に委託し、専門のサービス事業者と連携して検出・受領・転送を行う仕組みを構築した。資産はライセンスを有する香港の取引所を通じて売却され、外為承認後に人民元に換算されて警察口座に送金、没収または被害者への返還に充てられる。
河南省の慎重な立場と北京の革新的な取り組みの対比は、地方ごとの独自解決が模索される一方で、統一的な国家規則が整備されれば中国全土での手続きがより透明かつ効率的になる可能性を示している。
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