LINEヤフーの米国グループ会社LINE NEXT Inc.とJPYC社は20日、日本円建ステーブルコイン「JPYC」をLINEアプリ上の新規ウォレットに統合する協業検討を開始すると発表した。両社は基本合意書を締結し、円建てステーブルコインを活用したリワードプログラムや日常決済の実現に向けて協力する。日本国内で月間利用者数9500万人を超えるLINEアプリでのステーブルコイン活用は、暗号資産の普及拡大に向けた重要な一歩となる。
SponsoredLINEアプリでステーブルコイン利用が可能に
LINE NEXTは、同社が開発を進めるLINEアプリ上の新規ステーブルコインウォレットにJPYCを統合する。このウォレットでは、ユーザーがJPYCを受け取り、保管し、決済に利用することが可能になる見込みだ。両社は利用者保護と法令遵守を重視し、安全性を担保した実装方法を協議する。
協業の主な検討領域は3つだ。第1に、JPYCの流通可能性の協議である。LINE NEXTのウォレットサービスにおけるJPYC利用シナリオを共同で設計し、規制に適合した形での実装を目指す。第2に、技術連携と検証だ。JPYC側が提供するAPIとLINE NEXTのウォレット技術基盤を連携させ、円建てステーブルコインによる直感的な価値移転体験を構築する。第3に、共同マーケティングと実証プロジェクトである。LINE NEXTが運営するサービスを活用したユーザー向けキャンペーンや、JPYCを用いたリワード施策の開発を進める。
JPYC株式会社の岡部典孝代表取締役は「LINEという生活に密着したメガアプリの中でJPYCが活用される可能性は、日本におけるステーブルコイン利用の転換点となる」とコメントした。同社は資金移動業型の日本円建ステーブルコインを国内で初めて発行した企業であり、規制環境に適合したステーブルコインの普及を推進している。
Web3普及に向けた円建て決済基盤の構築
LINE NEXTは、Kaiaブロックチェーンを基盤としたWeb3体験の創出を進めている。
Sponsored同社のコ・ヨンス代表は「日本市場におけるWeb3普及のためには、円建てステーブルコインを活用した分かりやすい価値体験が不可欠だ」と語った。
今回の協業により、リワード配布や日常決済といった身近な利用シーンでWeb3技術を活用する環境を整備する。
ステーブルコインは法定通貨と価値が連動する暗号資産であり、価格変動リスクが小さいため決済手段として適している。日本では2023年6月にステーブルコインに関する法整備が完了し、資金移動業者や銀行による発行が可能になった。JPYCは同法制度に基づき発行される円建てステーブルコインとして、透明性と安全性を重視した運営を行っている。
LINE NEXTは既存のLINEユーザーベースを活用することで、暗号資産に馴染みのない一般層へのアプローチを図る。従来、暗号資産の利用には専用の取引所開設や複雑なウォレット操作が必要だったが、使い慣れたLINEアプリ内での利用が実現すれば、参入障壁は大幅に低下する。
協業発表でアステリア株が急騰、市場の期待高まる
今回の協業発表を受けて、JPYCに出資するアステリア(東証プライム・3853)の株価が急騰した。20日の東京株式市場で同社株は一時ストップ高となり、前日比23.2%高の1272円まで買われた。本稿執筆時点では1269円。
アステリアは16日、JPYCとの資本業務提携も発表しており、今回のLINE NEXTとの協業検討が同社の事業拡大につながるとの期待から、投資家の買いが集中した形だ。
LINEアプリ上で誰もが手軽にJPYCを利用できる環境が構築されれば、ステーブルコインの利用者層は大幅に拡大する見込みだ。アステリアはノーコード・ローコード開発ツールを主力事業としており、JPYCへの出資を通じてWeb3領域への事業展開を加速させている。同社の株価上昇は、ステーブルコイン関連ビジネスの成長期待を反映したものといえる。
今回の協業は基本合意の段階であり、具体的なサービス開始時期は明らかにされていない。両社は今後、技術検証や規制対応を進め、実用化に向けた準備を加速させる方針だ。LINEアプリという国民的プラットフォームでのステーブルコイン展開が実現すれば、日本におけるWeb3普及の重要なマイルストーンとなり、関連企業の業績にも大きな影響を与える可能性がある。