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三菱商事、JPモルガンのブロックチェーン預金口座でドル即時送金へ—日系企業初

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執筆&編集:
Shigeki Mori

31日 3月 2026年 09:54 JST
  • 三菱商事は2026年度中にJPモルガンのブロックチェーン預金口座「BDA」を使ったドル国際送金を開始し、日系企業初の事例となる。
  • JPモルガンのキネクシス部門が提供するBDAはトークン化預金の一形態で、24時間即時送金や流動性最適化を可能にするインフラだ。
  • JPモルガンはBaseやCanton Networkへの展開を通じて、機関投資家向けブロックチェーン決済基盤を急速に拡張させている。
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三菱商事は2026年度中にも、米銀最大手JPモルガン・チェースが提供するブロックチェーン(分散型台帳)基盤のデジタル預金口座を活用した国際送金を開始する。日本経済新聞が31日、報じた。日系企業による同サービスの採用は初となる。ロンドンやニューヨークなど海外主要拠点間でドル建て資金をほぼ即時に融通できる体制を整えることで、従来の国際送金に伴う時間的・事務的なコストの大幅な削減を目指す。

ブロックチェーン・デポジット・アカウント(BDA)とは何か

三菱商事が採用するのは、JPモルガンの「キネクシス(Kinexys)」部門が提供するデジタル預金口座「ブロックチェーン・デポジット・アカウント(BDA)」だ。BDAは、顧客の銀行預金をブロックチェーン上のトークンとして表現するトークン化預金の一形態で、法的には通常の銀行預金と同等の位置づけにある。ステーブルコインが法定通貨や国債などを担保とする第三者発行型のデジタル資産であるのに対し、BDAはJPモルガンの信用力を裏付けとするため、機関投資家や事業会社にとって規制対応・リスク管理の観点から受け入れやすい。

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JPモルガンのブロックチェーン事業部門「キネクシス」はもともと「オニキス(Onyx)」として2020年に発足し、2024年11月に現行名称に改称された。同部門が提供するデジタル決済サービス「Kinexys Digital Payments(旧称:JPMコイン)」は現在、1日平均20億ドル超の取引を処理するまでに成長している。BDAはその中核インフラの一つとして位置づけられており、独BMWやシーメンス、米物流大手フェデックスなどグローバル企業がすでに利用しているとされる。

日系総合商社がBDAを選ぶ背景

総合商社はエネルギー・金属・食料など多分野にわたるグローバル事業を展開しており、複数通貨・複数時間帯にまたがる資金管理の複雑さが長年の課題とされてきた。従来のコルレス銀行を経由するSWIFT送金では、決済完了まで1〜2営業日を要するうえ、中継手数料の発生や照合作業の煩雑さも避けられなかった。

BDAを活用することで、三菱商事はロンドン・ニューヨーク・アジアなど各拠点間で24時間365日ほぼ即時にドル資金を融通できるようになる見通しだ。トークン化預金はブロックチェーン上でスマートコントラクトと連携可能なため、グループ内のキャッシュプーリング(グループ内資金の一元管理)の自動化や流動性の最適配置にも応用が期待される。日系大手商社による採用は、国内企業が同種サービスを検討する際の先行事例となりうる。

JPモルガンのブロックチェーン戦略と今後の展開

JPモルガンはキネクシスを核としたブロックチェーン決済基盤の拡張を加速させている。2025年11月には、米暗号資産交換業者コインベースが運営するパブリックブロックチェーン「Base(ベース)」上でドル建ての預金トークン「JPMD」の試験運用を開始。2026年1月には、金融機関向けプライベートブロックチェーン「Canton(カントン)ネットワーク」との連携も発表し、段階的にJPMDを同ネットワーク上で展開する計画を明らかにした。

一連の動きは、ステーブルコインへの関心が高まる中、銀行発行のトークン化預金が機関投資家や事業会社向けの規制準拠型デジタル決済手段として存在感を高めていることを示している。JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは2025年7月の決算説明会で「預金トークンはステーブルコインと実質的に同じもの。当行は両方に関与していく」と述べており、同行がデジタル決済領域への本格参入を明確に宣言した形だ。三菱商事の採用決定は、日本企業のトークン化預金活用における先駆的事例として、国内金融・産業界に一定のシグナルを発することになろう。

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