ポンドスターリング(GBP)は、米ドル(USD)に対して持ち直したが、8月22日の取引レンジ内での動きにとどまった。GBP/USDは再び上昇し、1.3500の水準を上回って徐々に回復した。
ポンドはレンジ内で変動
GBP/USDは先週後半の反発後、調整局面に入った。強気派と弱気派の綱引きが続いたが、米ドルの広範な下落を背景に、押し目買いが優勢となった。
米ドルは月間で下落を記録した。背景には、連邦準備制度(Fed)に対するハト派的な見方の強まりに加え、Fedの独立性に対する懸念が投資家心理を冷やしたことがある。
Sponsored今週のハト派的なFed関係者の発言は、ジェローム・パウエル議長が来月の利下げを確認したことを一層強調する内容となった。
金利は将来的に下がる可能性があるが、政策当局は経済指標を見極め、来月の利下げが妥当かどうかを判断する必要がある。
—— ジョン・ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁(ロイター報道)
また、木曜日遅くにはFedのクリストファー・ウォーラー理事が、9月会合での利下げと、今後3〜6か月間にわたる追加利下げを支持すると述べた。これは労働市場の悪化を防ぐためとしている。
市場は9月の利下げを85%〜90%の確率で織り込んでいると、CMEグループのFedウォッチツールが示している。
一方、トランプ米大統領とFedの対立も激化している。トランプ氏は今週初め、住宅ローン申請に関する虚偽発言を理由にリサ・クック理事を解任する意向を表明した。
しかしクック氏は、トランプ氏には解任権限がないと主張し、木曜日に解任阻止を求めて訴訟を起こした。
さらに米国副大統領JD・ヴァンス氏は木曜日のUSAトゥデイのインタビューで、Fedの自律性の終わりを示唆する発言を行った。
Sponsored Sponsored金曜日には、ブルームバーグが英国財務大臣レイチェル・リーブス氏の方針として、イングランド銀行(BoE)に預けられた納税者資金で利益を上げている商業銀行に臨時利益税を課す可能性を報じた。
ただし、この報道はポンドスターリングの相場には影響せず、GBP/USDはFedが重視するインフレ指標であるコア個人消費支出(PCE)価格指数の発表を控え、米ドルの動向に左右された。
米経済分析局(BEA)は、7月のPCE価格指数(前年比)が2.6%上昇し、市場予想および6月実績と一致したと発表。食品とエネルギーを除くコアPCE価格指数は、6月の2.8%に続き、予想通り2.9%上昇した。このデータに大きな市場反応はなく、GBP/USDは週末にかけて勢いを取り戻すことに苦戦した。
米国労働データが注目の的に
トレーダーは、祝日で短縮される今週、米国の主要経済指標の発表ラッシュを前に備えている。米国市場は労働者の日で月曜日に休場となる。
英国の高影響データは金曜日まで予定されていないため、市場は新たな材料を大西洋の向こう側に求めている。
Sponsored米国では、火曜日に供給管理協会(ISM)の製造業PMI、続いて水曜日にJOLTS求人調査が発表される。
木曜日にはADP雇用統計に加え、通常の週間失業保険申請件数、さらにISMサービス部門のPMIが公表される。
金曜日は英国小売売上高に続き、米国の非農業部門雇用者数(NFP)、失業率、平均時給といった月次雇用統計が発表され、最も注目度の高い一日となる。
市場はまた、地政学リスクや貿易動向、さらにはFed高官の発言が投資家心理に与える影響を注視し、米ドルとポンド相場を左右するとみられる。
ポンド/ドル: テクニカル展望
GBP/USDの日足チャートでは、ダブルトップの反転が21日単純移動平均線(SMA)と100日SMAの合流点で再び停滞し、1.3420付近で推移していることを示している。
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その後、21日SMAが木曜日に100日SMAを上回り、ブルクロスを形成し、さらなる上昇の可能性を開いた。
14日相対力指数(RSI)は中立水準で振幅しており、買い手に慎重姿勢を促している。
今後は、買い手が1.3496の50日SMAを突破できるかが焦点となる。次の上値の抵抗は1.3590付近のダブルトップ高値とされる。
さらに上昇が続けば、7月4日の高値1.3681、続いて7月1日の高値1.3788がターゲットとなる。
下値では、21日SMAと100日SMAの合流ゾーン(1.3450付近)を明確に下回ると、1.3300の大台に向けた新たな下落基調に入る可能性がある。
さらに下げが進めば、8月4日の安値1.3254が意識される展開となる。