分散型金融(DeFi)プラットフォームMorphoは28日、日本円にペッグされたステーブルコインJPYCと提携し、グローバル貸付ネットワークで日本円の貸し借りを開始すると発表した。JPYCは日本初の規制済みステーブルコインで、PAO TECH Labsが管理し、日本円や政府債に1:1で裏付けられている。同提携は、円安が進む日本経済と暗号資産市場の動向を背景に、DeFiでの多通貨利用を促進する可能性がある。
日本円貸付の新展開
Morphoは11月28日、JPYCとの提携を公表し、グローバル貸付ネットワークでの日本円の貸し借りサービスを間もなく開始するとした。JPYCは2023年の資金決済法改正後、初めて規制を受けたステーブルコインとして2025年10月27日に正式発行された。
SponsoredPAO TECH Labsが運営し、各トークンは国内銀行預金や日本政府債で裏付けられており、透明性と安定性が確保されている。この動きは、DeFiにおける新たな資産クラスの統合を示すものとみられる。
DeFi業界の動向と影響
暗号資産業界では、日本政府が11月21日に21.3兆円の経済刺激策を承認し、円安が進行する中、ビットコイン価格が下落する一方で、ステーブルコイン需要が増加している。JPYCのMorpho上での利用は、税制上の制約から現金化を避けたい日本人投資家にとって、暗号資産を担保に日本円を借りる選択肢を提供する可能性がある。
市場分析のDeFiLlamaよれば、2025年末までにステーブルコイン市場が現行の3.05兆ドルから約3.5兆ドル(15%増)に拡大するとされている。また、JPYCの流通量は現在の500億円から1000億円に倍増するとの予測もある。
日本経済との連動性
2025年11月28日時点で、米ドル対円為替レートは156.3880(前日比+0.05%)と、過去1年で4.39%下落し、円安が進行中だ。この状況下、輸入物価上昇が続き、企業や個人がDeFiを通じた日本円のデジタル化に注目している。Morphoのグローバルネットワークは、クロスボーダー決済やeコマースでの利用を想定しており、アジア太平洋地域での暗号資産採用を加速させる可能性がある。
一方、ビットコインは同日時点で1BTC=9万1100ドルと軟調に推移し、ステーブルコインへのシフトが顕著とみられる。こうした市場動向が、JPYCの多通貨利用を後押しする背景にある。規制当局はマネーロンダリング対策を強化しており、JPYCの動向が今後の金融政策に影響を与えるか注目される。