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米労働組合、年金懸念でRFIA暗号資産法案に反対

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著者:
Paul Kim

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編集:
Shota Oba

08日 10月 2025年 20:11 JST
Trusted-確かな情報源
  • AFL-CIOは、暗号通貨支持法案RFIAに反対する書簡を上院に送った。
  • 組合は、その法案が退職基金と米国の金融システムにリスクをもたらすと主張している。
  • 野党は、複数の暗号通貨支持条項を含む法案の通過を妨げる可能性がある。
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米国最大の労働組合連合AFL-CIOは、上院銀行委員会のメンバーに宛てて「責任ある金融革新法(RFIA)」に反対する公式書簡を送付した。労働者の年金資金や金融安定への影響を懸念している。

この書簡は、暗号資産業界の包括的な規制法案に対する初の大規模な労働団体による反対表明であり、法案成立の行方に大きな影響を与える可能性がある。

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労働組合が暗号資産法案に反対する理由

AFL-CIOの最高法務責任者ジョディ・カレマイン氏は、声明で、RFIAが暗号資産業界の規制を緩和し、退職金制度や年金基金を不安定な資産クラスに晒す恐れがあると指摘した。

「この法案の暗号資産の扱いは、労働者の401(k)や年金制度をリスクにさらし、米国の金融安定性そのものを揺るがしかねない。RFIAは“規制”の名を借りた実質的な緩和であり、退職金が投機的資産に流入することを認める危険がある」とカレマイン氏は警告した。

同氏はまた、「暗号資産市場のボラティリティは依然として高く、透明性や監視体制が整っていない現状では、労働者の退職資産を守るための規制強化が必要だ」と主張している。

暗号資産業界寄りとされる「責任ある金融革新法(RFIA)」

RFIAは、2022年にシンシア・ルミス上院議員(共和党)とキルステン・ギリブランド上院議員(民主党)によって初めて提出された超党派法案だ。法案は、暗号資産業界の明確なルール整備と規制負担の軽減を目的としている。

内容としては、CLARITY法など既存の暗号関連法案を包括的に統合し、暗号資産を一部の登録・報告義務から免除する条項を含む。また、NFTや分散型物理インフラストラクチャ(DePIN)を対象外とするほか、CFTCとSECが共同で運営する「マイクロ・イノベーション・サンドボックス」を創設し、スタートアップ企業が2~3年間規制緩和の下で実験的に事業を行えるようにする仕組みも盛り込まれている。

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こうした条項が、労働組合から「規制逃れ」「大企業優遇」として強い批判を浴びている。

政治的影響と今後の展望

AFL-CIOは、7月に公表した別の書簡でも、民主党議員に対し「労働者保護と投資家保護の条項が明確でない限り、RFIAに反対すべきだ」と要請している。

その結果、民主党内の一部議員が法案に慎重な姿勢を示すようになり、保守派との対立が激化。9月には上院銀行委員会のジョン・ケネディ上院議員(共和党)が「暗号資産市場構造法案は急ぐべきではない」と公に発言した。

労働組合は数千万の有権者を代表しており、その影響力は無視できない。AFL-CIOの反対が続く限り、RFIAの成立は遅れる可能性が高い。

カレマイン氏は結論として次のように述べた。

「我々はデジタル資産市場の透明性向上や適正な規制の必要性を認めている。しかしRFIAは“責任ある”どころか、実質的な規制緩和法案にすぎない。これは労働者を守る法律ではなく、ウォール街と暗号業界を利するものだ。」

暗号資産業界と労働組合という異なる勢力の衝突は、米国におけるデジタル金融政策の方向性を左右する新たな火種となっている。

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