SBIホールディングスは12日、シンガポール金融管理局が設立したグローバル・ファイナンス・アンド・テクノロジー・ネットワーク(GFTN)と共同で、最大2億ドル規模のフィンテック投資ファンドを設立すると発表した。同ファンドは人工知能、デジタル資産、サイバーセキュリティ、トークン化などの技術を採用する成長段階のグローバル企業を投資対象とする。
シンガポールを拠点とするSBI傘下のSBI Ven Capitalが運営を担当する。今回の提携により、SBIグループはアジア地域を中心としたフィンテック企業の成長支援を加速させるとともに、国際的な協業を推進する方針。
Sponsoredデジタル資産分野への戦略的投資強化
同ファンドの投資対象には、決済を含むフィンテック、デジタル金融インフラ、人工知能、デジタル資産、サイバーセキュリティなど、金融分野に応用される新興技術が含まれる。特にデジタル資産とトークン化技術への注目は、日本国内の暗号資産業界にとって重要な示唆を持つ。
SBIグループは既に国内外で暗号資産交換業やブロックチェーン関連事業を展開しており、今回のファンド設立により、グローバルなデジタル資産エコシステムとの連携が一層強化される見通しだ。
GFTNは130カ国以上にまたがるネットワークを通じて、イノベーター、起業家、投資家、政策立案者を結び付ける組織として機能している。
同組織の副会長であるニール・パレク氏は、「このファンドが投資家に対して高成長フィンテック企業へのアクセスを提供する」と述べた。SBI執行役員の川端信之氏は、「高いポテンシャルを持つフィンテック企業の成長を加速させ、世界中で新興技術の機会を開拓することが目標」と語った。
海外コミュニティでの反響も大きい。
あるXRPの専門家は「SBIはリップルとR3への投資を強調し、SBIがDLTとXRP関連インフラに長期的に注力している姿勢を改めて示した」と語っている。
Sponsored日本の暗号資産業界への波及効果
今回のファンド設立は、日本国内の暗号資産業界にもいくつかの影響をもたらす可能性がある。
第一に、SBIグループがグローバルなデジタル資産関連企業への投資を拡大することで、国内市場にも先進的な技術やビジネスモデルが導入される機会が増加すると見られる。特にトークン化やブロックチェーン基盤のインフラ技術は、金融商品のデジタル化や資産管理の効率化において重要な役割を果たす。
第二に、シンガポールを拠点とする投資活動の強化により、アジア太平洋地域における暗号資産ビジネスの連携が促進される。シンガポールは既に暗号資産に対する明確な規制枠組みを整備しており、同地域のフィンテック企業との提携は、日本企業にとって規制対応やコンプライアンス面での知見獲得につながる可能性がある。
第三に、GFTNのネットワークを通じた政策立案者との連携強化により、国内における暗号資産規制の議論にも影響を与える可能性がある。シンガポール金融管理局が設立したGFTNとの協業は、各国規制当局との対話の機会を提供し、日本における暗号資産関連政策の発展に寄与する可能性がある。
GFTNのグループCEOであるソプネンドゥ・モハンティ氏は、「この協業が信頼、包摂性、持続可能な成長を促進する枠組みの中で、資本とイノベーションを結び付ける使命を推進する」と述べた。
SBIグループはこれまでも国内外で暗号資産取引所や関連サービスを展開してきたが、今回の大規模ファンド設立により、デジタル資産エコシステムにおける存在感をさらに高めることが予想される。国内業界にとっては、グローバルな技術動向や投資トレンドへのアクセスが容易になる一方、競争環境も変化する可能性がある。