東証グロース上場のDef Consulting(証券コード:4833)は17日、SBIクリプトアセットホールディングス代表取締役社長の田代卓氏をアドバイザーとして迎え入れたと発表した。田代氏はSBIグループにおいて暗号資産事業を牽引してきた経験を持ち、今後は同社のデジタル資産トレジャリー事業の戦略的推進を支援する。同社は今後、社内手続きを経て田代氏の社外取締役就任も検討している。
SBIグループ要職を歴任する田代氏が参画
田代卓氏はリミックスポイントで暗号資産事業を統括した後、ビットポイントジャパン代表取締役社長、リミックスポイント代表取締役社長を歴任した人物である。現在はSBIクリプトアセットホールディングス代表取締役社長を務めるほか、ビットポイントジャパン取締役、HashHub取締役、SBI XDC Network APAC取締役など複数の要職に就き、国内外のWeb3およびデジタル資産領域の最前線で活動している。
Def Consultingは2025年9月からデジタル資産トレジャリー事業を中核戦略として始動させ、イーサリアム(ETH)を軸にしたトレジャリー運用・保有戦略を推進している。従来のトレジャリー(財務運用)が法定通貨による資金保全を目的としていたのに対し、同社はブロックチェーン技術を活用した戦略的財務への転換を進めている点が特徴である。
田代氏のアドバイザー就任により、同社はガバナンス、リスクマネジメント、Web3金融構築といった分野における実践的知見を獲得できる体制となる。同社はこれまでにSBI VCトレードおよびビットポイントジャパンとの業務連携を発表しており、今回の田代氏の参画はSBIグループとの関係をさらに強化する動きとなる。
イーサリアム中心のトレジャリー戦略を展開
Def Consultingが推進するデジタル資産トレジャリー事業は、イーサリアムを中核に据えたデジタル資産の運用・保有を通じて、企業財務とブロックチェーンの融合を実現することを目指している。具体的には、分散型運用(DeFiおよびステーキング)の実装やETHトレジャリーの最適化、デジタル資産を活用したコーポレートファイナンスの強化を田代氏の助言のもと推進する方針である。
同社の下村優太代表取締役社長は「田代氏の参画は、当社が掲げるデジタル資産トレジャリー戦略を世界水準へと進化させる大きな一歩である。SBIグループで培われたグローバルな知見と、Def Consultingが持つ機動力を融合させることで、企業の財務がブロックチェーンで最適化される未来を現実のものにしていく」とコメントしている。
田代氏は早期の支援体制を構築するため、まずアドバイザーとして参画し、その後所定の社内手続きおよび株主総会での審議を経て社外取締役としての選任が検討される予定である。同社は田代氏の経験と人脈を活用し、国内外の金融機関やWeb3スタートアップとの連携を拡大する計画だ。
日本発のデジタル資産財務モデル構築へ
Def Consultingは、イーサリアムを軸とした「ネクストトレジャリー」の確立を通じて、日本発の新しい財務モデルを創出し、世界へ発信することを目標としている。企業が保有する資産をブロックチェーン上で運用することで、より効率的かつ持続的な企業価値の向上を実現する狙いがある。
田代氏の参画は、金融とブロックチェーンが融合する新時代における同社の戦略的な布石と位置づけられる。暗号資産市場が成熟期に入る中、企業のトレジャリー戦略にデジタル資産を組み込む動きは国際的にも注目されており、マイクロストラテジー社などがビットコイン(BTC)をトレジャリー資産として保有する事例が知られている。
Def Consultingはイーサリアムに焦点を当てることで差別化を図り、日本市場における先駆者としての地位確立を目指す。同社は今後、田代氏の知見を活用しながらデジタル資産トレジャリー事業の拡大を進め、新たな成長フェーズへの移行を加速させる方針である。