Amazon Web Services(AWS)が30日、再び障害を起こした。10月20日の大規模障害に続く2度目の停止。AWSに依存する多くの暗号資産プラットフォームでも運用停止や接続不良が報告されている。
断続的な障害により、暗号資産保有者は資産安全性の確保に不安を抱く状況だ。主要サーバーが長時間オフラインになれば、ブロックチェーンやデジタル資産の安全性は脅かされる。
SponsoredAWSはWeb3の基盤、分散化の落とし穴
ブロックチェーンは分散化を原則とする。しかし、Web3の多くのスタックは完全に分散化されていない。
重要インフラの大半は中央集権的なクラウド上で稼働する。RPCエンドポイント、API、取引所フロント、分析ダッシュボード、価格フィード、ウォレットサービスまで含まれる。特にAWS US-East-1への依存度が高い点が課題だ。
Infura、Alchemy、QuickNode、Ankrなど多くのノードホスティングがAWS上で大規模クラスターを運用している。多くの取引所、カストディアン、ウォレットは計算資源とデータ保管でAWSに依存する。
注目すべきは、イーサリアムのメインネット自体の分散化は維持されている点である。ただし、そのアクセス(RPCゲートウェイやAPI)は中央集権的なインフラを経由することが多い。
今月2度あったように、AWSが障害を起こすと、影響するのはブロックチェーン本体ではなくアクセス層である。だが一般の利用者には「ブロックチェーンが落ちた」と区別がつかない。
つまり、ネットワークの安全性は保たれるが、利用者のアクセスは中央集権的なポイントでボトルネックになる。
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10月20日の障害時、MetaMaskとUniswapの利用者は、RPCエンドポイントのタイムアウトで接続失敗を経験した。
また、NFTマーケットプレイスやデータオラクルで更新が遅延した。DeFiプロトコルの一部は、AWS上で稼働するミドルウェアAPIが到達不能で、価格フィードの取得やスマートコントラクト呼び出しを完了できなかった。
これは隠れた構造的弱点を示す。「アクセス層」が少数のハイパースケールクラウドに集中している。
SponsoredAWSやAzure、Google Cloudで連鎖障害が起きれば、「分散型」のエコシステムでも一時停止し得る。
分散化された家に中央集権の鍵が1つだけあるようなものだ。そして鍵サービスがオフラインになる。
AWS障害は暗号資産に実損を招くか
短期的には、アクセス障害は起こり得る。利用者は取引やブリッジ、取引の検証ができない可能性がある。
また、カストディアンで承認遅延やレポーティング障害が起き得る。取引所はAPIノードが落ちると出金を一時停止せざるを得ない場合がある。
ただし、オンチェーン資産自体の安全性は維持される。これらは世界に分散したブロックチェーンノード上に存在し、稼働を続ける。リスクは資産の安全ではなく、取引の継続性である。
Sponsored Sponsoredより微妙なリスクは市場の反応である。変動が大きい局面で大規模クラウド障害が起き、取引所やオラクルのフィードが止まると、流動性ギャップとスリッページが増幅し、フラッシュクラッシュやアービトラージの異常を招き得る。
「エッジの中央集権化」が、分散型世界の単一障害点になりつつある。
将来、AWS規模の障害がオンチェーンの活発化と重なると、例えばビットコインの半減期やETF主導の上昇局面で、利用者はウォレット凍結、スワップの停止、流動性プールの停止に直面し得る。
これは仮説ではない。2021年と2025年のAWS障害は、NFTマーケットプレイス、ウォレットAPI、複数の取引プラットフォームに影響した。
総じて、AWS障害は暗号資産へのアクセスに対する実在の構造的リスクであり、暗号資産の安全性へのリスクではない。自称分散型のエコシステムに中央集権がどれほど根深いかを露わにする。