SynthetixプロトコルのネイティブトークンであるSNXは、イーサリアム(ETH)メインネットで予定されているパーペチュアル型分散型取引所(DEX)の公開を前に、10か月ぶりの高値を記録した。
この急騰は暗号資産市場全体の回復と時を同じくしており、SNXは主要銘柄の中でも際立つパフォーマンスを示している。
SponsoredSynthetix(SNX)、暗号市場の暴落後に80%超上昇
Synthetixは、株式や商品、暗号資産といった現実資産の価値を反映する「シンセティック資産(合成資産)」を、実物を保有せずに発行できるプロトコルだ。CoinGeckoによると、SNXは合成資産分野でChainlink(LINK)に次ぐ規模を持つトークンである。
市場初期から存在する老舗プロジェクトだが、近年は注目度が低下していた。しかし、最近の市場動向を受けて再び脚光を浴びている。
暗号資産市場全体と同様に、SNXも金曜日に急落した。アルトコイン市場は、トランプ大統領による関税発表を受けた高いボラティリティのなかで、3か月ぶりの安値に沈んだ。
しかしSNXが注目を集めたのは暴落そのものではなく、その後の急速な反発だ。日曜日の市場回復局面でSNXはさらに勢いを増し、98%の上昇を記録。主要暗号資産を上回る値動きを見せた。
SNXは市場暴落前の高値を一気に取り戻す「神のキャンドル」を見せた —— CryptoKaleo
この上昇トレンドは現在も続いており、SNXは1月以来の高値圏にある。BeInCrypto Marketsのデータによると、過去24時間で80%以上上昇し、CoinGeckoで日間上昇率トップに立った。本稿執筆時点では1.76ドル前後で取引されている。
SNXの取引活動も価格とともに急増している。執筆時点で日間取引量は6億2600万ドルに達し、前日比で834%増を記録した。
SynthetixのPerp DEXローンチを前に、アナリストの見方が分かれる
SNXの上昇は市場心理の改善だけでなく、今後の注目イベントにも支えられている。ネットワークは2025年第4四半期にイーサリアムメインネット上で初のパーペチュアルDEXを立ち上げる予定だ。
この動きは、パーペチュアルDEXへの関心が急増するタイミングと重なっており、Synthetixは同時に新たな取引コンペティションの実施も予定している。
一部アナリストは、DEXの公開がSNXの勢いを一段と押し上げる可能性を指摘している。
新しいSynthetixのパーペチュアルDEXがまもなく始動する。HyperliquidやLighterが課題を抱える中で、Synthetixが何を提示できるかへの期待が高まっている —— Route2FI
別のアナリストは、今後数か月のSynthetixの展開が「非常に興味深いものになる」とし、取引コンペティションがトップトレーダーによる発信を通じて可視性を高めると述べている。
マインドシェア(市場の注目)がSNXに集まり始めるだろう —— TacticalInvest
このアナリストはさらに、SynthetixがHyperliquidやLighterが採用する仕組みに似た流動性プロバイダボールト(SLP)を開発中である点に言及。資本効率向上を目指すこの取り組みは、まだ本格稼働していないが、SNXには大きな上昇余地があると見ている。また、この展開はZCash(ZEC)やDash(DASH)などで見られたパターンに似ていると述べた。
Sponsored Sponsored一方で、強気な見方に懐疑的な声も根強い。Synthetixがこれまでの製品ローンチで成果を上げられなかった点を理由に、成功を疑問視するトレーダーもいる。
Synthetixに強気なのは理解できない。彼らはステーブルコインも、融資も、取引もうまくいかなかった。それなのに今度はパーペチュアルDEXで成功すると?笑 —— Shual
また、匿名アナリストのAltcoin Sherpaはポンプ・アンド・ダンプの可能性を指摘し、SNXを「長らく死んでいたプロジェクト」と評した。
VCの売り圧力がゼロで流通量が多い点は興味深いが、実際の製品に裏打ちされていない供給調整型のポンプ・アンド・ダンプに過ぎないだろう —— Altcoin Sherpa
こうした中で、今回の急騰が短期的な楽観に基づくものか、持続的なトレンドとなるかは不透明だ。今後数週間の動向がSNXの真価を試す局面となる。