広告大手・博報堂と日本発のパブリックブロックチェーン「Astar Network」開発のStartale Labs Japan(代表:渡辺創太氏)が共同で設立した博報堂キースリーは25日、高速ブロックチェーンプラットフォーム「ソラナ(Solana)」のバリデータノードの運用を開始した。日本国内の広告会社としては初めてのバリデータ運用となる。
技術パートナーには、ドバイを拠点とするソラナ専門のDawn Labsを選定し、安定稼働体制を構築した。ソラナは現在、VisaやStripeなど世界的決済大手による採用が進んでおり、企業のインフラ参加が国際的なトレンドとなっている。
決済インフラとしてのソラナ台頭が背景に
博報堂キースリーはこれまで1年以上にわたり、ソラナ主要プロジェクトの日本市場進出支援や開発者向け教育コンテンツ配信を通じてエコシステム発展に貢献してきた。今回のバリデータ運用開始の背景には、グローバルでの決済領域における実装進展がある。
SponsoredVisaは2023年にソラナをUSDCステーブルコイン清算ネットワークとして採用し、2025年11月には180カ国でのUSDC決済を開始した。決済大手Stripeも2024年10月に6年ぶりに暗号資産決済を再開し、ソラナ上でのUSDC決済対応を発表している。これらの動きは、ソラナの高速性と低コストという技術的優位性が実用段階に達したことを示している。
国内においても、2025年10月に東証グロース上場のモブキャストホールディングスが累計約3億円相当のSOLを取得し、「ソラナ・トレジャリー事業」として企業財務への組み込みを発表した。同社は11月25日時点で約11,287SOLを保有している。
ソラナネットワークは現在3,200以上のバリデータによって支えられており、海外では2025年9月にカナダのSol Strategiesがナスダックへの上場を承認され、43万SOL以上を保有する企業として注目を集めるなど、企業による積極的な参加が続いている。
ソラナエコシステム強化と事業者支援へ
今回の運用開始にあたり、博報堂キースリーはDawn Labsの技術支援を受けている。Dawn Labsはソラナバリデータ運用で上位10%水準のパフォーマンスを維持する専門企業であり、インフラ構築から保守・運用までの体制整備に協力した。
博報堂キースリーは、バリデータ運用を通じて得られる知見を活かし、ソラナ活用を検討する事業者への支援を強化する方針だ。ソラナ上での新規アプリケーション開発やマーケティング施策の実施支援に加え、SOLを保有または保有を検討する事業者の財務戦略に関する相談にも対応する。
ソラナは2025年1月から9月にかけて約1万1500人の新規開発者を獲得し、イーサリアムの約1万6000人に次ぐ規模となった。83%の年間成長率は主要ブロックチェーンの中で最速を記録している。DeFiにおけるロック資産総額(TVL)は2025年11月時点で約9億ドルに達し、イーサリアムに次ぐ第2位の地位を維持している。
ブロックチェーン技術の社会実装が本格化する中、広告業界からのインフラ参加は、企業によるWeb3領域への関与拡大を象徴する動きといえる。