Strategy(マイクロストラテジー、NASDAQ: MSTR)は2025年第3四半期の純利益が28億ドルとなり、前年同期の3億4000万ドルの赤字から大幅に回復した。
同社は通期の営業利益340億ドルとビットコイン益200億ドルの見通しを再確認し、世界最大の企業ビットコイン保有者としての地位を固めた。
Sponsored戦略とビットコイン上昇で第3四半期好業績
Strategyは9月30日までの3カ月で純利益27億8000万ドル(1株当たり8.42ドル)を計上。前年同期は3億4020万ドルの赤字(1株当たり1.72ドル)。当期の営業利益は39億ドル。
マイケル・セイラーCEOは発表をXで行った。「Strategyは2025年Q3決算を発表し、2025年見通しを再確認。Q3の結果:営業利益39億ドル、純利益28億ドル、希薄化後EPS8.42ドル」
収益性は主にビットコイン保有益に由来する。2025年10月26日時点で、Strategyは640808ビットコインを保有。取得原価は474.4億ドル、1枚当たり74032ドル。ビットコインは現在約107833ドルで、未実現利益は多額。
戦略的ビットコイン財務モデルが自己強化の循環を生む
Strategyのビジネスモデルは、業界関係者が「ビットコイン財務会社」と呼ぶ形に進化。同社はビットコインを主要な財務準備資産として保有する。この買い持ち戦略が、同社の評価方法を根本から変えた。
Sponsored Sponsoredビットコイン上昇はStrategyの株価を押し上げる傾向。これにより同社は株式発行で追加資金を調達できる。資金はビットコイン購入に再投資され、自己強化的な循環が生まれる。このモデルは他社にも類似の財務戦略を促した。
会計基準の変更で利益計上が可能に
昨年第4四半期まで、Strategyは取得原価を下回った場合のみ減損を計上できた。価格上昇の利益は売却しない限り未実現のままだった。会計処理の変更により、ビットコインの評価益を計上可能となった。
この会計変更はStrategyの財務諸表を一変させた。同社は保有ビットコインの時価を反映した四半期利益を報告できる。これにより同社のビットコイン財務戦略の経済実態がより透明になる。
Sponsored Sponsored通期見通しと市場動向
Strategyは2025年通期見通しを再確認。営業利益340億ドル、ビットコイン益200億ドルを見込む。セイラーCEOはビットコインポジションをヘッジしない方針を強調した。
「セイラー氏は上場企業を新時代の財務拠点に変えた。多くのCEOが四半期ごとの評価を追う一方、同氏は並行する準備システムを築いている。各決算は業績報告というより、預言の成就に近い」
ビットコインの堅調と収益性にもかかわらず、Strategyの株価は2025年の年初来で約12%下落。同期間のビットコインは14.5%上昇。乖離は、バリュエーション、増資による希薄化、規制不確実性への懸念を織り込む可能性を示唆。
Sponsoredただし決算発表後の時間外取引で株価は約4%上昇。これは同社のビットコイン財務モデルへの投資家の関心が続くことを示す。
企業財務部門の資金管理への広範な影響
Strategyの成功は企業財務に広範な示唆を与える。トランプ米大統領のデジタル資産重視と、米国を世界の暗号資産ハブにするという公約が支援的な規制環境を生んだ。強いETF資金流入が2025年のビットコインの過去最高値更新を複数回後押しした。
同社のモデルは、企業がビットコインを財務準備資産として活用する方法を示す。これは短期証券や債券に依存する従来の資金管理からの転換。ビットコインが機関向け資産クラスとして受容を高めるなか、同様の財務戦略を検討する企業は増える可能性がある。
Strategyの四半期決算は「ビットコイン財務会社」概念の正当性を引き続き裏付ける。このモデルは従来の企業財務管理の概念を変革し、多額の暗号資産を保有する企業の評価枠組みに新機軸をもたらす。