TRON創設者ジャスティン・サン氏はTOKEN2049でSunPerpの運営指標を公開し、公開ベータ開始後のユーザー獲得と取引量を明らかにした。
ロードマップには、流動性拡大を狙った複数チェーン統合が含まれる。サン氏は非カストディアルな設計を重視し、分散型金融を仲介型プラットフォームの構造的代替と位置付けた。
Sponsoredベータ指標:初期ユーザー関与を確認
SunPerpの公開テストは9月下旬に開始。プラットフォームデータでは、10日間で登録ユーザー7,000超、USDT建て契約の累積取引量は約2,000万ドル。プロトコルのTVLは約2,400万ドルと報告された。
分散型デリバティブは既存勢力が強い。DeFiLlamaによると、ハイパーリキッドは24時間パーペチュアル出来高の約31%を占める。SunPerpはTRONのステーブルコイン基盤(豊富なUSDT流通)を活かし、既存ユーザーの取り込みで優位を狙う。
サン氏はTOKEN2049で、ベータ初期参加者に取引活動の遡及的リワードが付与されると発表。手数料は既存プラットフォームと競争力を持たせる設計だが、具体比較は開示されなかった。自動デレバレッジとサブセコンド約定も特徴として掲げる。
クロスチェーン統合:流動性拡大を狙う
開発チームは、Polygon、Aptos、Suiとの技術統合を進行中と説明。TRON外の流動性プールやユーザーベースへのアクセスを狙い、チェーン間の流動性断片化に対処する。相互運用性の強化はDeFi全体の潮流とも合致している。
マルチチェーン化の具体的な導入時期は未提示。技術文書ではブリッジプロトコルの活用に言及するが、個別パートナーは未公表。広域ネットワーク対応で、チェーン非依存型の競合に対抗する構図だ。
Sponsored統合先の選定は、成熟したDeFiエコシステムと十分なステーブルコイン流動性を優先。Polygon、Aptos、Suiは活発なコミュニティと金融アプリ基盤が整備されつつある。今後は、増加する出来高を捌く運用能力の確保が鍵となる。
設計思想:完全オンチェーンの非カストディアル
SunPerpはカストディアルを介さず、ユーザーはスマートコントラクト経由で資産を自己管理。取引はオンチェーンで清算され、集中型オーダーブックに依存しない。オフチェーン要素を併用するハイブリッド型と一線を画す。
サン氏は、技術が同等以上の性能を提供できるなら、金融インフラはブロックチェーンに移行すべきと主張。完全オンチェーンの利点として、透明性、カウンターパーティリスク低減、単一点障害の排除を挙げた。
非カストディアルは、プライベートキー管理と執行責任がユーザー側にあることも意味する。SunPerpはUI/UXで複雑性を抽象化しつつも、根幹のセキュリティモデルは分散化を堅持する。
ベータ期の受容は、TRON圏でのパーペチュアル需要の持続性を測る試金石となる。高ボラティリティ時のレイテンシ・清算耐性・スケーラビリティは本番環境でまだ十分検証されていない。
分散型デリバティブ市場はネットワーク効果と流動性の深さが勝敗を決める。SunPerpがマルチチェーンで厚みのある板を築けるかが、長期ポジショニングの核心になる。