テザー社(Tether)は、TRONネットワーク上で新たに10億ドルのUSDTをミント(鋳造)した。USDTステーブルコインの発行者である同社は、過去1週間で約40億ドルをミントしている。
大量ミンティングで忍び寄る調査
ステーブルコイン市場で最大のシェアを持つテザー社は、その準備金についてこれまでたびたび調査を受けてきたが、今回の大量ミンティングでも調査を受けることになるとみられる。テザー社の資金供給は準備金に裏付けられており、会計事務所BDOは直近で、テザー社の準備金のうち9億6,000万ドルが余剰分であったことを確認している。
また、テザー社は同社の準備金のうち財務省証券の割合を58%に増やした。
こうした一連のミンティングは、ステーブルコインの競争が激化する中で、テザーが他のステーブルコインの投資家を引き付けようとしているためである。テザー社は、市場で圧倒的なステーブルコインの発行会社であり、それがすぐに変わる状況にはならないとみられる。しかし、USDTのようなステーブルコインが衰退し、市場に多大な影響を与える可能性を懸念する声も依然としてある。
テザー社は最近、ウォール・ストリート・ジャーナルの調査により、同社のパートナーが、銀行口座へ同社がアクセスできるように不正書類を用いたと指摘されたことから、より厳しい監視の目にさらされている。同調査レポートは、テザー社が2018年に銀行システムにアクセスするためにペーパーカンパニーを利用したと記している。
イーサリアムはテザーのミントで恩恵を受ける可能性も
テザー社は、USDコイン(USDC)が直面した問題の影響により、USDTの需要増大という追い風を受けミンティングを行っている。このことは、アナリストが、今後もUSDTが支配的なステーブルコインであり続ける可能性があると考える理由の1つとなっている。こうした(USDTの)優位性は今後中期的に持続すると予想されている。
USDTは、人気のある暗号資産の一つであるため、その需要増大はDeFi市場にプラスの影響を与えるとみられる。そのため、USDTのミンティングがイーサリアムとそのエコシステムにプラスの相乗効果をもたすことも考えられる。
USDTのドミナンスが18ヶ月ぶりの高水準に
テザー社のステーブルコインの優位性も1年半ぶりの高水準となり、将来に向けた強い兆しが見える。ステーブルコインの市場シェアでは、テザー社のトークンが60%近くを占め、圧倒的な優位にあり、USDCが約27.5%でその後に続いている。
さらに、USDC発行元のサークル(Circle)がシリコンバレー銀行に約33億ドルを預けていたことも、ステーブルコインの後退に影響している。いずれにせよ、ステーブルコイン市場は注視する必要があり、今後、間違いなく何らかの変化があるとみられる。
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