トランプ家が支援するマイニング企業、アメリカン・ビットコインが本日ナスダックで取引を開始した。株価は一時60%急騰し、その後も大幅高を維持している。
同社はデジタル資産財務(DAT)戦略を掲げ、自社でBTCを生産して株主の希薄化を回避する計画だ。
アメリカンビットコインとトランプ家
トランプの暗号資産帝国はここ数カ月で大きく多角化しており、3月には新たな暗号資産マイニング事業のアメリカン・ビットコイン・コープを支援した。
SponsoredHut 8とのパートナーシップを基盤とする同社は、巨額の資金調達契約を受けたのち、ナスダック上場が待望されていた。
本日、同社株の取引が始まり、初動で60%急伸と好スタート。その後ピークからはやや押したものの、なお40%以上の上昇率を維持している。

トランプ大統領の暗号資産に最も関与する息子エリック氏とドン・ジュニア氏は、アメリカン・ビットコインの上場を大々的に発信している。同社は数カ月にわたり、Gryphon Digital Miningとの合併を含む計画を温めてきたが、トランプ家はこれを新時代の幕開けと位置づける。
これに合わせ、トランプ家によるアメリカン・ビットコインの計画に関する追加の開示もあり、詳細が明らかになった。本日のプレスリリースが説明するように、同社はビットコインマイニングだけに収益源を依存する方針ではない。BTCへの投資家エクスポージャーを提供するデジタル資産財務(DAT)戦略も併走させる考えだ。
公開市場の支援を受け、アメリカン・ビットコインはビットコイン蓄積の新たな標準を示せると確信している。ビットコインのマイニングと、機会を捉えた市場での購入を組み合わせることで、ビットコイン・パー・シェアの成長を迅速かつ効率的に促す体制を整えた。
—— アッシャー・ジェノート(American Bitcoin エグゼクティブ・チェアマン/Hut 8 Corp CEO)
要するに、方針は明快だ。Hut 8とGryphonのマイニング設備・リソースを活用し、大規模な株式売却に頼らずにBTC蓄積を進める。これにより株主の希薄化リスクを回避しつつ、トランプ家がアメリカン・ビットコインへの実質的な影響力を維持できる。
一部のBTCマイナーがAI事業へ軸足を移す動きもあるが、プレスリリースではこの種の活動には触れていない。報道の一部は、Hut 8がパートナーシップとは別に当該収益源を模索していると伝えているものの、アメリカン・ビットコインは当面、マイニングと蓄積に焦点を絞る。
今週初めのWLFI上場に続き、アメリカン・ビットコインの上場は、トランプ家にとって数日で2件目の主要な暗号資産関連イベントとなる。最初の出来事は家族の資産を50億ドル押し上げたと報じられ、今回のナスダック上場も追い風となる見込みだ。
倫理面の論点は残るが、同家の他の暗号資産関与と比べても、際立ったエスカレーションではない。現時点でアメリカン・ビットコインは、トランプ帝国を形作るピースの一つに過ぎない。