ロシアの高官が、米国が国家債務の一部をステーブルコインや金に移行する可能性を指摘した。これは債務の実質的価値を縮小させ、金融システムをリセットする手段になり得ると主張した。
ウラジーミル・プーチン大統領の特別顧問、アントン・コビャコフ氏は東方経済フォーラムで発言し、ワシントンの金融戦略全体に疑問を投げかけた。
ロシア高官が米国の債務戦略を指摘
コビャコフ氏は、米国が35兆ドルの債務を管理する新たな方法を模索しているとし、「米国はドルへの信頼低下に対抗するため、金や暗号資産市場のルールを調整している」と述べた。
Sponsored同氏は、米国政府は債務の一部をステーブルコインに「置き換える」ことができるとし、それを「暗号クラウド」と表現。こうした措置で債務価値を縮小し、「ゼロからの再出発」を可能にすると主張した。さらに1930年代や1970年代に米国が採った戦略に似ており、当時も世界的な金融調整のコストを他国に転嫁したと比較した。
また、金とステーブルコインが国際市場における代替通貨としての役割を果たしており、米国はそれらを統合することで変化する環境下での立場を維持しようとしているとも強調した。
この見解については、米国財務長官のスコット・ベッセント氏も、デジタルドルに連動した資産がドルの基軸通貨としての地位を強化し得ると同調している。
米国の立法と各国の反応
2025年7月、ドナルド・トランプ大統領は、法定通貨や米国債などの担保に裏付けられたステーブルコインの発行・取引枠組みであるGENIUS法に署名。支持派はこれにより規制の明確化が進み、ドルの国際的な影響力維持につながると主張している。
一方ロシアは、トロン上でルーブル裏付けのステーブルコインA7A5を発行する計画を進めており、USDTなどドル連動資産への依存を軽減する狙いだ。
コビャコフ氏は、米国がデジタル資産を活用して債務を管理しようとする一方、ロシアは独自の決済ネットワークを構築しようとしており、この両国の戦略が世界金融における暗号資産の役割拡大を象徴していると指摘した。