EUR/USDは3週連続でほぼ横ばい推移となり、1.1700近辺で週越し。9月入り直後に1.1736まで上昇したものの、その後は1.1600に迫る場面もあった。金曜日には7月末以来となる1.1759の週内高値を更新し、高値圏維持は米ドル(USD)軟化の継続を示唆している。
国債市場の混乱
Sponsored週初のUSD高は米国内要因というより、英国(UK)発のリスク回避が主因。30年物英国債利回りは1998年以来の高水準5.680%へ上昇し、グローバルなソブリン債市場に波及した。年金基金のポジション調整、財政拡張、増税観測など複合要因が重なったが、ほどなく落ち着きを取り戻し、市場の視線は米国データへ回帰した。
米国の雇用と成長の低調
米7月JOLTS求人は718万件(前月735万件から下方修正、予想740万件を下回る)。8月チャレンジャー人員削減は85,979件と7月比+39%で2020年以来の高水準。ADP雇用者数は+54,000(予想+65,000、7月+106,000改定)と弱く、新規失業保険申請は237,000(予想230,000、前週229,000)へ増加。
ISMは製造業PMIが48.7(予想49、7月48からは改善)、サービス業PMIは52.0(7月50.1から上昇)。インフレサブ指数は軟化、雇用はわずかに改善。総じてUSDへの影響は限定的ながら、今月のFOMC利下げ観測を後押しした。
決定打はNFP。8月の非農業部門雇用者数は+22,000(予想+75,000)、失業率は4.3%(前月4.2%)、労働参加率は62.3%(前月62.2%)へ上昇。平均時給の前年比は3.7%(前月3.9%)に鈍化。これを受けUSDは急落、CME FedWatchでは9月の利下げ確率が上昇、50bp観測も一部で浮上。10月・12月も含め年内の複数回利下げが織り込み拡大し、株高・ドル安で週末を迎えた。
欧州の混合データがユーロに影響
ユーロ圏HICPは8月前年比+2.1%(予想上振れ)、コア+2.3%(7月と同、予想2.2%を上回る)。月次HICPは+0.2%(7月0%)。PPIは前年比+0.2%(予想+0.1%、6月+0.6%から減速)。一方、小売売上高は7月-0.5%(予想-0.2%、6月+0.6%から反落)。年率は+2.2%(予想+2.4%、前回+3.5%)と伸び鈍化。ユーロ自体の手掛かりは乏しく、対ドルでは米金利・景況サプライズが主導した。
欧州中央銀行、現状維持へ
ECBは木曜会合で金利据え置きが大勢。新たなマクロ見通しも大幅な変更は見込み薄で、EU・米国の通商環境改善によりリスクは低下傾向との評価が想定される。市場は緩和サイクル終了の確認を求めている。
米側では8月CPI(前年比+3.1%)に続き、7月PPI、9月ミシガン大学消費者信頼感(暫定)などが予定。ドイツは8月HICP確報を発表する。
SponsoredEUR/USD テクニカル見通し
週足:リスクは上方向に傾く一方、モメンタムは限定的。8月安値のすぐ上での揉み合いは、買い手の躊躇を示唆。ただし価格は20SMAを明確に上回り、同線接近では速い反発が続く。100・200SMAは緩やかに上向きで、短期SMAよりかなり下に位置し中長期トレンドはニュートラル〜やや強気。オシレーターはポジティブ圏での横ばい後に上向きつつあり、上伸余地を示すが確証には至らず。
日足:テクニカル指標は切り返し、RSIは56付近で上向き。20SMA(約1.1665)を挟んだ持ち合いで、同線が動的サポートに。100SMAは1.1525付近でフラット化。
レベルまとめ:上値は1.1740の明確上抜けで年初来高値1.1830へ、さらに1.1900が視野。一方、下値は1.1665(20SMA日足)→1.1590→1.1530(20週SMA)で押し目候補。米NFP弱含みと複数利下げ織り込み、そしてECB据え置き見通しの組み合わせは、当面のユーロサポート/ドル軟化に傾きやすい構図だが、ブレイクの最終確認には1.1740超の定着が必要だ。