米下院歳出委員会が、戦略的ビットコイン備蓄とデジタル資産備蓄の研究を財務省に義務付ける2026年歳出法案を前進させた。
この指示はH.R. 5166に盛り込まれており、資産の保管・サイバーセキュリティ・会計に関する報告を90日以内に提出するよう求めている。
Sponsored財務報告と政治的背景
金融サービス・一般政府歳出法案は、財務省の運営費に2億3900万ドル超を計上。第137条・138条では、デジタル資産を連邦バランスシートにどのように表示するか、保管パートナー候補、制度上の障壁などの分析を財務省に指示している。
さらに、財務省と国家安全保障局に対し、デジタル資産管理に関する機密報告を要求。国家安全保障上の懸念が強調されている。
今回の指令は購入義務ではないが、ビットコインを初めて米財政政策の中心課題に位置づけた。
同時進行で規制議論も進展。ルーベン・ガレゴ上院議員は、非証券デジタル資産をCFTCの監督下に置き、消費者保護を強化する新枠組みを発表。一方で、ドナルド・トランプ前大統領による暗号ビジネス利用を私的利益目的と批判した。
BeInCryptoの報道によれば、トランプ家のWLFIトークン発行は純資産を一時的に50億ドル押し上げ、政治的影響力への監視を強めた。エリック・トランプ氏はむしろビットコイン支持を強め、ソウルのイベントで「12〜18か月で爆発的成長」と発言した。
Sponsored市場インフラ面でも変化が進む。ナスダック社長タル・コーエン氏は、米株式のトークン化取引を可能にするSEC申請を発表。革新と投資家保護の両立を強調した。
「最も強い市場は信頼に基づいて築かれる。革新と保護のバランスが取れれば、市場はより効率的で、より良いものになる」 — タル・コーエン氏
法執行・制裁・今後の展望
法案はまた、テロ・金融情報局に2億3000万ドルを充て、制裁執行のためのAIツール開発に資金を投じる。数日前には財務省OFACが、米国人から100億ドル超を奪った東南アジアの人身売買系暗号詐欺ネットワークを制裁している。
「東南アジアのサイバー詐欺は米国人の財政安全を脅かすだけでなく、何千人もの人を現代奴隷にしている」 — ジョン・K・ハーリー財務次官
加えて、法案は財務省によるCBDC設計・開発への歳出利用を禁止。議員らは「戦略的ビットコイン備蓄」の研究を、大規模改革に踏み込むことなく暗号資産の役割を探る手段とみている。
新たな備蓄指令、市場改革、トランプ家の暗号事業などの動向は、デジタル資産が米国の経済・政治・安全保障の議題に組み込まれつつあることを示す。財務省の報告は、ビットコインが備蓄手段となるのか、規制上の課題となるのか、その両方かを決定づけるだろう。