7月の最終週、暗号資産(仮想通貨)のデリバティブ市場における未決済建玉(オープンインタレスト)は歴史的な高水準を維持し、その規模は20兆円を超えている。現在の価格変動が大きければ、ロングとショート双方のポジションで大規模な損失を招く可能性がある。
一方で、今週は一部のアルトコインで大規模な清算の兆候が見られている。該当するコインについて、個別に詳しくみていく。
1. イーサリアム
イーサリアム(ETH)はここ数カ月間、機関投資家による保有量拡大に関する前向きな材料が相次いでいる。時には、ビットコインETFへの流入額を上回ることもあった。直近では、SharpLink Gamingが77,206 ETHを新たに取得し、合計で2,960億円相当のETHを保有した。
こうした強気な動きを背景に、ETH価格は7月の最終週に4,000ドル近辺まで上昇した。アナリストの多くは、ETHが4,000ドルに達するか、それを突破する可能性もあると予想している。ただし、この水準は強い心理的な抵抗線として機能する可能性があり、いつ利益確定売りが出ても不思議ではない状況だ。
イーサリアム$ETHの前にある重要な抵抗レベルは3,980ドルだ。これを突破すれば、大規模なブルランを引き起こす可能性がある
方向性に関係なく、清算マップによれば、ETHが大きく動けば、潜在的な清算は数十億ドルに達する可能性がある。

Coinglassのデータによると、イーサリアム(ETH)の価格が4,000ドルを超えた場合、ショートポジションの累積清算額は最大で12億ドルに達する可能性がある。一方、ETHが利益確定の動きから3,500ドルまで下落すると、ロングポジションの清算規模は最大78億ドルに達する恐れがあるという。
同データは、ロングとショートのポジション間に不均衡が存在することを示しており、多くのトレーダーが価格の下落方向に対して、より多額の資金を投入し、レバレッジをかけている状況を映し出している。
2. ソラナ
ソラナ(SOL)が今年初めにつけた約300ドルの高値に再び達するには、現在の価格水準から50%以上の上昇が必要だが、SOLのオープンインタレストはすでに110億ドルを超えている。これは今年1月にSOLが最高値を記録した時点と比べても25%以上高い水準だ。
このことから、トレーダーが過去に比べてソラナへのエクスポージャーを拡大していることが分かる。ただし、その大部分は現物取引ではなくデリバティブ取引から生じているものだ。
CoinMarketCapのデータによれば、SOLの現在の1日あたりの現物取引量は60億ドル強であり、今年1月に記録した数百億ドルという水準には遠く及ばない。
このようなデリバティブと現物の取引量のギャップは、ソラナのトレーダーが短期的な取引に傾いている状況を反映しており、その結果として価格が急激に変動したり、大規模な清算が発生したりするリスクにさらされやすくなっている。

清算マップによると、SOLの現在の価格水準が191ドル付近で推移するなか、200ドルを超える動きが生じた場合、ショートポジションで6億ドル以上の清算が発生する可能性がある。反対に、181ドルまで価格が下落すれば、ロングポジションの清算額が7億ドル以上に達する可能性もある。
3. BNB
BNBは7月最終週に入り859ドルと過去最高値を更新した。この上昇の背景には、BNBチェーン上での取引の活発化や企業によるBNB財務への関心の高まりがあるとされる。
BNBの価格は現在のところ大きな反落の兆候を見せていないが、BinanceのBNB/USDTの清算マップには、最大で50倍ものレバレッジがかかっている状況が示されている。
マップはほぼ全面が黄色(50倍のレバレッジを表す)で覆われており、特に753ドルから875ドルの価格帯で顕著に見られる。

Binanceだけを見ると、ロングの清算がショートの清算を上回っている状況である。BNB価格が875ドルを超えた場合、ショートポジションで最大1,850万ドル相当の清算が起きる可能性がある。一方で、BNBが心理的節目である800ドルを割り込めば、ロングポジションで3,600万ドルを超える清算が発生するとみられる。
短期的な価格の動きを除けば、BNBは近い将来1,000ドルに達する可能性があるとの見方が市場のアナリストの間では多い。ただし、一部のアナリストはより細かな予測を示し、価格が上昇トレンドを再び強める前に一時的に800ドルを割り込む可能性も指摘している。
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