キャンプ・デービッドで撮影された写真に、スコット・ベセント米財務長官のメモが写り込んだ。そこには「日本円(JPY)を50億〜100億ドル購入」と記されていた。
火曜日に同氏は計画を説明した。ベセント財務長官は、米国が日本円を購入した理由について、通貨があまりに下落し過ぎていたためとCNBCに語った。市場は既にこの動きに反応している。
米国が1998年以来初めて円を購入した理由
円は1986年以来の安値圏まで下落した。このため、日本と米国が協調して円を購入し、価格を押し上げた。
日本財務省が月曜日に今回の動きを確認した。片山さつき財務相は、東京が「米財務省と連携して」金曜日に円買いを実施したと述べた。また「今後も断固として協調介入を実施する」と付け加えた。
計画自体は目新しいものではない。両政府は昨年9月、円が無秩序に動く場合には協調行動を取るとする声明に署名済みだった。今回のリークは政策でなく、時期を明かしたに過ぎない。
新しいのは規模だ。ワシントンが前回円を購入したのは1998年6月17日。当時の金額はニューヨーク連邦準備銀行によれば8億3300万ドルだった。ベセント財務長官のメモは、その6〜12倍規模を示している。
日本が実際に使った資金はまだ不明だ。約590億ドルとの推計は中央銀行の資金移動からの計算に過ぎない。正確な数字は8月31日に東京が公表予定。
ベセント財務長官はリーク自体については動じていない。
「記者のみなさんにもシンボルを知ってほしかっただけです。日本円のJPとね」と同氏はインタビューで語った。
理由についてはより強調した。これは一時的な救済策ではなく、東京と連携した長期計画の一環だと述べた。
「これは単なる市場介入ではありません・・・彼らとの対話を通じて、今後も正常な均衡価格への回帰につながる適切な政策を講じると確信しています」とベセント財務長官はCNBCに語った。
ベセント財務長官は歴史についても言及した。1997年アジア通貨危機の一因は円の過度な下落だったと指摘した。
当時の日本の通貨安が周辺通貨も引き下げた。韓国ウォンも、同氏によれば現在すでに不安定となっている。
「・・・大きな原因は円が過度に下落したことです。安定した円は米国のみならず、地域全体にとって極めて重要です。もし円が大幅に下落すれば、他の通貨も後追いするでしょう」
ベセント財務長官「円介入より政策が重要」
これが同氏の主張だ。為替買いはメッセージを伝える。ただ、通貨を是正するには、金利や財政政策が必要となる。
「我々ができるのは市場へのシグナル発信です。しかし最終的には政策と基礎体力にかかっています。我々が支援を決めたのは、日本の政策パスに強い期待を持っているからです」
1998年の記録もこの見方を裏付ける。その日ドルは142.21円から136.51円まで下落したが、2週間後には138.88円まで戻った。上げ幅の約40%が失われた。
その後、4か月後にようやく円は反転。いずれの政府もその間一切介入しなかった。ドルは10月7日に133.90円から120.55円に下落し、翌朝には111.58円まで値下がりした。ヘッジファンドが損失回避でドルを売却していた。
同四半期にドルは対円で17.4%下落。ニューヨーク連邦準備銀行は、一切の介入はなかったと確認している。
つまりベセント財務長官の狙う安定は、日本の利上げにかかっている。日本銀行(BOJ)は7月31日に金利を1%で据え置いた。9人の委員のうち1人が利上げを主張した。
米国は反対方向に動いている。連邦準備制度理事会(FRB)は7月29日に3.50〜3.75%で金利を維持し、うち3人はさらなる利上げを希望した。両国間の金利差は約2.6ポイントに拡大している。
この金利差こそが問題の本質だ。トレーダーは低金利の円を借りて、高金利のドルに投資する。この差が大きい間は、円売りが有利となる。
ビットコインが円を気にする理由
市場はすでに反応を見せている。介入中ドルは155.5円を下回ったが、火曜日午後のアジア時間には157.54円まで戻した。
これは2営業日で2円以上の回復となる。為替介入で得られた利益全体のほぼ4分の1に相当。
チャートを見ると、ある水準が目立つ。日本は4月下旬に155.5円手前で円を防衛し、上値を抑えた。金曜日にも同じ動きが見られた。バンク・オブ・アメリカは、155円を「東京が介入するライン」として市場で意識されていると指摘。
TDセキュリティーズはより直截だ。153円までの下落もありうるとしつつ、年末には159円を予想。持続的な円高には、日銀の利上げと米財務省の継続的な対策が必要とみる。
片山氏は、より深い市場構造にも言及。日本は保有する米国債を担保に、米連邦準備理事会(FRB)のドル調達制度を活用する予定。これにより、日本は米国債を売却せずに資金を調達できる。
ここから暗号資産への連関となる。ビットコイン(BTC)は6万3808ドル付近で推移し、1日で約2%上昇。時価総額は約1兆2800億ドル。
安い円は長年、リスク資産、暗号資産も含めた投資の原資となってきた。だが円高になると、その投資維持コストが高まる。この円キャリートレードの動きがビットコインを5万ドルまで押し下げるかどうか、アナリストの見方は分かれている。
ベッセント氏の歴史分析の難所はここにある。1998年の介入は2週間で効果が薄れた。真に円高転換したのは、市場が安い円での投資を巻き戻すことを余儀なくされた時だった。暗号資産にとって怖いのは、この「第2の展開」。









