国内のビットコイン財務企業の株価は18日、一様に下落または軟調に終わった。日経平均株価が堅調に推移するなか、暗号資産を財務戦略に組み込む上場企業に売りが広がった。
金融庁が暗号資産105銘柄を金融商品取引法(金融商品取引法)に位置づける方向性を示したことに加え、2026年に暗号資産税率を20%に引き下げるとの報道が、市場に一時的な不確実性を生んだとの見方がある。
Sponsoredビットコイン財務企業の株価下落、背景に制度見直し観測
国内市場では、ビットコインを財務戦略に組み入れる企業の株価がそろって下落した。メタプラネット(3350)は 338円と前日比45円安(11.75%安)、リミックスポイント(3825)は 257円と15円安(5.51%安)、Bitcoin Japan(8105)は 424円と100円安(19.08%安)と大幅に下落した。ANAPホールディングス(3189)は431円と7円安(1.60%安)など、その他のビットコイン財務企業も一様に軟調となった。
こうした下落は、個社固有の業績要因というより、制度面の不透明感が強まった影響とみられる。金融庁が暗号資産105銘柄を金商法上の「金融商品」として扱う方向性を示したことで、企業会計や開示、内部統制などの要件が厳格化する可能性が浮上している。暗号資産を保有する上場企業は監査水準の引き上げが及ぶ可能性があり、市場では財務戦略への影響を警戒する見方が広がった。
税制改正の期待と不確実性が混在、投資家心理を揺らす
加えて、政府が2026年に暗号資産の課税方式を「申告分離課税20%」へと変更する検討を進めているとの報道も、短期的に投資家心理を揺らした。長期的には税負担の軽減が企業・個人双方に追い風となる可能性が高いが、制度移行に伴う評価損益計上や会計処理の方法など、詳細ルールが固まっていない点が市場の警戒を誘ったとみられる。
暗号資産保有を前提とした財務戦略は、税制の枠組みに左右されやすい。課税方式の変更は、保有期間やポジション調整に影響を及ぼす可能性があり、制度設計の方向性を見極めるまでは積極的な買いが入りにくいとの指摘がある。
Sponsored制度改革は長期的追い風、短期的な調整は不可避か
もっとも、金商法の適用範囲の明確化や税率引き下げは、市場の透明性向上や暗号資産関連企業の参入促進につながる可能性がある。制度が整えば企業は財務戦略としての暗号資産活用を計画しやすくなり、機関投資家の評価も安定するとの見方が多い。
一方で、規制報道に対する市場の反応は敏感であり、コミュニティの間でも議論が広がった。
投資家の田端信太郎氏は「本物のビットコインが分離課税で買えるようになれば、偽物はいらない」とXに投稿した。
同氏は分離課税20%の導入が現物投資を有利にし、財務目的でビットコインを保有する企業株が売られるのは自然だとの見解を示した。また、複数の投資家からはインサイダー規制導入や税制改正の不確実性が投資心理を冷やしたとの声も出ており、制度の曖昧さが投資家にとって苦しい局面をつくっているとの指摘もあった。
なお、メタプラネットのサイモン・ゲロヴィッチ氏代表取締役社長CEOは、ビットコイン財務戦略の方針転換については変更ないと明言した。