億万長者のオンチェーンデータから学ぶDeFi投資の極意

DeFi市場における億万長者の投資戦略について、知りたいと思ったことはないだろうか。当社アナリストが著名な個人投資家のオンチェーンデータを分析した。

アンドリュー・カン氏のDeFi戦略：ARBトークン売り抜け

暗号資産ベンチャー・キャピタル「Mechanism Capital」の共同創設者であるアンドリュー・カン氏は、2億ドル以上の純資産を保有している。カン氏のウォレットアドレスを追跡したところ、以下のオンチェーンデータを得られた。

カン氏は4月4日、ARBトークンを79万枚超（当時レートで約100万ドル）購入した。翌5日には、ARBトークンを複数回に分け、およそ151万枚（約184万ドル）追加購入した。アービトラム財団が新たなガバナンス提案を行った6日以前の時点で、カン氏はARBトークンを231万枚取得していた。

カン氏は19日、保有するARBをすべて売却し、40％の投資収益率（ROI）を達成した。

暗号通貨デリバティブに特化したDeFiプロトコル「DEUS」の創設者であるLafa氏は、500万ドルを超える純資産を保有している。Lafa氏の公開ウォレットアドレスをみると、DeFiのガバナンス・トークン、特にSOLIDトークンの比重が大きい。

上記のトークンは、短期的には良いパフォーマンスを残せていないが、Lafa氏の判断が正しかったのか、今後の価格動向に注目したい。

暗号通貨トロン（TRX）創設者のジャスティン・サン氏は、若くして成功を収めた億万長者の一人だ。サン氏の純資産は4億ドルを超えており、公開ウォレットアドレスをみると多様なトークンを保有していることがわかる。

サン氏はDeFi投資に積極的だ。とりわけDEX（分散型取引所）の流動性提供による投資リターンには目を見張るものがある。

暗号資産取引所BitMEXの共同創設者であるアーサー・ヘイズ氏も、暗号資産の億万長者として有名だ。ヘイズ氏は5億ドルを超える純資産を保有している。公開ウォレットを追跡すると、ヘイズ氏もまた多種多様なトークンへ分散投資をしている。

ヘイズ氏公開ウォレットのオンチェーンデータを詳しくみると、分散型取引所GMXに大きく依存している。ヘイズはGMXにかなりの資金を注入し、大きなリターンを得ている。

GMXのAPRは少なくとも4.32%であり、ヘイズ氏は、毎日3,000ドルから5,000ドル相当のイーサリアム（ETH）を投資リターンとして得ている。ヘイズ氏は保有資産のほとんどをGMXにステーキングをすることで、高い投資パフォーマンスを叩き出している。

APRとは：Annual Percentage Rate（年換算利回り）の略。複利を含まない状態での年間収益率を意味する。暗号通貨ステーキングにおけるAPRは、預け入れたトークンを1年後に回収した場合の、複利を含まない単純な収益率を表す。

億万長者のオンチェーンデータを追跡することで、成功者の投資戦略やリスク管理について貴重なインサイトを得ることができる。トップクラスの投資家たちは、常に新たなDeFiプロトコルに参加することで、投資戦略のアップデートを積極的に行っているからだ。

DeFi運用で確実に収益を上げるためには、最も成功しているプレイヤーの投資行動を理解し、彼らの成功と失敗から学ぶ必要があるだろう。

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Shunsuke Saito

青森県出身。2021年に暗号資産（仮想通貨）投資を開始後、22年よりライターとして従事。国内暗号資産メディアにてライター・編集を経て、23年3月、BeInCrypto（ビーインクリプト）にジャーナリストとして参画。ビットコイン、NFT、PoSノード、DeFiなどへの投資経験を持つ。