中国の金融企業、廈門仙玉集団(XMXYG)がこのほど、台湾を拠点とする同グループ企業のe-CNY(デジタル人民元)債券発行に成功した。英メディアCryptonews.comが7日、報じた。
発行されたのは、福建省南部廈門(アモイ)市に本社を置く金融企業、廈門仙玉集団(XMXYG)が発行した超短期金融債。同社は台湾での事業も活発で、台湾国内初の両岸統合デジタル(人民元)債券であり、発行規模はこれまでで最大となる約6800万ドル相当と見られる。
発行時に調達された資金は、発行体のデジタル人民元ウォレットに集められ、資金の一部はXMXYGの台湾部署で使用されたという。債券発行は、福建省を拠点とする中国国有銀行・興業銀行(Industrial Bank)が独占的に引き受けたものと見られている。
デジタル人民元が国境を越えたケースはこれまで、香港やマカオといった”地域”のみで試されていた。
デジタル人民元の台湾有事への影響はあるか
台湾統一に強い意欲を見せる中国政府は近年、ウクライナ侵攻で欧米など西側諸国から大規模な経済制裁を受けたロシアを教訓にしている向きがある。
英政府通信本部(GCHQ)のジェレミー・フレミング長官は2022年、中国が台湾に侵攻する台湾有事における国際的な制裁から逃れるためにデジタル人民元を構築していると、デジタル人民元の越境について警鐘を鳴らしていた。
しかし、23年後半に入り、中国の銀行や商社は東アジアの他地域でもブリッジヘッドを確保しようとしている。一帯一路構想におけるCBDCの採用や、デジタル人民元による原油取引、シンガポールでのe-CNYパートナーシップの確立など、金融機関やトレーダーがさまざまな取り組みを行っている。
台湾平和統一に向けての青写真が加速するか
これらを台湾有事に当てはめてみれば、米国や日本は武力による台湾統一の可能性について大きな懸念を見せているが、中国政府は9月、XMXYG社のある同国福建省の沿岸都市と、その対岸に位置する台湾・金門島と馬祖島を交通インフラで結び、電気や水道といったライフラインも共有できる「共通生活圏」を形成する「融合・発展モデル地区」計画を発表した。同時にその布石とも言える、海をまたぐ高速鉄道「福厦高速鉄道」を9月28日に完成させている。
中国南東部・福建省の福州市とアモイ(廈門)市を結んで建設中の福厦高速鉄道で、全長20キロの海上橋の施工が進められている。 pic.twitter.com/ymHhpKmohD
— 中国 新華社 日本語 (@XHJapanese) September 17, 2020
24年1月に行われる台湾総統選挙に向けて、平和統一への大きなアピールになるとも見られており、「融合・発展モデル地区」計画の推進のためにもデジタル人民元が活用される可能性は高いと見られる。
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