専門家の2025年下半期VC注目分野とは＝ステーブルコインと現実資産

暗号資産市場は2025年の5月に突入したが、小口投資家のポートフォリオには大きな改善が見られない。一方で、ベンチャーキャピタル（VC）企業は2025年の市場環境の中でどのような方向性を取っているのか。

この問いへの答えは、個人投資家にとって貴重なインサイトとなる。

2025年残り、VC注目の分野は？

The Rollup Co.のホストであるアンディ氏は、トップベンチャーキャピタリストとの会話から得た重要なハイライトを共有した。これらのインサイトは、強い関心を集めているセクターを明らかにする。

アンディ氏によれば、最初の注目分野はステーブルコインである。

「ステーブルコイン発行者は非常に投資価値があり、数量が10倍になる可能性が高い」とアンディは明かした。

CoinMarketCapは200以上のステーブルコインをリストしており、CoinGeckoは300以上を追跡している。Token Terminalのデータによれば、ステーブルコインの時価総額は2250億ドルを超え、50以上の団体によって発行されている。しかし、テザーとサークルがその市場の大部分を依然として支配している。

Stablecoin Capitalization by Issuer — 発行者別ステーブルコイン資本化。出典: Token Terminal

この予測が当たれば、ステーブルコイン発行者の数は数百に増える可能性がある。これにより、エアドロップ、ステーブルコイン利回り、DeFiプロトコルを通じて個人に新たな投資機会が開かれる。

VCはAIも興味深いセクターと見ている。しかし、Web2とWeb3でのAIアプリケーションの開発方法にはギャップがあると認識している。

「AIセクターは興味深いが、現時点ではWeb2の方が優れた開発者がいる」とアンディ氏は付け加えた。

BeInCryptoの最近の報告によれば、AIエージェントの数は月平均33%の成長率で増加している。しかし、Web3ベースのAIソリューションはAIエージェント全体のわずか3%を占めている。これらの数字はVCの観察と一致している。Web3 AIは実用的で効率的なユースケースを示すのに時間がかかるかもしれない。

blockchain121の創設者であるアンソニー氏も、分散型AIプロジェクトがWeb2 AI分野からトップクラスの人材を引きつけているトレンドについてコメントした。

「本物のDeAIプロジェクトは、初めてWeb2 AIから本物の世界クラスのエンジニアや研究者を引きつけている」とアンソニーは述べた。

さらに、アンディ氏はVCが特に現実資産（RWA）に強い関心を持っていることを明かした。

「RWA、RWA、RWAがすべてだ」とアンディ氏は強調した。

Total RWA Value. Source: RWA.xyz — 総RWA価値。出典: RWA.xyz

BeInCryptoは、RWAの時価総額が4月に200億ドルを超えたと報じた。本稿執筆時点で、RWA.xyzプラットフォームは現在の時価総額を189億ドルと示している。

ブラックロックやフィデリティのような主要金融機関の関与が、セクターの長期的な可能性に対する投資家の信頼を高めている。Tren.financeは、RWAの時価総額が2030年までに10兆ドルを超える可能性があると予測している。

最後に、ステーブルコインとRWAに加えて、アンディ氏はビットコイン流動性市場もVCの関心を集めていると述べた。

VC、2025年市場低迷で損失

時価総額が大幅に減少したため、VCも2025年の損失を免れていない。関税のような予測不可能なマクロ経済政策が圧力を加え、厳しい振るい落としを引き起こしている。

「暗号資産VCは最近、利益率が圧迫されている。多くはLPにプラスのリターンを返せないだろう。特に関税後の世界では、新たな資金調達に苦労している。過去2年間に投資した多くのトークンはまだローンチされていないか、ひどく打ちのめされている。OTC市場は以前よりもはるかに乾いている。いずれ大量離脱が起こるだろう。強者が生き残る」とアンディ氏は明かした。

CryptoRankによると、暗号資産のVC資金調達は2025年第1四半期に48億ドルに達した。これは2022年第3四半期以来の最高額である。主にMGXやKrakenなどの大規模な取引が要因である。4月だけで、VC資金調達は87件の投資ラウンドで23億ドルに達した。