7月15日に370ドルを記録した後、アルファベット(GOOGL)は先週大きく下落した。AI競争における立ち位置を左右しかねない決算発表の直前での売りであった。グーグル株の急落は、アルファベットの最強AIモデル「Gemini 3.5 Pro」の開発遅延が報じられたことに続く動き。
さらに注目すべきは、アルファベットが約20年にわたり続けてきた資金調達の慣行を転換し、AIへの巨額投資を決算で防衛しなければならなくなった点である。
グーグル株急落の理由
アルファベット(GOOGL)は、開発遅延が報じられた7月16日から17日にかけて、9%超下落した。売買高も急増した。これは、個人投資家だけでなく大口投資家もリスク回避に動いたことを示す。
今回の下落は、タイミングも重要である。アルファベットの4-6月期決算発表は7月22日引け後に予定されており、Geminiの失速によって市場は決算の内容に一段と厳しい視線を向けている。
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ただし、今回の売り圧力の根底にはより大きな要因が存在する。グーグルが本年、AIに投じるとしている予算は1900億ドル規模にのぼる。この巨額投資が将来的に収益化できるかが懸念されている。
自力でまかなえない1900億ドルの賭け
この予算こそがこの記事の核心である。アルファベットの2026年の資本支出計画は1800億~1900億ドルであり、昨年の910億ドルと比べておよそ2倍となる。2027年はさらに拡大する見通し。
ここ数年では初めて、自社のキャッシュ創出力では資金が足りない状況となった。1-3月期のフリーキャッシュフローはほぼ半減し、資本支出は前年同期比で2倍以上に膨らんだ。
そのため、アルファベットは約20年ぶりとなる手法に踏み切った。
約20年ぶりとなる大規模な株式発行を実施し、800億ドルを調達した。これは長年続けてきた自社株買いを転換させるものだった。ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイも100億ドルを投資した。
こうした転換のため、ウォール街はAI関連支出の1ドル1ドルに注視している。
減価償却こそが真の試金石
ここからがあまり知られていない点である。半導体やデータセンターは資産計上され、5~6年かけて減価償却される。したがって、いま投じた資金は、キャッシュが出て行った後も長期的に利益を徐々に圧迫するコストとなる。
宅配バンの購入に例えると分かりやすい。現金は一度に支払う。しかし会計上のコストは数年かけて小分けに計上されていく。
焦点はこうして変わる。重要なのはグーグルの投資額そのものではなく、AI関連収益が減価償却負担を上回るペースで成長するかどうかである。
最初にその成果が現れるのはGoogle Cloudである。前四半期は63%増の200億ドルと最高水準の利益率を記録し、今回は220億ドル近くに達するとの予想もある。
このペースが維持されれば、ついに収益が減価償却費を上回る可能性がある。ただし、AI収益バブルへの懸念は依然として同業界に影を落としている。
TPUがカギを握る
アルファベット独自のチップが収益構造を左右する可能性がある。同社が開発したテンソル・プロセッシング・ユニット(TPU)は、Nvidiaに対抗する専用AIチップであり、高いマージンをNvidiaに支払わずに済む。さらに、現在は外部顧客からの受注も拡大している。
同社はTPU事業に数十億ドル規模の保証や、ブラックストーンとの50億ドル提携を行っている。シタデル・セキュリティーズは、一部のワークロードでTPUを用いることでコストを約3割削減し、処理速度も最大4倍に高まると述べている。
しかし、依然として疑念は残る。クラウド事業者のネビウスは7月上旬、全需要の約99%がNvidia向けであり、Google以外でのTPU需要は限定的だと指摘している。
市場予想:水曜日の注目点
株価が下落する中でも、アナリストは引き続き強気な見通しを維持している。コンセンサス評価は「強い買い」で、目標株価の平均は438ドル近辺とされる。
加えて、売り推奨は記録されておらず、ウェドブッシュは最近、671ドルという市場最高値でカバレッジを開始した。
大口投資家も強気だ。バフェット氏がバークシャーによる同社株投資を主導し、AI投資競争が「本物の資金」であるとの姿勢を強調していることは、バフェット氏のアルファベット支援でも表明されている。
バークシャー以外でも、13F報告書によれば、ケン・フィッシャー氏やレイ・ダリオ氏が運用するファンドが前四半期に株式を買い増しているが、一方で一部のライバルファンドは持ち株を削減した。
数字が期待値を示す。アナリストは今四半期、売上高が約1169億ドル、1株当たり利益が2.90ドルと予想しており、いずれも前年比で2割超の増加となる見通し。
とくにクラウド部門でこれらの予想を上回れば、投資が成長へと結実していると証明できる。一方で未達や、さらなる設備投資拡大となれば懸念は強まる。
水曜日は、グーグルによる1,900億ドルの投資が「先見性」か「無謀」かを占う判断材料となる。









