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HashPort、国内初クリプトクレカを発行=JPYC決済に対応

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執筆&編集:
Shigeki Mori

21日 11月 2025年 15:38 JST
Trusted-確かな情報源
  • HashPortとナッジが日本初のステーブルコイン対応クレジットカードを発行開始、JPYC決済と還元で国内クリプト決済の新インフラを構築
  • 年会費無料で決済額0.3%をJPYC還元、2026年初頭にステーブルコイン自動引き落とし機能を実装し従来の決済サイクルを変革
  • 海外クリプトカード市場と異なりステーブルコイン還元で価格変動リスクを回避、スマートウォレット化でガスレス取引も実現へ
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フィンテック企業のHashPortとナッジは21日、日本初となるステーブルコイン決済・還元に対応したクレジットカード「HashPortカード」の発行を開始した。日本円ステーブルコインJPYCによる後払い決済と還元が可能となる。

カードは、10月に閉幕した大阪・関西万博でも採用され、累計100万ダウンロードを超えるHashPort Walletアプリと連携し、ウォレット内のデジタル資産をクレジットカード経由で決済可能にする。

法規制整備後の市場動向

日本では2023年6月に改正資金決済法が施行され、ステーブルコインが「電子決済手段」として法的に位置づけられた。発行者は銀行、信託会社、資金移動業者に限定され、利用者の資産保護の仕組みが整備された。JPYCは2025年10月に金融庁から資金移動業者として認可を受けた国内発行の円建てステーブルコインで、1JPYC=1円の価値を維持している。

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HashPortは2018年設立のブロックチェーン企業で、2025年大阪・関西万博でデジタルウォレットサービスを提供してきた。提携先のナッジは若年層向けにAI審査を採用したクレジットカードサービスを展開している。

HashPortカードの特徴は、決済も還元もステーブルコインで完結する点にある。従来のクレジットカードは後払い方式だが、支払いは銀行口座からの法定通貨引き落としに限られ、還元はポイントで行われる。これに対しHashPortカードは、将来的にウォレット内のステーブルコインで直接支払いが可能になり、還元もJPYCで受け取る。デジタル資産のエコシステム内で決済サイクルが完結する仕組みである。

従来型クレジットカードとの相違点

現時点では、Nudgeがカード発行とJPYC決済の受付を担当し、HashPortがウォレットとカードのデータ連携を通じてJPYCによる還元を行う。返済方法は銀行口座からの法定通貨引き落としとなるが、2026年初頭のアップデート以降は、ウォレット残高からステーブルコインでの自動引き落としも選択可能になる。この時点で「ステーブルコインで支払う後払い決済」が実現する。

万博関連サービスは2026年1月13日に終了し、その後HashPortはウォレットシステムの改修を実施する。EIP-7702対応によるスマートウォレット化を進め、トークン関連取引のガスレス化とJPYC自動引き落とし機能を実装する計画だ。これにより、銀行口座からの法定通貨決済に加え、ウォレットからステーブルコインで後払いする選択肢が生まれる。

海外勢と異なる後払い型とステーブルコイン還元

海外では既にCrypto.comBinanceCoinbaseなどの主要企業がVisaMastercardと提携してクリプトカードを展開している。これらは主にデビットカード形式で、決済時にリアルタイムで暗号資産を法定通貨に交換する仕組みである。一方、HashPortカードは後払い方式のクレジットカードであり、即時の資産売却を必要としない点で異なる。

還元方式でも差異がある。海外の主要クリプトカードは自社発行トークン(バイナンスのBNBなど)で還元するため、トークン価格の変動により実質的な還元率が変動するリスクを抱える。これに対しHashPortカードは、1JPYC=1円の価値を維持するステーブルコインで還元することで、還元率の安定性を確保している。ただし、還元率0.3%は海外の主要クリプトカードと比較すると低い水準にある。Crypto.comは最大5%、Binanceは最大8%のキャッシュバックを提供しており、多くの企業はカード事業をマーケティングコストとして位置づけている。

HashPortカードの特徴は、日本の法規制に準拠したステーブルコイン決済インフラの構築にある。海外のクリプトカードが暗号資産の即時換金に焦点を当てるのに対し、HashPortカードはステーブルコインによる決済サイクルの完結を目指す。クロスボーダーのBtoB取引では、従来の決済ネットワークと比較してローコストかつスピーディーな決済が可能になる可能性がある。日本のWeb3市場において、既存の決済システムとブロックチェーン経済を接続する試みの一つと位置づけられる。

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