一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA、代表理事:加納裕三)は18日、2026年度の税制改正に向けた「暗号資産に関する税制改正要望」を政府に提出した。暗号資産の売却益について、現在の総合課税制度を改め、分離課税方式へ移行するよう求めている。
JBAは、暗号資産が決済手段から資産形成手段へと性質を変えつつあることを踏まえ、現行の税制がweb3時代の資産運用に不適切であると指摘。金融商品取引法による暗号資産の規制議論が進む中で、制度面の整備が急務だと訴えている。
具体的には、国内の登録取引所で発生する暗号資産売却益について、所得の種類や取得経路を問わず一律に分離課税とし、税率を金融商品と同様の20.315%に設定するよう提案。また、損失の3年間繰越控除の導入や、取引が特定口座内で完結する場合に申告分離課税と源泉分離課税の選択制を導入することも併せて求めた。

高税率が市場拡大の障壁に
現在、個人が暗号資産の売却で得た利益は「雑所得」として総合課税され、最高税率は55%に達する。これは株式や投資信託など他の資産運用手段と比べて著しく不利な扱いであり、個人投資家の参入意欲を大きく削いでいる。
こうした制度上の不利が、日本国内での暗号資産保有率の低迷にも影響している。JBAの資料によれば、日本の保有率は人口の約4.5%にとどまり、シンガポール(24.4%)や米国(15.5%)を大きく下回っている。
JBAが外部調査機関を通じて実施したアンケート調査では、回答者の約75%が「源泉分離課税の導入を望む」と回答。税率の問題に加え、取引履歴の確認や損益の計算、確定申告といった手続きの煩雑さが、参入障壁として立ちはだかっている現状が浮き彫りとなった。

制度整備の遅れ、web3国家戦略に逆行
政府は近年、web3やブロックチェーンを国家戦略の柱の一つと位置づけている。しかし、税制面での整備が遅れていることが、スタートアップや投資家の流出を招き、国際競争力を損なう懸念が指摘されている。
JBAは過去にも税制見直しを繰り返し要望してきたが、制度改正には至っていない。同協会は「暗号資産の法的位置づけが大きく転換を迎える今こそ、税制の抜本的な見直しを行う好機だ」とし、分離課税の導入を含む制度改革の実現を強く訴えた。
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