JPYCとDigital Platformerは18日、資金移動業型ステーブルコイン「JPYC」と預金型ステーブルコイン「トチカ」の相互連携、および地方金融機関との業務連携実現に向けた共同検討を開始した。
ブロックチェーン技術による新たな金融インフラと地域金融機関の信頼基盤を融合させ、地域経済のデジタル化推進を目的とする取り組み。両社は専門家を交えて発行、償還、決済、国際送金にかかる業務モデルの実現可能性や制度的課題について検討を進める方針だ。
Sponsored資金移動業型と預金型の融合で新たな金融インフラを構築
JPYCは2025年8月18日付で資金決済法に基づく資金移動業者として登録され、同年10月27日より日本初の資金移動業型日本円建ステーブルコイン「JPYC」の発行を開始している。現在、全国の地方金融機関からJPYCの発行や償還、決済インフラとの接続に関する相談が寄せられているという。
一方、Digital Platformerは北國銀行と連携し、2024年4月より日本初の預金型ステーブルコイン「トチカ」を発行している。同社は自治体や地方銀行と協力し、地域に根ざしたデジタル通貨やデジタル商品券の基盤を複数構築してきた実績を持つ。トチカは決済手数料0.5%という国際的にも最低水準を実現し、石川県内の加盟店で利用可能だ。
両社が今回検討する主な課題は、地方金融機関がJPYCの発行・償還業務を担うためのモデルのあり方、店舗がJPYC決済を導入する際の手数料・決済スキームの最適化、地域金融機関との間での円預金とJPYCの円滑な連携方法、JPYCを活用した国内外送金の効率化および新サービス開発の可能性である。
地域トークンと国際送金の利便性向上を視野
今回の共同検討では、既存の地域型ステーブルコインの先行事例を参考に、すでに国際送金等にも利用可能なJPYCを活用することで、地域トークンの利便性向上の可能性を探る。将来的には、JPYC社が開設予定のステーブルコイン取引所において各種電子決済手段への交換を実現し、日本国内だけでなく海外との電子決済手段との取引を可能にする構想だ。
この取り組みにより、時間的・手数料の両面で削減を実現し、利用者にとってより簡便なサービス提供を目指す。全国の地方金融機関が、それぞれの地域経済に適した形でステーブルコインを活用できるよう支援可能な体制を構築する方針である。
国内のステーブルコイン市場は法整備が進み、2023年6月の改正資金決済法施行以降、急速に発展している。三菱UFJ銀行など3メガバンクも2025年11月にステーブルコインの共同発行に向けた実証実験開始を発表するなど、金融機関の参入が相次いでいる。JPYCとDigital Platformerの連携は、日本で最も長いステーブルコインの発行運用実績を持つJPYCと、地方金融機関とデジタルマネーの連携分野で最もノウハウを持つDigital Platformerが協力することで、地域経済の活性化と金融インフラのデジタル化を両立させる試みとなる。