分散型金融(DeFi)とは、ブロックチェーン技術を用いて、中央集権的な仲介者なしに金融サービスを提供する仕組みです。分散型金融は、暗号通貨の貸借や交換、保険や資産運用などの様々なサービスを可能にしており、近年急速に市場規模を拡大しています。しかし、資金の持ち逃げやハッキングなどの注意すべきリスクもあります。
そこで本記事では、分散型金融(DeFi)の注意すべきリスク5つと対処法を解説します。分散型金融iに興味がある方や、DeFiのリスクを知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
分散型金融(DeFi)とは?
分散型金融(DeFi)とは、特定の仲介者や管理主体を必要とせずに金融取引を可能にする金融システムのことです。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を基盤に構築されており、主としてイーサリアム(Ethereum)のブロックチェーンが利用されています。
また、スマートコントラクトと呼ばれるプログラムが自動的に金融サービスを提供し、利用者は自身の資産の管理権を持ち続けます。既存の金融システムに比べて、高度な透明性、検閲耐性、匿名性、24時間365日利用可能性、構成可能性などのメリットがあり、将来性が期待されています。
詳しくは「分散型金融(DeFi)とは?基礎知識やメリット・デメリットを解説」をご覧ください。
分散型金融(DeFi)の注意すべきリスク5つ
分散型金融(DeFi)の注意すべきリスク5つを解説します。
- インパーマネントロス
- ラグプル
- トークン価格の変動
- セキュリティリスク
- 規制リスク
分散型金融(DeFi)リスク①:インパーマネントロス
インパーマネントロスとは、流動性プールに暗号通貨を預けると、プール内の資産の価格変動によって、預けた資産の価値が減少する可能性のことを指します。
例えば、ETH/USDTのペアで流動性プールに預けた場合、ETHの価格が上昇すると、市場ではETHを買いたい人が増えます。その結果、流動性プールではETHが減り、USDTが増えます。このとき、流動性プール内のETH/USDTの比率は市場の比率よりも低くなります。つまり、流動性プール内の暗号通貨の価値は市場の価値よりも低くなります。これがインパーマネントロスです。
なお、BINANCE ACADEMYでは、価格変動と損失の関係を以下のように表しています。
- 1.25倍の価格変動 = 0.6%の損失
- 1.50倍の価格変動 = 2.0%の損失
- 1.75倍の価格変動 = 3.8%の損失
- 2.00倍の価格変動 = 5.7%の損失
- 3.00倍の価格変動 = 13.4%の損失
- 4.00倍の価格変動 = 20.0%の損失
- 5.00倍の価格変動 = 25.5%の損失
「インパーマネントロス = 通貨ペア間の価格変動による損失」ということを認識しておきましょう。
分散型金融(DeFi)リスク②:ラグプル
分散型金融で発生するリスクの1つが、ラグプルです。ラグプルとは、DeFiプロトコルの開発者が、プロジェクトの資金を持ち逃げする手口です。開発者が自分たちが発行したトークンを大量に保有しておき、市場で高騰させた後に一気に売却することで、利用者の資金を持ち逃げすることをいいます。2020年11月にはDeFiプロジェクトのCompounder Financeがラグプルによって約30億円相当の資産を奪われた事件がありました。
ラグプルは、以下のような手口で行われるケースが多いです。
- プロジェクトの開発者が、トークンを販売し、資金を集める
- 資金を集めたら、開発者はプロジェクトを放置し、トークンの価格を下げる
- 開発者は、トークンを売却し、資金を持ち逃げします。
分散型金融(DeFi)リスク③:トークン価格の変動
トークン価格の変動は、非常に高いボラティリティを持つことが特徴です。この変動は、様々な要因によって引き起こされます。トークン価格は市場のニュースやアナウンスメント、マクロ経済的な要因にも大きく影響されます。プロジェクトの開発進捗、新たな提携、規制上の変更などが公表されると、トークン価格はそれに応じて変動し、10分の1に価格が暴落するものも珍しくありません。
分散型金融(DeFi)リスク④:セキュリティリスク
セキュリティリスクは、分散型金融(DeFi)プロトコルにおいて非常に重要なリスク要素です。DeFiプロトコルはスマートコントラクトに依存しており、このプログラムにはバグや脆弱性が発見され、攻撃者がこれらの脆弱性をハッキングを行なった場合、トランザクションや資金が盗まれる可能性があります。
分散型金融(DeFi)リスク⑤:規制リスク
分散型金融は中央集権的な管理者や仲介者が存在しないため、従来の金融規制の枠組みを適用することは困難です。そのため、各国の規制当局はDeFiをどのように規制するかを検討中で、もし仮に規制当局によって禁止されたり、規制対象となったりすると、ユーザーはDeFiプロトコルを利用することができなくなる可能性があります。
分散型金融(DeFi)のリスク対処法
分散型金融(DeFi)のリスク対処法について解説します。
分散型金融(DeFi)リスクの対処法①:インパーマネントロス
インパーマネントロスは、通貨ペア間における価格変動によって発生するため「通貨ペア間において価格変動が起こりにくい通貨」を利用することで対策することができます。例えば、ステーブルコイン同士のペアや、同じカテゴリーの暗号通貨同士のペアなどです。これらのペアでは、市場の価格変動によって流動性プール内の比率が大きく乖離する可能性が低いため、インパーマネントロスも小さくなります。
ただし、価格変動が起こりにくい通貨ペアを利用することでインパーマネントロスを減らすことができますが、完全に回避することはできないことには注意しておきましょう。
分散型金融(DeFi)リスクの対処法②:ラグプル
ラグプルに遭遇しないためには「リサーチを徹底的に行うこと」を意識しましょう。プロジェクトのホワイトペーパーを読み、開発者のチームメンバーを調べ、本当に価値のあるプロジェクトであるかを検証する必要があります。また、多額の資金をDeFiに預け入れないことも重要です。
分散型金融(DeFi)リスクの対処法③:トークン価格の変動
トークン価格の変動に対する対策の一つは「トークンの利益確定を行っておくこと」です。価格下落によるリスクに備えるため、適切なタイミングでトークンを現金化することで、損失を最小限に抑えることができます。
なお、トークン価格の変動に影響を与える主な要因は以下の通りです。
- 市場の需給関係
- ニュースやイベント
- 各種の規制
- ハッキング
上記を参考にしつつ、トークンの利益確定を行っておくことで、リスクを最小限に抑えることができます。
分散型金融(DeFi)リスクの対処法④:セキュリティリスク
セキュリティを重視した「信頼できるDeFiプロトコルを選ぶこと」が重要です。セキュリティ対策が適切に行われ、セキュリティ監査が実施されたプロトコルを利用することで、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。信頼できるプロジェクトの選択には、開発者の実績や評判、セキュリティ対策の透明性などをしっかり確認しましょう。
また「二要素認証を利用する」「パスワードを複雑にする」といった対策も必ず行なっておくことも大切です。
分散型金融(DeFi)リスクの対処法⑤:規制リスク
規制リスクを抑えるためには「法令や規制を常に把握し、対応すること」が必要になります。分散型金融はまだまだ新しい金融サービスであり、規制リスクは常に変化しているため、最新の規制情報を収集することが大切です。
また、先ほどの事例と同様に「信頼できるDeFiプロトコルを選ぶこと」も重要になってくるでしょう。
分散型金融(DeFi)のよくある質問
Q1:信頼できるDeFiプロトコルの特徴は何ですか?
Q2:ハッキングにあった場合は、どうすればいいですか?
Q3:分散型金融の規制は、これからどう進展いきそうですか?
まとめ:分散型金融(DeFi)はリスクを十分理解した上で利用しよう
本記事では、分散型金融(DeFi)の注意すべきリスクについて詳しく解説しました。分散型金融は、従来の金融サービスにはないメリットを多く持っていますが、リスクがあることも忘れてはいけません。これらのリスクを十分に理解しておく必要があります。
分散型金融は今後も進展していきますが、新たな動向についても注意を払いながら、リスクを十分理解した上で利用していきましょう。
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