ミームコインは近年、投資家たちの間で一種のブームとも言える盛り上がりを見せてきました。しかし、特に2025年に入ってからは市場全体が冷え込み、「ミームコインはもはやオワコンではないか」という懐疑的な声が増えているのも事実です。
本稿では、ミームコイン市場に関する最新状況や著名投資家の見解、そして今後の展望について初心者にもわかりやすく徹底解説します。
ミームコインとは何か?

ミームコインは、ネットで流行った「ミーム」(ネタ画像やジョーク)をモチーフにして作られた暗号資産のことです。代表的なのは柴犬の画像から生まれたドージコイン(DOGE)や柴犬コイン(SHIB)など。
多くはジョークとしてスタートしたり、技術的に特別な特徴を持たないものですが、SNSやコミュニティで話題になりやすく、短期間で価格が急激に上がることがあります。
最近では、特にSolanaチェーンを中心に新しいミームコインが次々と誕生しています。この流れを後押ししているのが、Punp.funなどのミームコイン特化型のローンチプラットフォームです。
関連記事:ソラナミームコインの選び方
ミームコインの歴史的な流れ
ミームコインの流行は、2013年のドージコイン誕生がきっかけでした。当初はただのネタでしたが、2021年前後にイーロン・マスク氏がSNSで取り上げたことで価格が急上昇し、世界中で注目されるようになりました。
この流れを受けて、柴犬コインやフロキ(FLOKI)などの犬系コインが続々と登場。さらに2023年以降はペペ(PEPE)やドッグウィファット(WIF)のような、多様なキャラクターをテーマにしたコインも広がりました。
現在は特にSolanaチェーンを舞台にしたミームコインが盛んで、そのローンチを簡単に行えるプラットフォームがPunp.funです。Punp.funでは誰でも手軽にミームコインを作成・公開でき、SNSのノリに乗って短期間で何十倍〜何百倍の価格上昇を見せることも珍しくありません。ただし、その多くは一瞬の盛り上がりで終わり、短期間で暴落するケースが大半です。
こうした特徴から、ミームコイン投資は「祭り的要素」が強く、ハイリスク・ハイリターンな相場として注目されています。
ミームコインはオワコンとなるのか?|投資価値の有無を徹底検証

暗号資産市場では、ミームコインがここ数年にわたり一世を風靡してきましたが、最近の急激な価格下落や投資家の関心低下を受け、「ミームコインはオワコンなのか?」という疑問が浮上しています。2025年2月のLIBRA(リブラ)事件以降、ミームコイン市場は明らかに勢いを失っており、投資家や市場関係者からは悲観的な見方が相次いでいます。結論から言うと、ミームコイン市場はアルトコイン市場と同じく、少数の洗練された銘柄に淘汰されるかの性が高まっています。
ミームコイン市場が急速に低迷した背景とは?

ミームコインは2024年を通じて大きな注目を浴び、暗号資産市場の中で最もホットな分野として知られていました。しかし、2025年に入るとその市場環境は一変します。CoinGeckoが報告したデータによれば、ミームコイン市場の時価総額は2024年12月のピークである1250億ドルから、2025年3月5日には540億ドルまで約56.8%もの急落を記録しました。また、取引量も直近1ヶ月で26.2%低下しています。
その契機となったのが、トランプ大統領夫妻をテーマにしたTRUMP(トランプコイン)やMELANIA(メラニアコイン)の発行、さらには2025年2月の$LIBRA事件でした。CoinGeckoのBobbyOng氏はこの状況を次のように説明しています。
「トランプ氏関連コインのローンチは、市場の他のすべての仮想通貨から資金や注目を奪い、ミームコインのピークを示した。そして$LIBRAによって、ミームコインが『公平なローンチ』だという幻想は完全に崩壊し、ごく一部のインサイダーやグループが一般投資家を犠牲に利益を得ていたことが明らかになった」
これらの出来事は、市場全体に不信感を生み出しました。多くの個人投資家は、ミームコイン市場そのものに対して疑念を抱くようになり、これが市場低迷の大きな要因となったのです。
関連記事:トランプコイン(TRUMP)はどこで買える?|購入できる取引所と方法
ミームコイン市場の低迷を示す具体的データ

実際、Pump.funというミームコイン専用プラットフォームのデータを見ると、市場の冷え込みは明白です。Pump.funでは、新規作成されたトークンの数と卒業トークン数が2025年2月のピークから90%以上も激減しています。さらに、プラットフォームの取引量も2025年1月の33億ドルから、同年3月には8億1400万ドルと、75.3%も減少しました。
項目 | 2025年1月 | 2025年3月 | 減少率 |
---|---|---|---|
Pump.fun取引量 | 33億ドル | 8億1400万ドル | 75.3% |
ミーム市場時価総額 | 1250億ドル | 540億ドル | 56.8% |
キャシー・ウッド氏のミームコインへの見解:「多くが無価値になる」
このような状況下で、著名投資家の見解にも悲観論が広がっています。アーク・インベストメントのCEOキャシー・ウッド氏は、ブルームバーグテレビジョンで以下のようにコメントしています。
「ブロックチェーンとAIの融合によって数百万ものミームコインが生まれたが、その大半は最終的には無価値になるだろう」
ウッド氏はさらに、「ミームコインへの投資には注意が必要だ。資金を失うことほど教訓になることはない」とし、SEC(米証券取引委員会)がミームコインを証券として規制しないと発表したことで、投資家自身が責任を負うリスクがより明確になったと警告しています。
一方で、ウッド氏は「ミームコインの一部は『デジタル版のコレクターズアイテム』として時の試練を乗り越えるかもしれない」と述べ、一部の限られた銘柄が長期的に残る可能性も示唆しています。
関連記事:SEC、ミームコインは証券でないと発表
ミームコインの低迷を招いた市場構造の問題点
暗号資産アナリストのニック・カーター氏も、市場の構造的な問題を指摘しています。
「ミームコインは本質的に『公平なローンチ』を謳い、一般投資家にも投資機会が開かれていることを売りにしていた。しかし実態は、セミプロ集団やVC(ベンチャーキャピタル)などが事前にインサイダー取引を行い、一般投資家が不利な状況に置かれている不公平な市場だった。『カジノ』は公平だという主張は、完全な嘘だったことが明らかになった」
カーター氏は具体例として、LIBRAの取引開始直後に時価総額が10億ドルから40億ドルへ瞬時に跳ね上がった事件を挙げ、こうした不正取引が繰り返されることによって市場の信頼性が損なわれ、結果的にミームコインへの投資意欲が大きく低下したと分析しています。今後のシナリオとして同氏は、ミームコインは完全に消えるわけではなく「ごく一部が継続する」というシナリオを示唆しています。

実際、加えてCHAIN PLAYのデータによると、24年時点で加速度的にミームコインの数が増加したものの、ミームコインの97%が破綻しており、その投機的で短命な性質が浮き彫りになっています。平均すると、ミームコインは約1年しか生き残れない一方、他の暗号資産プロジェクトの平均寿命は3年となっています。
アナリストの見解は?

ミームコイン市場はここ3カ月で急速に冷え込み、時価総額はピーク時の1250億ドルから約540億ドルへと56.8%も減少しました。2024年には500%を超える成長を記録し、暗号資産市場を賑わせたミームコインですが、2025年に入りその勢いは失速しています。
特に主要銘柄であるドージコインは直近1カ月で21.7%、柴犬コインは10.6%の下落を記録。その他上位10銘柄も同様に下落しており、取引量も1カ月で26%以上減少するなど、市場全体の動きが鈍化しています。
こうした状況を受け、アナリストや投資家の間では「ミームコインのスーパ―サイクルは終わったのではないか」との見方が広がっています。検索トレンドの低下や新規トークン作成数の減少も、その仮説を裏付けています。
関連記事:ミームコイン市場が数十億ドル縮小=スーパーサイクル終了?
kook氏:ミームコイン市場はNFTと同じ末路をたどっている
暗号資産インフルエンサーのkook氏は、ミームコイン市場はすでにピークを過ぎており、2022年に崩壊したNFT市場の流れと酷似していると指摘しています。
NFTと重なる構図
同氏は、2021年に盛り上がったNFTと同様に、現在のミーム市場も信者層以外の関心が急速に冷めていると分析しています。
ローンチパッドの飽和と差別化不足
現在、市場には45以上のローンチパッドが存在しますが、kook氏は「いずれも似たような構造で差別化が乏しく、ユーザーの関心も薄れている」と指摘しています。開発側は注目を集めようと必死ですが、買い手がほとんどいないのが実情だと述べています。
“マキシ”しか残っていない市場
同氏はまた、「今のミーム市場に残っているのは、当初から信じ続けているマキシ(信者)だけだ」とし、彼らが内輪で争いを続ける“塹壕戦”のような状況に陥っていると指摘しています。これはNFT末期の状態とも重なるとしています。
インフラ側も終わりを察している
kook氏は、pump.funのようなインフラ提供側も「このメタは終わりに近づいていることを理解しているはずだ」と述べています。また、競合であるRaydiumに依存する構造にも疑問を呈し、「インフラ側も限界を感じている」と主張しています。
次の波へ移るべき
同氏は、「ミームコインに固執するのではなく、次に来るトレンドに早く乗るべきだ」と強調しています。そして最後に、次のような強い言葉で読者に警告を投げかけています。
「君のタイムラインには、バカか詐欺師しかいない。だからこそ、自分で考えるべきだ」
ジェシー・マイヤーズ氏:「アルトコインの終焉」はミームコインにも直撃する
ビットコイン支持者のジェシー・マイヤーズ氏、アルトコイン全体の時代は終わったと主張しています。これはミームコインも“アルトコインの一部”である以上、例外ではないという点が重要です。
アルトの供給過剰=ミームコインの価値希薄化
現在、3600万以上のアルトコインが存在しており、2021年以降に爆発的に増加。ミームコインもその一翼を担っています。このような供給過剰の中では、一つ一つのコインの注目度や価値が薄れ、埋もれてしまうという現象が起こります。
マイヤーズ氏はこう述べています:
「アルトが増えるほどビットコインの価値が際立つ。つまり、他のすべてのコイン(ミームコイン含む)が相対的に弱くなる」
多くのミームコインは「ゾンビ化」している

現在は、開発やコミュニティ活動が停止しているにもかかわらず、微小な取引だけが続いている“ゾンビプロジェクト”が市場に溢れています。こうしたコインは事実上死んでいるにもかかわらず、見かけの市場規模を膨らませています。
ミームコインの多くもこの「ゾンビ」カテゴリに分類されつつあり、**実態のない“価値の幻影”**で市場全体を覆い尽くしているのが現状です。
関連記事:2025年にアルトシーズンは来ないのか?
キ・ヨン・ジュ氏:「ビットコインが停滞期に入る=リスク資産全体が冷える」
CryptoQuantのCEOであるキ・ヨン・ジュ氏は、ビットコインがすでに強気相場を終え、現在は横ばい~調整局面にあると分析しています。この動きはリスク資産の中でも特に投機性の高いミームコイン市場に強い影響を与えます。
なぜビットコインの横ばいがミームコインに効くのか?
ミームコイン市場は、市場に余剰資金があるとき=強気相場のときに盛り上がるという傾向があります。逆に、ビットコインが停滞・調整局面に入ると、投資家のリスク許容度が低下し、「面白いけど中身のないコイン」にまで資金が回らなくなるのです。
キ・ヨン・ジュ氏は次のように述べています:
「今後半年から1年は、暴落はしないが、積極的に買う理由も乏しい“冷却期間”に入る」
これは、「短期的に爆上げを狙う」タイプの投資(=ミームコイン投資)には極めて不利な環境を意味します
関連記事:ビットコインは2025年に暴落するか?
ミームコイン市場の今後の展望|本当にオワコンなのか?

ミームコイン市場の今後を考える上で重要なのは、現在市場が抱える問題点を正確に認識するとともに、市場自体の特性を理解することです。本章では、提供された資料をもとに、今後のミームコイン市場がどのような展開を見せる可能性があるかを考察していきます。
ミームコイン市場は完全に「終焉」したわけではない
BobbyOng氏は、ミームコイン市場について「現在は明らかに低迷しているが、決して完全に消滅したわけではない」と述べています。
「ミームコインは季節的な性質を持つため、一定期間のブームと調整を繰り返す。そのため、DOGEやSHIBのように複数のサイクルを乗り越えた銘柄は、今後も生き残る可能性が高い」
また、同氏は長期的に見れば、ミームコインの99.99%は失敗に終わる一方で、頂点に上り詰めるたった0.01%の銘柄に関しては、もしかすると将来、政府機関にその名前が付けられるような存在になるかもしれないと主張しました。
キャシー・ウッド氏も同様に、「大半は無価値になるが、一部の銘柄はデジタル版のコレクターズアイテムとして残る」と指摘しています。市場は縮小するものの、完全に消えることはなく、限定的ながらも生き残る銘柄が存在すると見るべきでしょう。
市場は「質への逃避」に向かう
一方で、ニック・カーター氏は市場が「質への逃避(Flight to Quality)」を進めると予想しています。
「ミームコインは本来、『公正なローンチ』を謳ったが、実際には不公正な市場であることが露呈した。そのため、今後は投資家が『質』を重視するようになり、規制対応や透明性のあるプロジェクトへの資金流入が起こるだろう」
同氏は規制環境の変化にも言及しており、SECなど規制当局が一定の基準やルールを設けることで、ミームコイン市場が適正化される可能性があることを示唆しています。
新たなスーパーサイクルが再来する可能性
MuradMahmudov氏は、市場の特性上、ミームコインの新たなスーパーサイクルが再び訪れる可能性は十分あると考えています。つまり、市場の復活はあくまでも「話題性」と「社会的トレンド」の再燃次第ということになります。さらに同氏は暗号資産における次の大きなトレンドは、新たなレイヤー1やdAppではなく、ミームとして誕生する可能性があると主張。「ファンダメンタルズ」に重きを置く投資家や専門家の一部は、このような動きを軽視する傾向があるが、その軽視こそが投資家にとってのチャンスとなりうると示唆しました。
まとめ:ミームコインは「オワコン」ではないが、市場のあり方が変化する

ミームコイン市場は、現在の低迷期を経て、今後は新たなトレンドやスーパーサイクルの到来により再活性化する可能性があります。しかし、過去のような「無条件な熱狂」から、市場参加者が銘柄を厳しく選別する「質重視の投資環境」へと移行することが予想されます。投資家に求められるのは、この市場の変化を正確に捉え、リスクを管理しながら慎重な投資を行うことです。特に、ミームコイン投資に関してはインフルエンサーの影響力や市場操作のリスクが存在することを忘れず、あくまでも自己責任で冷静な投資判断を下すことが何より重要となります。
Follow us on:
X(Twitter):@BeInCryptoJapan
Telegramチャンネル:@BeInCrypto Japan オフィシャルチャンネル
免責事項 - Disclaimers
当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報をもとに読者が取る行動は、あくまでも読者自身のリスクで行うものとします。「Learn」サイトでは、質の高い情報を提供することを第一に考えています。私たちは、読者にとって有益な教育的コンテンツを特定し、調査し、作成するために時間をかけています。この基準を維持し、素晴らしいコンテンツを作成し続けるために、私たちのパートナーは、私たちの記事への掲載に対して手数料を支払う場合があります。しかし、これらのコミッションは、偏りのない、誠実で有益なコンテンツを作成するためであり、私たちの活動プロセスに影響を与えることはありません。
