ストックフローモデルは、ビットコインの供給量と流通量の比率である「ストックフロー比率」を基に、価格を予測するモデルです。過去のデータを見ると、ストックフロー比率が上昇するたびに、ビットコインの価格も上昇していることがわかります。
そこで本記事では、ストックフローモデルの概要と、そのメリットとデメリットについて解説します。また、ストックフローモデルを活用した投資取引の方法についても紹介します。ストックフローモデルに関心がある人や、ビットコインの価格動向に興味がある人は、ぜひ最後までご覧ください。
ストックフローモデルとは?
ビットコインのストックフローモデルとは、ビットコインの価格を予測するために使用される統計的なモデル。このモデルは、ビットコインの供給量と流通量の比率である「ストックフロー比率」を基に、ビットコインの価格を予測します。
ストックフロー比率は、以下の式で計算されます。
ストックフロー比率 = 市場に存在するビットコインの量 / 年間採掘量
ビットコインの供給量は、2100万BTCに上限が定められています。また、ビットコインの年間採掘量は、半減期と呼ばれるイベントによって、約4年ごとに半減していくため、ストックフロー比率は、時間とともに上昇していきます。
ストックフローモデルは、過去のビットコインの価格データと比較することで、その精度を検証することができますが、過去のデータを見ると、ストックフロー比率が上昇するたびに、ビットコインの価格も上昇していることがわかります。
例を挙げると、2020年5月に発生した第3回目の半減期以降、ストックフロー比率は約5倍に上昇し、その結果、ビットコインの価格も約5倍に上昇。このように、ストックフローモデルは、ビットコインの価格を予測する際に、有力なツールとして注目されています。
ビットコインのストックフローモデルの背景
ビットコインのストックフローモデルは、2019年にPlanB氏が考案しました。人気プラットフォーム「Medium」に「ビットコインの価値を希少性というかたちでモデル化する」というタイトルで、ビットコインの価格を予測するためのモデルとして発表。ビットコインの供給量と流通量の比率である「ストックフロー比率」に基づいて、ストックフローモデルを開発しました。
ストックフローモデルのメリット
ストックフローモデルのメリットを解説します。
- 希少性に基づく価値評価がされている
- 長期的なビットコイン保有者に対して長期的視点の提供している
- 半減期に価格予測に沿った動きをする
- ビットコインの価格弾力性が低いこと、つまり価格が上昇しても供給が増えない
- 伝統的な資産との比較分析しており、ビットコインの独自性とその位置を明確にしている
ストックフローモデルのデメリット
ビットコインのストックフローモデルには、いくつか欠点があります。
- 重要なイベントの際に起こる大きな価格変動が考慮されていない
- 弱気相場では成立しない可能性がある楽観的見通しの推定データが挿入されている
- ビットコインの需要を一定とみなし、「需要」の落ち込みを考慮していない
- 過去のデータに基づいて予測を行うため、将来の状況を正確に予測できない可能性がある
2022年6月、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏はストックフローモデルを強く非難しました。以下は、同氏のツイートです。
ストックフローモデルは本当に良くないですね。
大げさに言うのも分かっていますが、人々に数字が上がるという誤った確信と宿命論を与える金融モデルは有害であり、嘲笑されるべきだと思います。
ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏 Twitterより
「ストックフローモデル」によるビットコイン価格の未来
ストックフローモデルによると、希少性が高い資産は、新規供給量が減少するにつれて、価格が上昇する傾向があります。このため、ビットコイン価格は、今後も半減期によって新規供給量が減少していくにつれて、上昇していくと予想されています。しかし、ストックフローモデルは、あくまでも過去のデータに基づくモデルです。
ストックフローモデルはあくまでも過去のデータに基づくモデルであり、将来の価格を保証するものではなく、価格はさまざまな要因によって価格が変動するため、ストックフローモデルだけでは価格を予測することは難しいと考えられます。
結論として、ストックフローモデルによるビットコイン価格の未来は、不確実であると言えます。しかし、ビットコインが希少性の高い資産であることは確かであり、半減期によって新規供給量が減少していくことは、価格上昇の要因となることは間違いありません。
ストックフローモデルを参考にした投資取引
ストックフローモデルを参考にした投資取引には、以下の2つの方法があります。
- 価格ゾーンを見極める
- イベントベースの取引をスタートする
価格ゾーンを見極める
ストックフローモデルは、ビットコインの標準化された適正価格の形成に役立つといえます。ビットコインの価格が適正価格ラインを下回って下落した場合、資産は売られ過ぎとみなされ、トレンドの反転となるかもしれず、投資家がロングポジションを建てるポイントになりえます。
同様に、価格がストックフローラインを上回った場合は、買われすぎと判断され、調整が入る可能性があります。
このモデルの適正価格からの乖離をチェックするもう一つの方法は、ストックフロー指標の下部に位置するモデル分散ゾーン(model variance zone)に着目することです。グリーンのゾーンは戦略的投資家にとってのディスカウント(割安)ゾーンであり、ピークを指すレッドゾーンは出口判断の可能性を示しています。
イベントベースの取引をスタートする
ストックフローモデルにより、ビットコイン価格はこれまで半減期には上昇していることが明らかになりました。さらにこのモデルは、その後の半減期を追跡するのに役立つと同時に、半減期中の適正価格の予測も示します。
このことから、半減期のタイミングでビットコイン価格が上昇する可能性が高いことから、半減期を狙った投資取引を行うこともできます。具体的には、半減期の直前にビットコインを購入して、半減期後に価格が上昇したタイミングで売却する、という戦略が考えられます。ただし、半減期はビットコイン価格が大きく変動するイベントであるため、十分なリスク管理を行うことが重要です。
ゴールドとビットコインのストックフローモデル:どう違うのか?
ゴールドは、古代から貴金属として利用されてきた歴史があり、世界中で認知されている資産で、また、インフレヘッジとしての役割を果たすことから、投資家から安定した資産として人気があります。
ビットコインは、ブロックチェーン技術によって誕生したデジタル資産。2009年に誕生した比較的新しい資産で、近年急速に普及し、価格も高騰しています。しかし、ビットコインは、ゴールドよりも希少性が高いとされており、今後も価値向上が期待されています。ゴールドとビットコインは、どちらも投資対象として魅力的な資産ですが、投資家の価値観や投資目的によって、どちらが優秀かは異なります。
ゴールドとビットコインは、どちらも希少性の高い資産であり、将来的な価値向上が期待されていることから、比較対象とされています。両者の違いは、以下のとおりです。
- 希少性
ゴールドは、地球上に存在する量が限られているため、希少性が高い一方、ビットコインは、ブロックチェーン技術によって発行量が2100万ビットコインに制限されているため、ゴールドに匹敵する希少性を持つとされています。
- 供給量の増加率
ゴールドの供給量は、毎年約3,000トン増加している一方、ビットコインの供給量は、2023年時点では年間約900ビットコインしか増加しません。これは、ビットコインには半減期があるためです。
- 需要の増加率
ゴールドとビットコインは、いずれも需要が増加している資産ですが、ゴールドの需要は、主にジュエリーや工業製品の原料としての需要です。一方、ビットコインの需要は、主に資産としての需要となっており、ゴールドとビットコインは、今後も価値向上が期待される資産ですが、その方向性は異なります。
ゴールドは、インフレヘッジとしての役割を果たすため、インフレ率の上昇と共に価格が上昇すると考えられ、ビットコインは、デジタル資産としての価値向上と共に価格が上昇すると考えられるでしょう。
ビットコインの供給曲線は以下のようになります:
まとめ:ストックフローに注目しつつ、価格には様々な要素があることを理解する
本記事では、ビットコインの希少性と価格の関係を示す「ストックフローモデル」について解説しました。ストックフローモデルは、ビットコインの供給量と流通量の比率である「ストックフロー比率」を基に、価格を予測するモデル。ストックフロー比率が上昇するたびに、ビットコインの価格も上昇していることがわかり、このことから、ストックフローモデルは、ビットコインの長期的な価格上昇を予測しているといえます。
しかし、ストックフローモデルはあくまでも過去のデータに基づく予測であるため、将来を正確に予測できるとは限りません。ビットコインの価格に影響を与える要因は、ストックフロー比率以外にも、さまざまな要素があるため、実際に投資をする際は、ストックフローモデルを1つの参考程度に捉えておくのがベストです。
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