Bitcoin btc
$ usd

ブロックチェーンの相互運用とは?

25 mins

ブロックチェーンは、現在その数が増え続けており、「ブロックチェーンの相互運用」という言葉を最近よく目にするようになってきています。このガイドでは、相互運用型ブロックチェーン・プロジェクトの事例を紹介し、相互運用の重要性について詳しく説明します。

ブロックチェーンの相互運用を定義する

ブロックチェーンの相互運用とは、ブロックチェーンによる通信、シームレスなデータおよび暗号資産を転送する能力を指します。相互運用の実現により、Web3ユーザーは異なるブロックチェーンネットワーク間でシームレスな切り替えができるようになります。

相互運用の定義には、ブロックチェーンのオフチェーン環境での従来のWeb2システムとの通信も含まれます。

ブロックチェーンネットワークでは、クロスチェーン・メッセージング・プロトコルを使用すれば、相互通信はできます。このプロトコルは、異なるチェーン間で動く分散型アプリケーション(DApps)の開発にも対応しています。

なぜ相互運用は重要なのか?

現在、ブロックチェーン技術を採用する業界は増え続けており、ブロックチェーンの相互運用の重要度が高まってきています。

これまで使われてきたレイヤー1ブロックチェーンは、利用範囲が限られているため、長期の利用には向いていません。加えて、ブロックチェーンの今後の進歩を阻む懸念もあるため、ブロックチェーン技術をさらに活用していくには、相互運用が不可欠となります。相互運用によって、柔軟性の向上、クロスチェーンの分散型アプリケーション(DApps)開発が可能となります。

オンチェーン環境が相互運用になれば、パブリックとプライベート双方のブロックチェーンが共存でき、データ共有が容易になります。さらに、複数のブロックチェーン・ネットワークの相互運用によって、新たな製品やサービスの登場も期待できます。

ブロックチェーンの相互運用の実現方法

現在のレイヤー1ブロックチェーンの多くは、個別に構築されているため、相互運用の機能は組み込まれていませんが、一方で相互運用ができる多くのソリューションが登場しています。以下はその例です。

オラクル

オラクルは、ブロックチェーンネットワークにオフチェーンデータを利用できる機能です。オラクルによって、スマートコントラクトは実世界データをもとに実行できます。スマートコントラクトは、さまざまなユースケース実行のために、外部システムに保存されている実世界のデータが必要になるので、オラクルが使用されることになります。例えば、ブロックチェーン上の証書譲渡の際には、オンチェーン環境の外にある(実世界の)物件情報をオラクルを使って取り寄せます。要するに、オラクルはオンチェーンとオフチェーンシステムをつなぐ橋渡し役です。

開発プロジェクトでネットワーク用のブロックチェーンオラクルを選ぶときには、中央集権型オラクルよりも、分散型オラクルの使用が検討に値します。というのも、分散型オラクルは、シングルポイント障害(SPOF)とデータ操作が回避でき、データの完全性が保てるからです。例えば、Chainlinkの分散型オラクルネットワークは、暗号資産業界で人気のあるソリューションです。ユーザーには、Aave、Synthetix、Compound、Crypto.com、Kyber networkなどが名を連ねています。

トークンブリッジ

トークンブリッジは、異なるブロックチェーンネットワーク間でユーザーの資産移動(トークン移転)を可能にする機能です。この機能の使い方は、ブリッジによって異なります。例えば、「ロック・アンド・ミント」の仕組みを使うブリッジでは、スマートコントラクトが送り元となるチェーン(source chain)で暗号資産をロックし、別のスマートコントラクトが宛て先となるネットワーク(destination network)で同資産のクローン版を鋳造(ミント)して資産を移転します。 

他のブリッジでは、ソースチェーンでトークンを焼却し、デスティネーションチェーン(ネットワーク)で同じトークンを鋳造して資産を移転する場合もあります。また別のタイプでは、ソースチェーン上でトークンをロックし、デスティネーションチェーン上の流動性プールからロック解除ができます。この場合の流動性プールとは、スマートコントラクトに保有されている暗号資産の集合です。この仕組みを用いたトークンブリッジでは、ユーザーに対し、収益分配等のインセンティブスキームを構築して、異なるネットワークの双方のブリッジにおける流動性確保を推奨しています。

留意すべき点は、現在大半のトークンブリッジでは、デスティネーションチェーンで作られたトークンはwrapped assetsと呼ばれていることです。

アトミックスワップ

アトミックスワッププロトコルでは、ユーザーはブロックチェーンを横断してトークンを交換できます。つまり、あるブロックチェーンでトークンを取引したら、別のチェーンで異なるトークンを入手できます。アトミックスワップでは、スマートコントラクトを使用して、クロスチェーンにおけるトークンスワッピングができます。

サイドチェーン

サイドチェーンは、親ブロックチェーンに双方向で接続する独立したブロックチェーンです。親チェーンのスケーリングを促すために、サイドチェーンが使われます。例えば、ポリゴンチェーンは、トランザクションのスループットを高めてイーサリアムのスケーリングを拡大するサイドチェーンです。

サイドチェーンは親ブロックチェーンに接続してるいるものの、異なるコンセンサスアルゴリズムとネイティブトークンを持っています。プロジェクトのロードマップや経緯もメインチェーンとは異なり独立しています。

ネイティブペイメント

ネイティブペイメントは、あるブロックチェーンのアプリケーションを利用したとき、異なるブロックチェーンのネイティブトークンでその料金を支払う場合に起きます。ブロックチェーン間の支払いの際には、ブロックチェーンに残ったデータがもとになります。例えば、ブロックチェーンBのデータに基づいて、ブロックチェーンAでの支払いが発生するなどです。

スマートコントラクトコール

スマートコントラクトコールとは、あるチェーンのスマートコントラクトが、別のブロックチェーンのスマートコントラクト機能を呼び出すことを指します。このソリューションは、トークンブリッジやスワッピングで使用されます。

ブロックチェーン相互運用プロトコル

ブロックチェーンの相互運用プロトコルは、クロスチェーンの相互運用に重点を置いたブロックチェーンです。それぞれ独立したブロックチェーンとは異なり、相互運用プロトコルは、互いにシームレスにやりとりできる複数のブロックチェーンを結びつけます。また、孤立したブロックチェーンの相互運用も可能にします。

ブロックチェーン相互運用のメリット

ブロックチェーンの相互運用では、異なるブロックチェーン間でデータ共有がシームレスに行われ、効率的なWeb3エコシステムが作られます。例えば、プライベートブロックチェーンは、パブリックブロックチェーンと相互に通信できます。相互運用ができるブロックチェーンを使えば、さまざまな企業間のコラボレーションが可能となります。

相互運用によって、少数の孤立したチェーンによる市場独占を避け、人々は互いに接続したチェーンネットワークを利用できます。これは、市場全体の分散化を促進し、相互接続のマルチチェーン世界の創造につながります。さらに、元チェーンの枠を超えたイノベーションが発達するにつれ、暗号資産エコシステムの成長が加速します。

ブロックチェーンが分かれて孤立していると、あるチェーンから別のチェーンへの価値移転には制限がかかり、自由貿易の妨げとなります。Web3ユーザーは、相互接続のチェーン間では自由に価値が移動できます。

ブロックチェーン相互運用のデメリット

ブロックチェーンにおいては、信頼性やセキュリティはチェーンごとに異なります。そのため、安全性の低いブロックチェーンから高いチェーンにデータや暗号資産を転送すると、後者が不正操作されやすくなります。トランザクションスループットもチェーンによって異なります。つまり、トランザクションスループットが高いブロックチェーンから多くのトランザクションが送信されると、トランザクション速度の低いチェーンは瞬間的に圧迫されてしまうのです。

ブロックチェーンの相互運用の障害は、その互換性にあります。互換性のあるブロックチェーン同士の接続は、そうでないブロックチェーンより簡単です。例えば、アバランチ、ポリゴン、BNBスマートチェーンなど、イーサリアム仮想マシン(EVM)を採用したブロックチェーンの相互運用は簡単にできます。ですが、EVM互換ブロックチェーンの非EVM互換チェーンへの接続は簡単ではありません。この点は、さらなる努力と作業が必要となります。

相互運用型ブロックチェーン・プロジェクト - トップ3

1. ポルカドット

ポルカドット(Polkadot)は、相互運用を意識して構築されたブロックチェーンです。プライベートとパブリックそれぞれのブロックチェーン(パラチェーン:ポルカドットに接続する独立したブロックチェーン)のエコシステムを統合し、チェーン相互の通信ができます。ブロックチェーン以外のシステムも、一定の条件でポルカドットのパラチェーンになれます。

パラチェーンは、ポルカドットが運営しており、チェーンが接続レイヤー(ポルカドットリレーチェーンと呼ばれる)にプラグインされ、プールされたセキュリティシステムを使用して、トランザクションが確認される仕組みです。ビットコインのような独立したブロックチェーンも、ブリッジを介してポルカドットの相互運用機能を利用できます。

イーサリアムの共同創設者であるギャビン・ウッド氏は、ポルカドットの創設者でもあります。共同創設者には、他にロバート・ハーバーマイヤー氏とピーター・チャバン氏がいます。ポルカドットネットワークは、2020年5月に一般公開されました。

2. Cosmos

Cosmosは、ブロックチェーンのインターネットを自称しており、Cosmos Hubと、ブロックチェーン間通信プロトコル(IBC)と呼ばれる通信レイヤーを介して接続したブロックチェーン(zonesと呼ぶ)のネットワークです。接続ブロックチェーンは相互通信でき、ユーザーはあるチェーンから別のチェーンへ資産の移転ができます。Cosmos Hubは、ネットワーク内のすべてのブロックチェーンの状態を監視しています。

Cosmosプロジェクトは、2016年にホワイトペーパーをリリースし、2017年にトークンセールを開催しました。Cosmosを支えているのは、ザルコ・ミロセヴィッチ氏、ジェイ・クォン氏、イーサン・ブックマン氏の3人のTendermint社共同創設者たちです。Tendermint社はもともと、Cosmosネットワークの中核的な存在でした。現在、CosmosはInterchain Foundationの支援を受けています。

3. Wanchain

Wanchainは、孤立したブロックチェーンネットワークをつなぐ分散型ブリッジによって相互運用を図るブロックチェーン。Wanchainプロジェクトは、EVM互換、非EVM互換ブロックチェーンを含む、すべてのブロックチェーンが相互に通信できる相互運用Web3エコシステムの構築を掲げています。Wanchainは2021年、ビットコインとイーサリアムの間にダイレクトの分散型ブリッジを構築し、相互運用を実現しました。

Wanchainネットワークには、ダイレクトNFTレイヤー2の3種類のブリッジがあります。これらのブリッジは、ブリッジノード(storeman nodesとも呼ばれる)のサポートに支えられてます。Wanchainでは、常時25台以上のブリッジノードのアクティブ状態が要求されます。Wanchainは、ジャック・ルー氏が2017年に設立しました。

ブロックチェーンの相互運用性ソリューション-Web3発展には不可欠

ブロックチェーンの相互運用は、Web3の開発には必須となります。 開発者は今後、相互運用性のあるブロックチェーンの作成に意識して取り組んでいく必要があります。それは、サードパーティのサービスプロバイダーによる、中央集権型の相互運用ソリューション導入を防ぐことにもなります。企業が相互運用型ブロックチェーンのメリットを得ようと努力するにつれ、さまざまな業界でブロックチェーンの導入が進むでしょう。

今後数年間は、クロスチェーンによる暗号資産価値移転の需要が高まるにつれ、多くの相互運用型ブロックチェーンが登場するとみられます。さらに、イノベーションの進展に伴い、既存の独立ブロックチェーン間の相互作用の増大も期待できます。

よくある質問

どのブロックチェーンが相互運用できるのか?

ブロックチェーン相互運用の事例は?

最も相互運用レベルが高いブロックチェーンは?

なぜ一般的なブロックチェーンは相互運用できないのか?

免責事項

当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報をもとに読者が取る行動は、あくまでも読者自身のリスクで行うものとします。「Learn」サイトでは、質の高い情報を提供することを第一に考えています。私たちは、読者にとって有益な教育的コンテンツを特定し、調査し、作成するために時間をかけています。この基準を維持し、素晴らしいコンテンツを作成し続けるために、私たちのパートナーは、私たちの記事への掲載に対して手数料を支払う場合があります。しかし、これらのコミッションは、偏りのない、誠実で有益なコンテンツを作成するためであり、私たちの活動プロセスに影響を与えることはありません。

Takashi-HIgashi-new.jpg
Takashi Higashi
国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。...
READ FULL BIO
スポンサー
スポンサー