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センチメント測定ツール、FG指数とは?

27分
投稿者 Takashi Higashi
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他の金融市場の高ベータ(beta)環境(ベータ値は個別証券と市場の連動性を示すリスク指標)と同様に、暗号資産市場はセンチメントによって動きます。ファンダメンタルズやテクニカルな側面も重要ですが、感情のトリガーに勝るものはありません。ユーザーの感情の予測不能性を測るのに、暗号資産の”fear and greed index” (恐怖と貪欲にかかる指数)ほど適したツールはないでしょう。FUD【Fear(恐怖)、Uncertainty(不安)、Doubt(疑惑)】の拡大、FOMO【Fear of missing out 「取り残されることへの恐れ」】の発生、「When Lambo」(成功を証明するステータスシンボル)期待など、暗号資産をめぐるユーザーの感情はランダムで多様です

想像してみてください。あなたがローソク足パターンやMA(移動平均)クロスオーバーなどの主要な短期テクニカル指数をチェックし、堅実なビットコインポートフォリオを作成したとします。そして自分のリサーチに自信を感じています。ところが、そのポートフォリオが突然崩れはじめたので、いまでは自分の方法と分析に疑心暗鬼になりつつあります。何が間違っていたのでしょうか?

“Fear and Greed Index”が極端に低いゾーンにあるとき、大半の人は取引を停止し、多くの利益機会を逃してしまいます。市場の至高の動きを感じ、利益を得る手段を学ぶために、ビーインクリプト(BeInCrypto)トレーディングコミュニティに参加しましょう。プロのトレーダーが、最新情報、価格変動分析、重要な市場イベント関わるアラートを示唆し、あなたの質問にお答えします。=>今すぐ参加する

回答:結局、ビットコインの”fear and greed index”を計算に入れていなかったのです!しかし、今からでも遅すぎるということはありません。ここでは、暗号資産(またはビットコイン)の”fear and greed index”とは何か、そしてその利用方法について説明します。

目次:

  1. なぜ別のインデックス(指数)が必要なのか?
  2. 暗号資産の”fear and greed index”(FG指数)をひも解く
  3. 暗号資産FG指数はどのように計算されるのか?
  4. FG指数を使用するメリット
  5. FG指数に対するマイナス評価
  6. トレーダーはビットコインFG指数をどのように使っているか?
  7. 指数スケールどう関連しあっているか?
  8. FG指数は信頼できるか?
  9. FG指数<DYOR(自分で調べる):最後に一言
  10. よくある質問

なぜ別のインデックス(指数)が必要なのか?

暗号資産の指数については、”NCI”(NASDAQ crypto index ), “NYXBT” (New York Stock Exchange Bitcoin Index),およびSPBTC(the S&P Bitcoin Index ) などがあるので、すでに充分ではないかと思われる方もいると思います。これらの指数はリソースが豊富で、その主な役割は暗号資産のパフォーマンスを追跡することですが、どの指数もユーザーの感情や広範な市場のセンチメントを考慮していません。ここに、大きなギャップが存在しています。

暗号資産の”fear and greed index” (恐怖と貪欲にかかる指数)(以下、FG指数)は、このようなギャップを埋めるためのもので、複数のデータポイントをチェックして、スタンドアロンな統計となるようそれらを結びつけます。FG指数は金融商品ではなく、センチメントを分析するマーケット指標であり、投資分析の補完を目的としています。

暗号資産の”fear and greed index”(FG指数)をひも解く

暗号指数FG指数は、人気のあるセンチメント指標の一つです。これは、デジタル性向をもつ市場参加者の思考、感情、反応を分析するためによく使用されるツールです。

注)他にも、ホエールアラート(WhaleAlert)や “Augmento” の “Bull & Bear Index”(強弱相場指数) など、センチメントを重視した指標が存在します。

簡単に言えば、FG指数は、ユーザーのセンチメントや暗号資産をめぐる特有の感情を毎日分析し、さまざまなソースから割り出し、シンプルな数値として表わすものです。

FG指数の概要

皮肉なことですが、FG指数は従来の金融商品を念頭に置いて開発されました。2012年、”CNN Money”が市場(正確には株式市場)のセンチメントを多面的に測定するためにこの指数を考案しました。

その後、”Alternative.me”によって暗号資産のエコシステム向けに工夫され、一般的な暗号資産センチメント指数となりました。この指数は、複数のマーケット指標を分析し、0から100の間で日次値を返します。0は極度の恐怖(市場参加者が状況を警戒している)、100は極端な貪欲(広範な参加/買いを示し、FOMOが生まれる)を指します。

FG指数に影響するエレメント

FG指数は、恐怖と貪欲という2つの特殊な感情に基づく指数ですが、1つのスペクトル(領域)から他のスペクトルへの移行には、複数のエレメント(要素)が絡んでいます。

指数が100のときは、市場参加者は最も楽観的で、買いのスピードが速まります。しかし、利益確定売りが出ると指数は下落し、楽観的な見方は「不安」な領域へと移行し始めます。不安のあとにくるのは否定の感情であり、参加者はどんな下落もわずかな調整とみなして受け流します。

暗合資産価格がさらに下落を続けると、パニックと失望が生じ、FG指数は40以下の領域に接近します。市場参加者は、その後の指数の下落を買い場と認識し、感情的な動揺は希望と楽観の領域へ押し上げられます。

興味深いのは、暗号資産FG指数の数字が一方へ極端に振れるとき、楽観的風潮が起きることです。

以下は、100から0までの感情の起伏を示すFG指数の推移となります。

FG指数における感情の動き:Tixee

暗号資産FG指数はどのように計算されるのか?

FG指数は、複数のマーケット指標を盛り込み、あらかじめ決められた加重に従ってデータを整理し、すべてを集約して0から100の間の数値を算出します。以下は、サブ指標とそれぞれの加重(ウェイト)です。

1. ボラティリティ(価格の変動性)

市場のボラティリティ(価格の変動性)は重要な指標です。そして、FG指数を算出する上で 25%のウェイトを占めています。この指標は、(ビットコイン指数の)最大のビットコイン ・ドローダウン(低下)と、月次および四半期ごとのボラティリティ平均に対する現在の市場ボラティリティに注目するものです。ボラティリティが高いということは、恐怖心が強いということですが、 トレーダーの熱意につながる可能性もあります。

2. 市場のモメンタム

この指標は、暗号資産の”fear and greed index volume indicator” とも呼ばれます。これもFG指数算定のうえで25%のウエイトがあります。計算については、この指標は現在の取引(買い)ボリュームを盛り込み、月平均や四半期平均と比較します。現在の取引量が多い場合は、過度に貪欲な状態にあることを示唆しています。

3. ソーシャルメディア

ソーシャルメディア指標をFG指数の一部としているのは、主にソーシャルプラットフォーム上でコインの話題に特化したチャッター(話し手)の評価に適応しているからです(たとえば、テレグラムのビーインクリプト(BeInCrypto) Trading Communityではプロのトレーダーや専門家が暗号資産について意見を交わしています)。この指標はFG指数の15%のウェイトを占め、ハッシュタグとソーシャルレスポンスを使った測定がなされます。

以下は、ソーシャルメンションとエンゲージメントがチェックできる”Lunar Crush”プラットフォームです:

4. ドミナンス(優位性)

FG指数の10%のウェイトを占めるドミナンス(優位性)は、最も扱いが難しく、また最も効果的なサブ指数の1つです。「恐怖と貪欲」の流れに関連して、それがどのように機能するかを以下に説明します:

ビットコインのドミナンスが高まるということは、他のアルトコインに対する意欲が低下するということです。したがって、ビットコイン・ドミナンスが高まっていると見られる場合、市場は恐怖のゾーンに向かって動き始めます。同様に、ビットコイン・ドミナンスの低下は、貪欲の拡大を示唆します。

(現状はビットコインの)市場支配率が39%以上のため、ビットコインFG指数は、しばしば暗号資産一般のFG指数と互換的に用いられています。

5. トレンド分析

FG指数は、グーグルから検索クエリを取得して、コインに特化した検索ボリューム(主にビットコインのもの)を判断材料とします。ですから、検索ボリュームの変化は、FG指数値の変化を測定するのに役立ちます。この指標も10%ウエイトがあります。

6. サンプル調査 (一時停止中)

現在休止中の(サンプル)調査は、FG指数の算出に役立つという点で、15%のウェイトを占めます。同調査が実施される場合、通常、2,000~3,000人の標準サンプルサイズによる暗号資産の世論調査というかたちを取ります。

このようにして、FG指数が形成されるのです。なお指数値は、個々のサブ指数の変化に応じて、毎日更新されます。

FG指数を使用するメリット

ここまでで、どのようにFG指数が形成されるかについて、知ることができたはずです。次に、リアルタイムでFG指数に実装する前に、そのメリットを以下に見てみましょう:

  • 変動が激しい市場をより広い視野で見ることができる。
  • 指数は一夜で変化するのではなく、特定の方向にゆっくり動く。
  • 相対的な価格水準に応じて変化(下落または上昇)する相対的な指標となる。
  • ボラティリティ、ドミナンス、ボリューム、その他の重要なデータソースをカバーしているため、トレーダーの市場リサーチ時間を短縮できる。
  • 市場が極端な状態にある場合、たとえば、資産が割安で入手できる場合やバブルの領域に入りつつある場合について明確な情報を提供する。
  • 強気相場と弱気相場において暗号資産市場の適正なイメージを描く。
  • ビットコインや他の暗号資産の空売りのように、積極的な投資判断を下すために使用することができる。
  • 直接金融アドバイスを与えることなく、市場のセンチメントを測定して最もリスクの高い局面を示すことができる。

FG指数に対するマイナス評価

これまでに見てきたように、暗号資産FG指数にはメリットがあります。ただ、まだ完璧とは程遠く、以下のような批判があります:

  • 短期的なセンチメント分析用であり、大局的な判断にはほぼ役立たない
  • ボラティリティと出来高という2つの不安定な指標に大きく偏っている
  • 指数が中立値や50のレベルに近いとき、または値動きが横ばいであるときには、取引のサポートとならない場合が多い
  • より明確な(取引)イメージを提示するには、テクニカル指標とファンダメンタルズ指標が必要である
  • クジラ投資集団の活動、為替流入、取引強度を考慮していない
  • 暗号資産価格があまり動かないとき指数が大きく変化することがある

トレーダーはビットコインFG指数をどのように使っているか?

多くのメリットと欠点も一部ありますが、暗号資産FG指数は信頼できる取引ツールです。以下に、トレーダーがこの指数を使用して、変動が大きい市場で競争優位にを立てる手法を紹介します:

指数スケールを4つの事象に分ける

指数を4つのゾーンに分けてみましょう:

  1. 極度の恐怖またはオレンジゾーン(0~24)
  2. 恐怖またはアンバー/イエローゾーン (25-49)
  3. 貪欲またはライトグリーンゾーン (50-74)
  4. 極度の貪欲またはグリーンゾーン(75-100)

ゾーン1は極端な恐怖を表しています。また、最高の買い場を提供し、価格の反転が近いことを意味する場合もあります。ゾーン2は、恐怖ゾーンです。これは弱気相場の始まりで、価格が急激に下がり始めるときに起こります。強気相場ではこのレベルからすぐに上昇しますが、深い弱気相場では、恐怖ゾーンはしばしばさらなる調整につながります。

重要!)底値がどこになるかは誰にもわかりません。ですから、指数がゾーン1にあるときにやみくもに買い始めるのは賢明ではありません。むしろ、ゾーン2に何度も移動している、明らかに買いを示すものを探すべきです。

ゾーン3では価格が上向き始めます。さらに、このゾーンではボラティリティが最も低くなっています。また、買いのボリュームが増加し、強気であることが示唆されます。ゾーン4は、市場が最も買われすぎている時です。この事象は、価格の反転/修正の兆しとなります。

トレーダーは、指数がどの事象にあるかをチェックし、それに従って判断を下すことができます。

以下は、”Twitteratis”がFG指数をどのように取引ツールとして使っているかの例です:

ここまで、トレーダーが意思決定を下すために、指数の異なる事象を利用する方法について話してきました。以下に、暗号資産FG指数がビットコインの価格チャートにどのように直接関係するかをリアルタイムで分析します。

注)ビットコインはFG指数と直接相関しており、いまなお最も支配的な暗号資産であるため、BTC/USDの価格チャートを使用します。

暗号資産FG指数データ(2021年10月28日~2022年10月27日)

ビットコインのFG指数:Alternative.me

標準的なビットコインの値動き(2021年10月28日~2022年10月27日)

指数スケールはどう関連しあっているか?

FGチャートで左から1番目のティックをご覧ください。これは2022年1月8日、指数値が10(極端な恐怖ゾーン)に低下した時です。BTC/USDの価格チャートでは、このポイントは黒丸の部分と一致し、4万ドル台に近づいていいます。これは、ビットコインが史上最高値の68,789.63ドルから3万ドル近く下落したことで、情勢が一気に恐怖に変化したことを示しています。

相場はその後、(一定の期間を経て)かなり下落しました。このことから、FG指数は下がるときに大きく下げるのではなく、市場の状況に応じてゆっくりと変化していることがわかります。

左から2番目のティックは、3月28日に、指数が60まで上昇したときのものです。1月8日と比較すると、FG指数は50ポイント動いたので、値上がり幅は7000ドルしかないことになります。このような横ばい時の取引行動は、ウィップソー(whipsaws)とも呼ばれ、混乱を招きやすいので、慎重に取引する必要があります。市場が横ばいの動きの時には、FG指数はそれほど有効ではありません。

しかし、数値60は今年のFG指数の最高値でしたが、その後、ビットコインの価格が下がり始めた様子を見てとれます。したがって、ゾーン3であっても、弱気相場における暗号資産の買われすぎのゾーンと考えることができます。

FG指数は信頼できるか?

FG指数がどの程度信頼できるかを話す前に、上記のリアルタイムの例から推測できることをいくつか挙げておきます:

  1. 弱気相場でゾーン1のFG指数の値が低くても、底打ちを意味するわけではありません。パニックとボラティリティが高まっているだけの可能性があります。
  2. 弱気相場では、ゾーン3やライトグリーンのゾーンも売りの引き金になることがあります。
  3. FG指標は、横ばいの取引に最適な指標ではありません。
  4. 強気相場や暗号資産の冬には、センチメントが過大になることがあります。

総合評価:FG指数はある程度信頼できるという意味ではイエスです。テクニカル指標やファンダメンタルズ指標と併用すれば、さらに信頼性が高まります。また、短期的なセンチメントや投資判断を追跡するのに適しています。長期的な分析や、ソーシャルチャットに基づいて意思決定を行う暗号資産投資家への使用はお勧めしません。

FG指数<DYOR(自分で調べる):最後に一言

結論として、FG指数、もっと言えばビットコインFG指数は、市場全体のセンチメントを予測する良いツールであると言えます。しかし、このツールのみをDYOR(自分で調べる)プランの中心に置くのは正しい選択ではありません。

完璧な組み合わせは、ビットコインのレインボーチャートを使ってより広い買い/売りゾーンを見て、FG指数を使って市場のセンチメントを測定し、最終的にオンチェーンとオンチャートのツールを使って市場エントリーと実行の微調整をすることです。(これらを)成功に導くには、(関連ツールをうまく)連係させる取り組みが必要となります。

よくある質問

ー 暗号資産FG指数(crypto fear and greed index)とは?

暗号資産FG指数は、暗号資産市場向けの有効なセンチメント分析ツールです。これはビットコインと直接相関しており、ビットコインFG指数とも呼ばれています。

ー 暗号資産FG指数は、NFTにも影響するのでしょうか?

暗号資産FG指数は、主に暗号資産市場に影響を与えます。ですが、NFT市場は、この指数が低下または上昇した場合に、直接的なかたちでに二次的影響を受けることもあります。

ー FG指数とは何ですか?

FG指数はもともと、従来の株式市場に焦点を当てて作成されたものです。これは、投資家の主要な2つの感情である恐怖と貪欲を測定するために使用されるツールです。

ー 暗号資産の取引に最適な指標は何ですか?

信頼性の高いテクニカル、ファンダメンタル、センチメントの分析ツールを使って暗号資産を取引することができます。テクニカル分析では、移動平均とRSI(相対力指数)が最適なツールです。ファンダメンタルズでは、取引所への資産流入やトークノミクスを追跡することが理にかなっているかもしれません。センチメント分析には、FG指数が適切なツールです。

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国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。
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