2025年、「暗号資産と株、実際どっちが儲かるのか」が個人投資家にとっては大きな注目点となりそうです。国内取引所で取り扱われるビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産は、比較的高いボラティリティで大きな利益を狙う投資家に支持されています。一方、株式市場では日経平均株価を中心に最高値を更新するなど顕著な成長や配当を期待する動きが続いています。政府の規制強化やデジタル円の導入、海外資金の流入などが市場に影響を与える中、暗号資産と株のどちらが儲かる投資対象となるのか注目が集まります。
本稿では、2025年において日本市場で暗号資産と株のどっちが儲かる投資として機能するのかについて初心者投資家にもわかりやすく解説します。
2024年の日本の暗号資産の動向
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の12月公開の情報によれば、2024年10月時点で、日本国内の暗号資産に関する口座数はおよそ1,121万9,061件に達し、前年同月の839万7,670件から約33.6%の増加を記録しました。今年の1月から10月までにおける月間平均の新規口座開設数は約23万9,588件で、前年同期の19万9,838件と比較して約19.9%の伸びを見せています。24年には規制当局や、公共団体で暗号資産採用加速に向けた動きが多く見られました。
自民党Web3プロジェクトチーム(PT)は1月、DAO(自律分散型組織)のルール作りに関する提言を政調審議会で了承しました。2023年11月から2024年1月に開催されたハッカソンでは、法令や税務の課題が議論され、法人格の付与や匿名性の保持などを含む法的枠組みの確立が提案されました。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3月、低流動性資産に関する情報提供依頼を開始しました。この募集にはビットコインも含まれており、GPIFはこれらの資産に関する基本的な知識や、海外の年金基金による投資事例、ポートフォリオへの組み込み方法についての情報提供を求めています。同法人は年度計画に基づき、この分野に関する研究を進める方針です。GPIFは2023年12月末時点で約225兆円の運用資産を持つ、世界最大規模の年金基金として知られています。
日本のSBIホールディングスは2024年7月、米フランクリン・テンプルトンと提携しデジタル資産運用会社を設立しました。これは日本がビットコインETF承認を準備している動きの一環とみられます。また、野村証券や三菱UFJ信託銀行などの金融大手が10月、暗号資産ETFの解禁を求める提言を発表し、日本の規制当局に承認を促しています。
暗号資産ETFに関して金融庁は「世界の流れに遅れを取れない」との姿勢を示す一方、承認に踏み切る具体的な動きは見られません。市場関係者からは、日本の規制当局が保守的であることが問題視されており、現行法の制約が大きな障壁となっています。特に、現物取引には最大55%の総合課税が課される一方、ETFには20%の申告分離課税が適用される税制の不均衡が解消されない限り、混乱が続く可能性があります。
11月には金融庁が暗号資産や法定通貨と価値が連動するステーブルコインの仲介業を新設する検討を始めたことがわかりました。この仲介業は暗号資産交換業者と利用者を取り次ぎ、資産の預かりや管理を行わない業態として提案されました。現在は仲介のみでも交換業の登録が必要で、資産管理や弁済原資の確保など高い参入障壁が拡大を妨げています。新設によりゲーム内アイテム購入で仮想通貨が使いやすくなる可能性があります。
仮想通貨の売却益を投資家保護規制が整備されている株や債券、ETFと同様「20%の申告分離課税」とすることに慎重な姿勢をみせた石破総理。日本の暗号資産の税率は最高55%(住民税含む)で世界一高い。「日本をWeb3先進国に」という国家戦略とは真逆の発言。イノベーションに対し、牛歩で進む石破政権。 pic.twitter.com/UhOL32fgvp
— あいひん (@BABYLONBU5TER) December 2, 2024
一方、国税庁は12月、米国ビットコインETFの譲渡益について、20%の申告分離課税の対象になる可能性を示しました。しかし、石破茂総理は同月に暗号資産ETFの取引環境整備や暗号資産の分離課税移行に慎重な姿勢を見せ、明確な方針は示しませんでした。この対応に対し、国民民主党の玉木雄一郎代表や経済界から批判の声が上がっています。
自民党デジタル本部は、「web3ワーキンググループ」を新設し、暗号資産の制度や税制見直しに向けた議論を本格化させました。12月12日、塩崎あきひさ議員が準備会合をオンラインで開催し、重要テーマの論点整理を開始したと発表しました。
浜田聡事務所より質問主意書を提出いたしました。@satoshi_hamada
— 村上ゆかり (@yukarimurakami5) December 11, 2024
「米国等が進めているビットコイン準備金導入の動きの把握状況等に関する質問主意書」 pic.twitter.com/n0I0G3RucM
「NHKから国民を守る党」の浜田聡参議院議員が、暗号資産を準備金として活用する可能性について政府に質問主意書を提出しました。この内容は、公設秘書が12月11日に公開した文面で明らかにされました。浜田議員は、米国やブラジルがビットコインを準備金として保有する動きに触れ、日本政府の現状認識と見解を求めたほか、外貨準備金の一部をビットコインなどに充てる案を提案しました。また、文書内では、次期トランプ政権下でAIや暗号資産担当の特命官新設が議論されていることや、ビットコイン準備金保有の法案が進行している状況についても言及しています。
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2024年の日本株市場の動向
2024年3月末時点で、NISA口座の累計開設数は2,300万件を超え、新規投資額は約41.4兆円に達しています。2024年、日本株式市場は多様な要因により変動を見せました。年初、日経平均株価はバブル崩壊前の最高値に迫る勢いを示し、特に半導体セクターの成長と円安が追い風となりました。
しかし、7月11日には42,426.77円の史上最高値を記録した後、米国経済指標の弱含みや日銀の金融政策の変化、そして円の急激な反発により、8月5日には12.4%の大幅下落を経験しました。その後、米国の経済指標の改善や日銀の政策修正により、市場は安定を取り戻しました。
政府の経済予測では、2024年度の実質GDP成長率は1.3%とされ、個人消費や設備投資の増加が期待されています。民間エコノミストの予測では0.9%とやや控えめであり、消費の回復や外需の動向に注視が必要とされています。
また、企業の収益改善やコーポレートガバナンスの強化が株式市場を支える要因となっている。特に、東京証券取引所の主導による株主価値向上の取り組みが進展しており、これが市場全体の底上げに寄与している。加えてアクティブ運用のETFが市場平均を上回るパフォーマンスを示しており、特に工場自動化やテクノロジーセクターでの個別銘柄選択が奏功しています。
総じて、2024年の日本株式市場は、国内外の経済指標や政策変動、企業の収益動向など多岐にわたる要因に影響を受けつつも、全体としては堅調な推移を見せました。
2025年に暗号資産と株で儲かるのはどっち?
「暗号資産と株のどっちが儲かるのか?」その答えは暗号資産と言えるでしょう。暗号資産は今後の成長性で株式市場を上回る可能性があるとされています。2024年のビットコイン半減期は、強気相場を引き起こす重要な契機となり、価格は約1年後にピークを迎えると予測されています。これに伴い、アルトコイン市場も連動して急成長する見通しです。
株式市場は安定した成長が期待されるものの、暗号資産市場は2025年の短期間で高リターンを狙える点で特に注目されています。ビットコインやイーサリアムをはじめとし、新しい技術やプロジェクトが次々と登場し、市場を活性化しています。
さらに世界最大の資産運用会社であるブラックロックは24年12月、投資家向けの報告書を公開し、ポートフォリオの1〜2%を暗号資産であるビットコインに組み入れることを提案しました。
分析によると、株式と債券を中心とした従来型ポートフォリオにビットコインを1〜2%加えると、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要テクノロジー企業(アルファベット、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディア)の株式を保有する場合と似たリスク特性を持つとしています。
報告書では、ビットコインが他の資産と比較して相関性が低い一方で、ボラティリティが高いことを指摘しています。また、リスク全体への影響はテクノロジー株に近いものの、分散投資の一環としての有用性も評価されています。一方で、暗号資産には税制面での課題もあります。現在の日本の税制では複雑な申告手続きが必要であり、投資家にとってハードルとなる場合がありますが、税制改正への期待も高まっています。リスクを許容しつつ利益を重視する投資家にとって、暗号資産は有望な選択肢と言えるでしょう。
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暗号資産市場の展望
2025年、日本市場では暗号資産が株式市場を凌ぎ主役となる可能性が強いでしょう。その背景には、2024年4月に実施されたビットコインの「半減期」があります。このイベントは過去の市場データに基づいても、次の強気相場を引き起こす主要なトリガーとして注目されています。
米著名投資ファンドのパンテラキャピタルは、ビットコインの半減期が価格に影響を与えるまでには時間がかかるとする過去のデータを示唆しています。主にビットコイン価格は半減期の約477日前に最安値を記録し、その後上昇を開始。半減期を迎えた後も、さらに平均480日間にわたり価格が上昇する傾向が見られると指摘しています。
著名アナリストのアリ・マーチン氏は、ビットコインの強気相場が続くと予想しており、次のピークは2025年10月頃になると予想しています。この予測は、別の著名アナリストであるRekt Capital氏の分析とも一致しています。ビットコインの半減期後に価格がピークに達するまでの期間について、過去のデータは以下のような傾向を示しています:
- 2012年の半減期: 約368日後に価格がピークに到達
- 2016年の半減期: 約526日後に価格がピークに到達
- 2020年の半減期: 約518日後に価格がピークに到達
これらのデータを踏まえると、ビットコインは半減期からおよそ1年から1年半で価格のピークに達する傾向があると推測されます。ただし、これらの分析は過去のデータに基づいており、地政学的リスクやテクニカルな要因など、外部の影響によって結果が異なる可能性があることに留意が必要です。
ビットコインを除く暗号資産のアルトコインは、価格の変動が非常に大きいため、高い利益を狙える一方で、同時に高リスクを伴う資産として知られています。特にこれらはビットコイン半減期の影響を受け、アルトコイン全体の時価総額が増加し、市場が約505日後にピークを迎える傾向があります。この流れは、イーサリアムを含む多くのアルトコインにも影響を及ぼします。
アルトコインシーズンと言われるこの時期には、大型アルトコインが過去の最高値を取り戻し、斬新な中小型アルトコインを新たな高みに押し上げる流れがみられます。
フォーブスによると、複数の指標が2025年のアルトコインシーズンの到来を示しているとされています。アルトコインの時価総額は過去最高を記録しており、2024年12月現在、Coingeckoのデータをもとにアルトコイン市場の時価総額が1.89兆ドルに達したと報告しています。これは2021年11月の1.79兆ドルを上回る水準です。また、ビットコインの市場占有率が11月以降60%から51%に低下したことも指摘されています。CryptoQuantキ・ヨン・ジュCEOのデータを引用し、アルトコインの取引量がビットコインとのペアに依存しておらず、実際の市場成長を示していると報じています。
ブロックチェーンセンターの「アルトコインシーズンインデックス」が12月2日に75%の基準値を突破し、その状態が1週間続いたことから、2025年がアルトコイン市場の真のピークになる可能性が示唆されています。フォーブスは、2024年の時点で上位50のアルトコインの中で最も成績が良いのはミームコインであるものの、これらが2025年の主要な市場ナラティブを形成する可能性は低いとの見解を示しています。一方で、新しい技術としてBRC-20トークンや現実資産(RWA)のトークン化が注目されているとフォーブスは指摘しています。
また、フォーブスによると、ベンチャーキャピタル(VC)の投資活動が2025年に2021年から2022年並みに回復すれば、これらの新興プロジェクトが市場を牽引する可能性があるとのことです。ただし、同社はアルトコインシーズンの熱狂に飲み込まれず、強固な基盤と実用性を持つコインのみが次のサイクルを生き残ると警告しています。
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株式市場の展望
2025年に向けて、日本株式市場はさまざまな要因に支えられ、長期的な成長が期待されています。特に、企業のガバナンス改革、自社株買いの増加、株主還元の強化が市場の好調さを支える主な要因となっています。
フィデリティ・インターナショナルのレポートによれば、日本企業による自社株買いが株式市場で大きな存在感を示す可能性があります。自社株買いは、企業が自社株を市場から購入することで、流通株式数を減らし、1株当たり利益(EPS)を向上させる効果があります。この動きは、特に海外投資家にとって魅力的な要素となり、資金流入を促進する要因として期待されています。2023年から2025年にかけて、資本効率を重視する姿勢が多くの企業で採用されており、同社はこれが長期的な株価上昇を支える重要な原動力となると指摘しています。
ロイターの調査では、日経平均株価が2025年末までに史上最高値を更新するとの予測がされています。同予測は、企業業績の改善や経済成長の回復基調を背景にしており、特に輸出企業が恩恵を受けると見られています。日本市場への海外資本の流入も増加しており、これが株式市場のさらなる活性化を後押しする要因となると見られています。
さらにBarron’sによれば、日本企業は近年、ガバナンス改革を加速させており、これが市場全体の長期的な成長を後押ししています。特に、企業が保有する現金の効率的な活用が注目されています。従来の内部留保重視の姿勢から、株主還元や成長投資への積極的な資金配分へとシフトしていることが確認されています。
経済と暗号資産市場の相関性
暗号資産市場で売りが加速している背景には、アメリカの景気後退懸念が大きく影響していると考えられます。この影響は株式市場の一時的な暴落と共通しており、「伝染効果」として注目されています。この現象は、金融市場全体の相互依存性が強まる中で、暗号資産市場にも影響を及ぼしていることを示しています。
もともと暗号資産は、中央集権的な金融システムから独立した存在として設計され、伝統的なシステムの欠陥を補う代替通貨や投資資産として期待されていました。しかし、2017年以前には比較的孤立していた市場も、次第に金融システムへと統合され、伝統的市場の価格変動(ボラティリティ)の影響を受けるようになっています。
暗号資産と金融政策の関係
暗号資産が金融政策にどのように反応するかを分析した研究によると、資産の種類によってその反応の強さは異なります。たとえば、ビットコインのように「通貨」に近い機能を持つ暗号資産は、アメリカ連邦準備制度(FRB)の金利発表に対して強い影響を受ける傾向があります。これは、金融取引での利用が多いため、経済環境や消費者需要の変化に敏感であることが理由です。
一方で、イーサリアムのような「プロトコル型」の暗号資産は、NFTなどの暗号製品を構築するプラットフォームとしての役割を果たしています。このため、プロトコル型の価格は、金融政策発表に対する反応が比較的緩やかであるとされています。
日本経済が世界の暗号資産市場に与える影響
日本の経済政策や市場動向も、暗号資産市場を含む世界の金融市場に大きな影響を与えています。
- 低金利環境の影響
長期間続く日本の低金利政策は、投資家が低利の円を借りて高利回り資産に投資する「キャリートレード」を促進します。これにより、暗号資産のような高リスク資産への需要が高まる可能性があります。また、低金利政策は世界的な流動性を拡大し、暗号資産市場を間接的に押し上げる要因にもなっています。 - 金融政策の波及効果
日本銀行(BOJ)の金融緩和政策は、世界的な流動性を増加させ、その一部が暗号資産市場に流れ込むことがあります。しかし、政策が引き締めに転じた場合、流動性が収縮し、暗号資産価格に下押し圧力がかかるリスクも考えられます。
このように、暗号資産市場は単なる投機の場を超え、金融政策や経済動向と密接に結びついた存在になりつつあります。投資を検討する際には、これらの要因を慎重に見極めることが重要です。
日経平均株価の変動と暗号資産の相関性
TechFlameの分析によれば、日本経済が暗号資産市場に一定の影響を与える一方で、日経平均株価とビットコインや主要トークンの間に直接的な相関性はほとんど見られません。
統計分析によれば、日経平均株価とビットコイン価格の相関係数は通常0.3未満であり、両者の関係は弱いです。日経平均株価は日本企業の業績や日本経済に対する投資家の信頼を反映していますが、暗号資産市場は技術革新や規制政策、投資家心理に大きく左右されます。
また、日経平均株価の1日の変動幅は1~2%程度ですが、暗号資産市場では10%以上の変動が頻繁に発生します。この違いは、日経平均が成熟した市場である一方、暗号資産市場はリスクが高く、多様な参加者がいることを示しています。
両市場が同時に大きく変動する場合もありますが、それは通常、共通のマクロ経済要因や世界的なリスクイベントによるものです。たとえば、世界的な経済不況や流動性危機が両市場に影響を及ぼすことがあります。
まとめ:2025年は暗号資産に注目
2025年は暗号資産が大きな注目を浴びる年となるでしょう。ビットコインの半減期を契機に、強気相場が予想される暗号資産市場は、短期間で高リターンを狙える投資対象として期待されています。一方で、株式市場もガバナンス改革や企業収益の向上を背景に、長期的な成長が見込まれています。このように、暗号資産と株式市場はそれぞれ異なる特徴を持ち、多様な投資家ニーズに応えています。
特に暗号資産は高いボラティリティとリターンの可能性が魅力で、規制や税制の動向がその行方を左右する重要な要素となります。2025年は、リスクを理解した上で暗号資産市場への投資を検討する価値がある年となるでしょう。
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