イーサリアム(ETH)大型アップグレード「Dencun」が2024年3月13日、イーサリアムメインネットにおいて実装されます。 Dencunアップグレードには、データのストレージを増やし、ガス代を削減するように設計された5つのイーサリアム改善提案(EIP)が含まれています。ETHの価格影響については、Dencunアップデートへの期待がすでに織り込み済みだとしても、将来的にはさらに価値が向上していく可能性が高いと言われています。
そこで本記事は、過去のイーサリアムの次期アップデートの内容と、Dencunアップグレードの詳細について解説します。イーサリアムDencunアップグレードに関心がある人や、イーサへの投資を検討している人は、ぜひ最後までご覧ください。
イーサリアム、アップグレードの歴史
イーサリアムは、2015年に誕生して以来、数多くのアップグレードを重ねてきました。これらのアップグレードは、イーサリアムの機能を拡張し、スケーラビリティを向上させ、セキュリティを強化するために実施されています。
- フロンティア(2015年):最初のバージョン「フロンティア」は、スマートコントラクト機能を実装し、マイニングによるETH発行を開始、分散型アプリケーション開発の可能性を大きく広げた
- ホムステッド(2016年):バグ修正とパフォーマンス向上が行われ、ネットワークの安定性が向上
- メトロポリス(2017年):メトロポリスでは、ネットワークの難易度調整を自動化するEIP-155を導入し、マイニングの安定化を実現
- コンスタンティノープル(2018年):Gasコスト削減、Difficulty Bomb延期、SSTORE opcode変更など、3つのEIPを導入
- ペテルブルク(2019年):Istanbul hard forkの延期とPrecompiled contractsの変更など、2つのEIPを導入
- イスタンブール(2019年):Chain ID導入、CREATE2 opcode変更、TIMESTAMP opcode変更、Gas価格仕組み変更など、4つのEIPを導入しました。特に、Gas価格仕組み変更は、取引手数料の予測可能性と安定性を向上
- ムーア(2020年):Gasコスト削減に特化したEIP-2315を導入し、イーサリアムの利用料金をさらに下げた
- ベルリン(2021年):as価格仕組み変更の完全有効化、Fork choice rule変更、Transaction type変更、ModExp opcode変更など、4つのEIPを導入
- ロンドン(2021年):ベルリンで導入されたGas価格仕組み変更を完全に有効化し、イーサリアムの取引手数料体系をより効率化
- 上海(2023年):ステーカーのETH引き出しを可能にし、ステーキングの流動性を向上
イーサリアムは継続的にアップグレードを重ねることで、よりスケーラブルで、安全で、使いやすいプラットフォームへと進化し続けており、これらのアップグレードは、イーサリアムがブロックチェーンプラットフォームとして普及していくための重要な要素になっています。
イーサリアム大型アップグレードDecunの概要
Decunは、イーサリアムのスケーラビリティ、セキュリティ、効率性を向上させるための重要な大型アップグレードです。2つのフェーズに分かれており、プロトダンクシャーディングと呼ばれる技術を中心に、イーサリアムネットワークの基盤強化が特徴です。
ブロブ(BLOB)とは?
イーサリアムの大型アップグレードであるDecunでは、いくつかの重要な技術革新が導入されます。その中でも、特に注目されているのが「ブロブ / BLOB(Binary Large Object)」と呼ばれる技術です。
BLOBは、従来のイーサリアムでは扱えなかった大容量データをスマートコントラクト上で処理することを可能にする技術です。具体的には、以下のようなデータがBLOBとして扱えます。
- 画像
- 動画
- 音声
- ドキュメント
- その他のバイナリデータ
従来のイーサリアムでは、これらのデータを扱うためには、IPFSなどの外部ストレージサービスに保存する必要がありましたが、BLOBの導入により、これらのデータを直接スマートコントラクト上で処理することが可能になります。
EIP-4844とは?
EIP-4844は、イーサリアムの大型アップグレードDecunにおける重要な技術革新の1つです。プロトダンクシャーディングとも呼ばれ、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解決し、トランザクション処理能力を大幅に向上させることを目的としています。EIP-4844は、以下の2つの主要な変更を導入します。
- シャーディング:データを複数のシャードと呼ばれる小さなデータベースに分割して保存する技術。EIP-4844では、イーサリアムのデータを64個のシャードに分割する
- プロトコルレベルのロールアップ:ロールアップとは、複数のトランザクションをまとめて処理することで、トランザクション処理能力を向上させる技術で、EIP-4844では、プロトコルレベルでロールアップをサポートを行う
ダンクシャーディングとは?
ダンクシャーディングは、イーサリアム2.0アップグレードの最終フェーズで発生するシャーディングの一種であり、トランザクション処理能力の向上、データストレージの合理化、データ可用性と管理の最適化、統合市場手数料の導入など、イーサリアムプラットフォーム全体に大きな影響を与える技術。ダンクシャーディングは以下のような特長があります。
- トランザクション処理能力の向上:ダンクシャーディングは、トランザクション処理を複数のシャードに分散させることで、イーサリアム全体のトランザクション処理能力を大幅に向上させる
- データストレージの合理化:
データを複数のシャードに分散させることで、データストレージを効率化。従来のシャーディングと比較して、ノードが必要とするストレージ容量を削減し、ネットワーク全体の効率性が向上 - データ可用性と管理の最適化
データを複数のシャードに分散させることでデータの可用性と管理を最適化しており、データが複数のノードに保存されるため、単一障害点のリスクを軽減し、データの損失を防いでいる
イーサリアムDencunアップグレードがETH高騰に拍車をかけるのか?
イーサリアムの大型アップグレードであるDencunは、2024年3月13日に予定されており、イーサリアムのスケーラビリティ、セキュリティ、効率性を向上させる重要なものとして期待されています。DencunアップグレードがETH価格にどのように影響を与えるのか、多くの投資家が注目していますが、JPモルガンは22日の分析レポートにおいて、Dencunアップグレードはすでに市場価格に大部分反映されていると指摘。
JPモルガンの22日の分析によれば、Dencunはすでに市場価格に大部分反映されており、現在米国で申請されているイーサリアム現物上場投資信託(ETF)の承認可能性は50%とされているとした。
イーサリアム、次期アップグレード「Dencun」メインネットの実装予定日は3月13日に:Bein Crypto Japan
実際に、2023年12月以降、ETH価格は上昇傾向にあり、Dencunアップグレードへの期待が価格に織り込まれている可能性は考えられます。しかし、Dencunアップグレードは長期的にETHの価値を高める重要なアップデートであるため、織り込み済みだとしても、将来的にはさらに価値が向上していく可能性が高いです。
Dencunアップグレードは、イーサリアムのトランザクション処理能力を大幅に向上させるため、イーサリアムのの需要が高まることが期待されます。Dencunアップグレードは、短期的な価格変動だけでなく、長期的なETHの価値向上にもつながる重要なアップデートであるため、短期的な価格変動に惑わされず、長期的な視点でETH投資を検討することが大切です。
まとめ:イーサリアムDencunアップグレードに注目
本記事では、イーサリアムの大型アップグレードであるDencunが、ETH価格にどのような影響を与えるのかについて解説しました。Dencunアップグレードは、イーサリアムのスケーラビリティ、セキュリティ、効率性を向上させる重要なアップデートであり、長期的にETHの価値を高める可能性が高いと考えられます。しかし、Dencunアップグレードはすでに市場価格に大部分反映されている可能性もあり、短期的な価格上昇は期待しにくい状況ともいえます。
投資家心理が強気であれば、DencunアップグレードをきっかけにETHを購入する動きが活発化し、ETH価格は上昇する可能性があります。大型アップグレードであるDencunの動向と、ETHの今後の価格動向に注目しておきましょう。
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