詳細を見る

Googleが開発に力を注ぐAIチャットボット、Google Bardとは?

16 mins

AIチャットボットは、現在世界中の脚光を浴びているChatGPTにみられるように、急速に社会の注目を集めています。検索エンジンなどのオンラインサービスを提供し、アメリカのビッグ・テックの一角を占めるGoogleも、生成型AIチャットボットの開発に積極的に取り組んでいます。Googleは、この分野への参入は比較的遅い方でしたが、AIチャットボット「Google Bard」の開発を急ピッチで進めています。Googleのこれまでの事業展開を考えると、同社がAIチャットボットの世界のトップランナーとして躍り出る日も近いかもしれません。

この記事では、Google Bardについて知っておくべきことを詳しく説明し、成長著しいAIチャットボットの世界の見通しやその影響について解説します。

Google Bardとは?

Bardは、Googleの会話型人工知能チャットボットです。現在、ライバルであるマイクロソフト傘下の人気AIチャットボット、ChatGPTに対抗する製品です。

Bardは、OpenAIのGPT大規模言語モデル(LLM)を使用するChatGPTとは異なる方式を採用しており、Google独自のLLMであるLaMDA(Language Model for Dialogue Applicationsの頭文字)を活用しています。

ChatGPTを用いて暗号資産取引のシグナルが発信できることを知っていますか? StormGainのAIによる無料シグナルをお試しください! 今すぐ試してみる

GoogleのAI分野参入への決断

Googleは2023年2月6日、AI分野事業への参入を発表しました。その目玉が「Google Bard」です。ただし、これには懐疑的な見方も根強くあります。というのも、Googleは潤沢な資金力はあるものの、これまで打ち出してきたプロジェクトであまり良い結果が出ておらず、当初の鳴り物入りのプロジェクトの多くが、その後お蔵入りになっているためです。

ChatGPTのようなAIチャットボットが、Googleの検索エンジン事業の優位性と実績を脅かしている状況において、GoogleはBardで過去と同じ轍を踏む余裕があるのでしょうか?

出鼻をくじかれたGoogle Bard

Googleにとって最初のつまづきは、ChatGPTの成功に対抗すべくBardの開発が急ピッチで進められているという憶測が流れた最中に起きました。同社が市場への参入を急いだたため、ライブデモの失敗を始めとする、予期せぬ課題を抱えてしまったようです。

GoogleとAlphabetのサンダー・ピチャイCEOは、ライブデモで、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)に関するユーザーの質問に答えるかたちで、Bardの機能を紹介しました。ユーザーからの質問、「JWSTはどんな新発見を9歳の子どもに伝えることができるか?」という質問に対して、Bardの回答は、JWSTが 「太陽系外の惑星を初めて撮影した 」という不正確なものでした。

天文学者やコメンテーターは、ソーシャルメディア上で、太陽系外惑星の画像は(Bardではなく)地上の天文台が2004年に撮影したものだったと指摘し、Bardの間違いをすぐさま訂正しました。

Googleは、このBardの誤回答のために財務的に大きな痛手を被りました。Bardの信頼性や信憑性に懸念が生じ、同社の市場価値は1,000億ドルも急落しました。

しかし、Googleは2023年3月21日、ユーザーに対し(Bardの)待機リストへの参加を呼びかけ、Bardへのアクセスをオープンにして、同社のAIを徐々に一般公開するようになりました。

誰がGoogle Bardを使用できるのか?

Bardを利用できるユーザーは、2023年4月下旬時点では、18歳以上のGoogleの個人アカウントを持っていることが条件です。Bardは現在、米国と英国でのみ利用できますが、将来的には他の国にも拡大される予定です。

Googleは今のところ、Bardの利用料が発生するかについては言及していません。同社が無料でサービス(個人情報と引き換え、ただし、クラウド事業や有形の製品を除く)を提供してきた経緯を考えると、BardはGoogleの既存サービスに統合され、ユーザーはそのまま無料で使えるかもしれません。

Google Bard:その目的と機能

Googleは、この生成型AIの、プロンプトの処理、回答や要約などの文章のタスクの実行、多様なコンテンツの生成の高性能化を目指しています。Bardはまた、インターネット上の情報を要約し、コンテンツが豊富なウェブサイトにつながるリンクを提供するなど、効率的なトピック探索もできます。

Googleは2023年4月、Bardが20以上のプログラミング言語でコードの記述、デバッグ、説明ができるようになったと発表しました。ただし、Bardはまだ未完成なため、今後さらに改善され、新しい機能が追加されるとみられます。

Google Bardの仕組みは?

Bardは、LaMDAの「軽量」版を搭載しています。これは、膨大な量のデータセットを元にトレーニングが施されるGPTに似たLLMです。

Googleは、LaMDAのトレーニングにおいて、以下の2つの重要ポイントがスムーズに進むように配慮しました:

  • 情報の正確性: LaMDAは、インターネットの情報検索による外部の知識ソースを統合して、事実の正確性を維持する。
  • 安全性: LaMDAは、クラウドワーカーが注釈したデータを用いて機能を改良し、安全性を確保する。

Googleの調査レポート「LaMDA: Language Models for Dialog Applications」によると、同社はLaMDAの出力を評価するため以下の3つの指標を導入しています:

  • Sensibleness (感性): 与えられた答えが論理的であるか、賢明であるかを評価する。
  • 特異性(Specificity): ある答えが文脈に即しているか、一般的すぎるかを判断する。
  • 面白さ(Interestingness): LaMDAの回答が洞察に富んでいるか、好奇心をそそるものかを評価する。

これら3つの指標について、クラウドソーシングの評価者が判定を行いました。そして最後に、Googleはフィードバックをもとに、LaMDAの性能を見直しました。LaMDAに関する調査レポートでは、クラウドソーシングによる評価と、検索エンジンと事実関係を照合する機能が、開発において特筆すべき技術的要素だったと記しています。

Google Bardと検索エンジンの違い

Bardは、従来の検索エンジンのようにリンクアドレスを提供するのではなく、ユーザーがより深く知識を探求し、発見できるサポートを目指しています。

Googleは、多くの人がプロンプトに対する事実に基づいた答えをGoogleに期待しているという点を重視しました。例えば、「標準的なピアノの鍵盤は何個あるのか」といった客観的な事実を知ることなどです。

しかし、同社はより深い洞察と理解を求めるユーザーが増加傾向にあるとも指摘しています。例えば、「ピアノとギターはどちらが習得しやすいか?」「それぞれどのくらい練習が必要か?」といった質問です。

このような質問項目においては、確かな情報を見極めるためにかなりの労力を要します。ユーザーは、一般的に多様な意見や見解を求めていますが、Googleによれば、この領域でBardは大きな差別化ができるとのことです。

Googleの他のAI開発への取り組み

Googleは、Microsoftが支援しているOpenAIと似たAIスタートアップ企業Anthropicに、数億ドルにおよぶ多額の資金を投入しました。

GoogleはAnthropicとBard以外にも、AI戦略における他の方法も追求しています。Bardを発表した2月のAIイベントでは、AIツールのGoogleマップへの統合も明らかにしました。

Googleはさらに、DocsとGmail向けの生成AIを大幅に強化すると発表しましたが、これは最近Microsoftの365 Copilotに導入された機能に似ています。また、既存の音楽制作AI「MusicLM」を補完する1,000言語を扱えるAI翻訳も公表しました。

加えて、Googleは、Google Searchに代わる可能性のある高機能AI検索エンジン「Magi」を開発中という報告もあります。Magiは、Google Searchと比べて、よりパーソナルな会話に近いエクスペリエンスの提供が期待されています。ただし、Searchの広告付きモデルがなくなることはないとみられます。「Project Magi」に関する詳細な情報は、Google i/O 2023(Google年次開発者会議、5月10日開催予定)で明らかにされるかもしれません。

GoogleのAIチャットボットをめぐる競争への意欲

「Google Bard」の登場により、AIチャットボットを取り巻く環境はこれまでとは違った進展が見られます。特に興味を引く点は、Googleが、当初の挫折を乗り越え、意欲的にBardの開発を進めていることです。

GoogleのAIへの多大な投資-Anthropicへの支援、Magiのような他のAIツールやプロジェクトの開発など-は、AIアプリケーションの開発でトップを目指す同社の意気込みを表わしています。Googleは現時点では、他社を追う形ですが、テック業界の他の大手企業との間ですでに激しい競争を展開しています。私たちの社会には、近い将来、LLMモデルや人工知能全般におけるさらなる進化が確実に広がっていくと思われます。

よくある質問

Bardの所有者は誰ですか?

Google BardはChatGPTより優れているのでしょうか?

Google BardのAIは無料で使用できますか?

Google Bardとは何ですか?

ベスト暗号資産取引所

Trusted

Follow us on:

X(Twitter):@BeInCryptoJapan
Telegramチャンネル:@BeInCrypto Japan オフィシャルチャンネル

免責事項 - Disclaimers

当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報をもとに読者が取る行動は、あくまでも読者自身のリスクで行うものとします。「Learn」サイトでは、質の高い情報を提供することを第一に考えています。私たちは、読者にとって有益な教育的コンテンツを特定し、調査し、作成するために時間をかけています。この基準を維持し、素晴らしいコンテンツを作成し続けるために、私たちのパートナーは、私たちの記事への掲載に対して手数料を支払う場合があります。しかし、これらのコミッションは、偏りのない、誠実で有益なコンテンツを作成するためであり、私たちの活動プロセスに影響を与えることはありません。

Takashi-HIgashi-new.jpg
Takashi Higashi
国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。
READ FULL BIO
スポンサー
スポンサー