ビットコイン(BTC)などの暗号資産に定期的に積み立てていく「ドルコスト平均法(DCA)」は、初心者にも始めやすい投資手法として注目されています。ただ、ネット上では「積立なんてやめとけ!」という否定的な声も多く、「本当にビットコインを積み立てて大丈夫なの?」と不安に感じる人もいるでしょう。
本稿では、なぜ「ビットコインの積立はやめとけ」と言われるのか、その理由やよくある失敗例、国内取引所の比較からDeFiを使った方法まで、初心者向けに徹底的に解説します。
ビットコイン積立投資(DCA)とは何か?
まず前提として、ビットコイン積立投資とは何か簡単に押さえておきましょう。積立投資はドルコスト平均法とも呼ばれ、一定額を定期的に投資する方法です。例えば毎月1万円ずつビットコインを購入すると、価格が高いときには少ししか買えず、安いときには多く買えるため、価格変動リスクを分散させることが狙いです。初心者でも一度設定すれば自動的に買い付けが行われるため、タイミングを気にする必要がないという利点もあります。一方で、短期的には一括投資より利益が小さくなる可能性があるほか、取引回数が増える分だけ手数料がかさむデメリットも指摘されています。こうしたメリット・デメリットを踏まえつつ、次章以降で「やめとけ」と言われる具体的な理由を見ていきましょう。
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「ビットコインの積立はやめとけ」と言われる主な理由と背景

ビットコイン積立投資が敬遠され「やめとけ」と言われる背景には、主に以下のような懸念点があります。
- 価格変動リスクが大きい(値下がりすれば積立でも損失を被る)
- 積立による手数料コスト(繰り返し取引でコスト増になる可能性)
- 短期では成果が出にくい時間軸の問題(長期投資前提で、すぐ利益が出ない)
- 税制・規制上の不利(税金が高く制度的なハードルがある)
- ハッキングなどセキュリティリスク(取引所に預けっぱなしの危険)
1. 価格変動リスクの現実
ビットコインをはじめとする暗号資産は価格変動(ボラティリティ)が極めて激しく、積立投資でもこの影響を避けることはできません。例えば、2022年には世界的な金融引き締めや関連企業の破綻で、ビットコインの価格が年間約60%下落し、市場全体で約1.4兆ドルの時価総額が失われる事態となりました。このように短期間での急騰・急落は珍しくなく、積立投資であっても元本割れのリスクがあります。
ただし、長期的な視点で見るとビットコインの価格は上下動を繰り返しつつも徐々に上昇傾向にあります。例えば、2017年末の最高値約200万円から一時30万円台まで下落しましたが、2021年には700万円を超える水準まで上昇しました。短期的な価格変動への理解なしに投資を始めると、予想外の損失に悩むことになりかねません。
2. 積立投資の手数料コスト
積立投資では取引回数が多くなるため、手数料の負担が重くなることがあります。国内の暗号資産取引所では、以下のような手数料体系が一般的です。
取引所名 | 購入方式 | 手数料の特徴 |
---|---|---|
コインチェック・GMOコイン | 販売所 | 手数料無料だがスプレッドが数%あるため、実質的なコストが高くなる可能性 |
ビットフライヤー・SBI VCトレード | 取引所 | 市場価格に近い低コストで取引可能、オーダーブック形式 |
また、銀行口座からの振替や入金手数料も無視できません。毎月数千円程度の少額積立では手数料割合が高くなり、非効率になる可能性があります。積立投資を始める際は、手数料コストを最小限に抑える工夫が必要です。
3. 短期では成果が出にくい
ドルコスト平均法(DCA)は短期的なリターンが控えめになる傾向があります。価格が急激に上昇する相場では一括投資に比べ利益が小さく、逆に価格が下落する相場では多くの資産を安く取得できるという特徴があります。
つまり、積立投資は短期間で大きな利益を狙う手法ではなく、数年単位での長期継続が前提です。短期で結果を求めたり、途中で投資を止めたりすると、DCAのメリットを活かしきれません。「数ヶ月でやめてしまった」「上昇前に売ってしまった」などのケースも多く、長期的な視野と忍耐力が求められます。
4. 日本の税制・規制上のハードル
日本では暗号資産の利益が雑所得扱いとなり、最大55%の高額な累進課税が課されます。株式投資(約20%)よりはるかに税負担が重いため、せっかく利益が出ても税金で大きく目減りしてしまいます。
また、日本特有の「含み益課税」があり、暗号資産同士の交換時点で課税対象となります。過去には、暴落後に高額な納税義務だけが残るトラブルも起きており、初心者には複雑でリスクの高い税制となっています。
規制面でも、日本居住者は金融庁に登録された国内取引所しか合法的に利用できません。海外取引所は規制対象となっており、未登録業者のアプリがアプリストアから削除された事例もあります。
国際的にはビットコインETF導入が進んでいますが、日本は金融庁がETF承認に慎重で、制度面で遅れています。2026年以降の制度改善は検討されていますが、現状の税制・規制リスクを考えると、初心者が積立投資を始めるにはリスクが大きすぎるのです。
5. ハッキング・詐欺などセキュリティ上のリスク
積立投資では長期間取引所に資産を預けることになるため、セキュリティリスクは無視できません。過去には国内外で大規模なハッキング事件があり、2014年にはMt.Gox事件で約85万BTCが消失(約340億円相当)、2018年にはコインチェックで約580億円相当のNEMが流出しました。
さらに、取引所の経営破綻や詐欺被害もリスク要因です。海外では2022年に大手FTXが破綻し、顧客資産が引き出せなくなる事態が起きています。セキュリティ対策としては、信頼できる取引所を選ぶこと、ハードウェアウォレットでの自己保管、二段階認証やパスワード管理の徹底、詐欺情報への警戒が必要です。セキュリティリスクを理解し、十分な対策を講じることが重要です。
ビットコインの積立で失敗する理由とその教訓

ビットコイン積立を行う初心者が高確率で直面しやすいリスクと失敗のパターンを紹介します。具体的な事例を踏まえ、それぞれのリスクと教訓を学びましょう。
①ニュースに踊らされて高値掴みをする可能性
ビットコインが連日のニュースで急騰を報じられると、初心者が焦って一括投資を行い、高値掴みをしてしまうリスクが非常に高まります。その後の価格暴落によって、大きな損失を被る可能性があります。
- 教訓: 市場が熱狂しているときこそ冷静に。ニュースに惑わされず計画的な積立を続けることが大切です。
②暴落に動揺して積立を中止してしまう可能性
市場が急落した際にパニックになり、積立を中止してしまう初心者が多くいます。これにより価格が回復した後の低価格で購入するチャンスを逃してしまう可能性があります。
- 教訓: 下落相場こそが積立のメリットが最大化される機会です。一時的な価格下落に動揺せず、長期的視点で積立を継続しましょう。
③税金を軽視して多額の納税義務を負う可能性
暗号資産同士の交換取引で発生した利益についての課税を認識せず、後に多額の納税義務を負うリスクがあります。特に市場の暴落後に利益がなくなったとしても、課税義務だけは残る可能性があるため注意が必要です。
- 教訓: 暗号資産取引の税務ルールを十分理解し、利益が出た場合には確実に申告と税金の準備を行いましょう。
④セキュリティ対策不足で資産消失する可能性
安易なパスワード設定やセキュリティ意識の低さから、ハッキングやフィッシング詐欺などで資産を失うリスクがあります。
教訓: セキュリティは自己責任であることを認識し、必ず二段階認証を導入し、パスワードの管理を厳重に行いましょう。弱点(欲望・恐怖)に振り回されず、冷静な知識と心構えを持って積立投資を成功させましょう。
以上のようなリスクを十分に理解し、心理的な弱点に振り回されないよう冷静かつ堅実に積立投資を進めることが重要です。
関連記事:暗号資産(仮想通貨)の初心者が知っておくべき7つのこと
ビットコイン積立は本当にやめた方がいいのか?|様々な例を解説

具体的に、過去のデータを見ると、ビットコインの価格は大きく上下を繰り返しながらも、その仕組みから長期的には右肩上がりの傾向があります。2017年から現在まで、月に1万円ずつ積み立てた場合、投資額は総額108万円になりますが、2025年4月現在の評価額は約820万円になっています。この事実は、「ビットコイン積立はやめとけ」という意見に反しており、長期間継続して積み立てを行うことのメリットを明確に示しています。
国内のビットコイン積立の例
- トムイ
トムイ氏は2019年1月から2025年4月まで約5年間、毎月40万円をドルコスト平均法(DCA)で積立投資しました。総投資額は2,000万円で、2025年時点で評価額は1億1,430万円となり、利益は9,430万円でした。
- XM
XM氏は2021年5月から2025年4月まで4年間、毎月約10万円ずつDCAを継続し、合計約1,700万円を投資しました。2025年時点で評価額は約3,600万円、含み益は約1,900万円に達しています。
国内のビットコイン積立の例
- ビーティーシーアーカイブ(BTC Archive)
BTC Archive氏は匿名のアカウントが約7年10ヶ月間、毎日30ドルずつ積立投資を実践し、総投資額は86,370ドルとなった事を報告。その結果、2025年時点で評価額は100万ドルに達し、元本の約11.6倍になりました。
- Documenting Bitcoin氏は、2021年3月27日に投稿したツイートで、過去6年間に毎日3ドルをビットコインに投資していた場合、2021年時点での評価額は35万ドルに達していたと述べています。このシミュレーションは、日常的な支出を投資に回すことで得られる可能性のあるリターンを示しています。
このようにビットコインを少額でもいいので積み立てていく事でこれまでの傾向からも長期的な利益が見込めると予測されています。
日本国内取引所の比較(安全性・手数料・積立対応)

ビットコイン積立を始める際は取引所選びが重要です。以下に代表的な国内取引所の特徴を比較します。
取引所 | 安全性・信頼性 | 手数料(現物取引) | 積立サービス |
---|---|---|---|
bitFlyer | 国内最大手。金融庁登録済み。大規模な事故なし | 板取引:0.01%~0.15%、販売所:スプレッド小~中 | 最低1円~毎日・週・月。銘柄最多(37種) |
Coincheck | マネックス傘下。2018年事件後に経営刷新済み | 販売所:スプレッド大、取引所:一部通貨0~0.1% | 最低1万円/月~毎日or月。17銘柄 |
GMOコイン | GMOグループで信頼性高。セキュリティ重視 | 販売所:スプレッド中、取引所:一部手数料0% | 最低500円~毎日or月。21銘柄 |
SBI VCトレード | SBIグループ運営。セキュリティ・AML強化 | 販売所:スプレッド中、取引所:0.01%~0.1% | 最低500円~毎日・週・月。15銘柄 |
BITPOINT | 上場企業子会社。2019年事故後改善策実施 | 販売所:スプレッド大、取引所:手数料無料 | 最低500円/月~月1回。29銘柄 |
取引所選びのポイント
- 少額で試したい人:bitFlyer(最低1円から自由度高く積立可能)
- 使いやすさを重視する人:Coincheck(銀行口座から自動引落可能で手軽)
- 手数料を抑えたい人:GMOコイン・SBI VCトレード(板取引対応で低コスト)
- 多様なアルトコインに興味がある人:bitFlyer・BITPOINT(取り扱い銘柄が豊富)
各取引所は金融庁登録済みで信頼性は一定以上担保されていますが、手数料やサービス内容は異なります。目的や重視するポイントに合わせて選びましょう。
国内取引所の安全性について
国内取引所は金融庁の厳しい監督下にあり、顧客資産の信託保全や分別管理が義務化されています。ただし、過去にハッキング被害があった取引所もあるため、セキュリティ対策の徹底や自身のリスク管理も必要です。
関連記事:暗号資産取引所の選び方とおすすめランキング7選(国内編)
毎月いくら積み立てる?金額・頻度の目安とシミュレーション

実際にビットコイン積立を始める際、毎月どれくらいの金額・頻度が適切か、現実的な目安とシミュレーションを紹介します。
積立金額の目安
積立額は可処分所得の5~10%以内を推奨します。例えば、月収30万円の場合、積立は約1万5千円が目安です。初めは少額で慣れ、余裕が出れば徐々に増額するのが安全です。
- 全体の投資額(月5万円等)が決まっているなら、暗号資産への配分は1~2万円程度がおすすめ。
- 初めから無理して高額を積立すると、不安感が増すため控えましょう。
積立頻度の選び方(毎日 vs 毎月)
毎日積立と毎月積立の大きな差はありませんが、頻度を増やすと手数料がかさむ可能性もあります。
- 迷う場合は月1回から始め、慣れてきたら頻度を増やす方法もあります。
- bitFlyerでは月2回(1日と15日)の積立も可能です。
DCA vs 一括投資の比較シミュレーション
以下は2022年(年間約60%の下落)のシミュレーションです。
投資戦略 | 投資期間 | 投資額合計 | 最終評価額 | 損益 |
---|---|---|---|---|
毎月1万円積立(DCA) | 2022年1月~12月 | 12万円 | 約7.5万円 | -4.5万円(約37%減) |
12万円一括投資 | 2022年1月初旬 | 12万円 | 約4.3万円 | -7.7万円(約64%減) |
下落局面では積立が損失を抑えますが、上昇局面では一括投資が有利になる可能性もあります。
利益確定(売却)のタイミングと出口戦略
長期的に積立を続ける場合、利益確定の計画が重要です。
- 具体的な目標(価格や期間)を決め、出口戦略を設定しましょう。
- 税金面を考え年度ごとに分割利確すると税負担が軽減されます。
利益確定ができて初めて投資は完結します。出口戦略も必ず準備しておきましょう。
関連記事:ビットコイン積立投資はおすすめなのか?メリット・デメリットを解説
まとめ:適切にビットコイン積み立てを行えば問題ない

ビットコインの積立投資にまつわるよくある不安を整理し、初心者でも失敗を避けられる具体的な対策を解説しました。積立投資を成功させるには、市場の浮き沈みに振り回されず、長期的視点で着実に続けていくことが大切です。今後は半減期やETF承認など、市場を後押しする材料も控えています。小さな投資額からスタートし、市況や自身のリスク耐性を冷静に見極めながら、安定した資産形成につなげていきましょう。
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