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Goldfinchプロトコルとは?初心者のための解説

19 mins

「本物の企業による真の利回り!」  これは分散型レンディングプラットフォーム-Goldfinch Financeのスローガンです。同社は、DeFi(分散型金融)をシンプルで身近なものにするという大きな目標を掲げています。それは、金融機関が従来のように仲介業者を介さずに暗号資産を直接貸し借りできることをグローバル展開しようとする壮大な取り組みです。

Goldfinchの特徴は、暗号資産を貸し出して高利回りが得られ、暗号資産を担保としない借り入れができることです。ではGoldfinchは他社のDeFiプロトコルといったい何が違うのでしょうか?この記事では、Goldfinchのプロトコル、その仕組み、そしてそれがDeFi世界を大きく変える可能性があることについて、詳しく説明します。

Goldfinchプロトコルとは?

仮に、暗号資産のユーザーで、金銭的な富裕を求めている方がいるとします。本人は新しいプロジェクトを立ち上げたいと考えているかもしれません。その場合、理由はどうであれ、DeFiローンは有望な選択肢のように思われます。

大半のDeFiプラットフォームは、ローンを組む際に暗号資産の過剰な担保を求めています。それは、借り手が債務不履行に陥った場合、プラットフォームが借り手の担保を差し押さえて融資額を回収するためです。

しかし、そこには問題があります。暗号資産を使ったローンを受けようとする場合、担保として預ける暗号資産を十分に持っていない場合が多いでしょう。ここに、DeFiレンディング市場で多くのローン希望者が直面する課題があります。

また、担保となる十分な暗号資産があり、ローンを組んでも、プロセス特有のリスクが伴います。暗号資産は極端な価格変動があるため、大きな損失を被る可能性があり、Goldfinchのプロトコルはまさにそこに着目しています。

担保の扱いにおけるGoldfinchの対応

Goldfinch Financeは、2020年7月、元コインベース社員のマイク・ソール氏とブレイク・ウェスト氏により設立された、イーサリアムブロックチェーン上に構築された分散型レンディングプラットフォームです。CrunchBaseによると、同社はこれまでに23人の投資家から3,700万ドル以上の資金を調達しています。

Goldfinchプロトコルは、スマートコントラクトを活用し、レンディングプロセスにおける中央集権的な仲介業者を排除しています。これにより、ユーザーは高い透明性、自動化による費用対効果の高い貸暗号資産サービスが受けられます。

Goldfinchは、世界中の企業に対し、手頃な価格で利用しやすいレンディングサービスの拡大を目指しています。

では、Goldfinchは、市場にある数々のDeFiプロトコルの中で、何が際立っているのでしょうか?大きく違う点は、同社独自の信用モデルです。これは、基本的に借り手の信用度を過去の行動に基づいて評価する信用スコアリング・システム-「コンセンサスによる信頼」と呼ばれるものです。

プラットフォームでは、セーフティネットとして担保が求められます。しかし、ローンの担保として暗号資産のみに頼る他のDeFiレンディングプラットフォームとは異なり、Glodfinchプロトコルではオフチェーンの資産や収入を用いたローンの完全担保化ができるのです。これは、世界中の借り手にとってほぼゲームチェンジャーになり得るもので、プロジェクトの支援者が、一般にDeFiレンディングを普及させる要としてプロトコルを宣伝しているのも納得できるものです。

Goldfinchプロトコルの仕組み

Goldfinchの手法の説明にあたり、Goldfinchのエコシステムにおける主要プレーヤーを以下に列挙します。

主要プレーヤー

Goldfinchプロトコルは、多様なキャストを持つエコシステムで成り立っており、それぞれ運営上重要な役割を担っています。

まず、プラットフォームは、投資家から提供されたステーブルコイン(USDCなど)の資金を使って、適格な借り手に貸し出します:

  • バッカ―(Backers:貸し手): バッカーは、個々の借り手プール(Borrower Pools)を分析・評価した上で、自身のファーストロス資本(first-loss capital)を提供します。これは、プロトコルの最も大きな利回りが得られる手法(ハイリスク、ハイリターン)となります。
  • 流動性提供者(Liquidity providers): 流動性提供者は、セカンドロス資本(second-loss capital)をシニアプール(Senior Pool:借り手プールに自動計算で資本を配分する仕組み)に拠出します。シニアプールは、バッカーの評価と査定に基づいて、資金を様々な借り手プールに配分します。こうした方法により、多様性と流動性が確保され、プロトコルと参加者双方が利益を得られます。

次に、借り手(Borrowersは、ネットワーク評価用の借り手プールを提案して、Goldfinchに資金提供を求めます。このプールには、金利や返済スケジュールなど、ローン条件に関する重要な情報が含まれています。借り手は、エコシステムを活性化させ、他のプレイヤーの参加を促すため、Goldfinchのプロトコルに欠かせない要素です。

監査人(Auditors)は、不正な行為が行われないように、すべてをチェックする参加者です。監査人は借り手を承認するための投票を行います。これは、借り手がバッカーにプール(借り入れ)を提案する前の重要なステップとなります。監査人はプロトコルでランダムに選出され、監査人が不正行為を発見した場合は相応の報酬が得られます。

最後にメンバー(Members)について説明します。メンバーは、Goldfinchのメンバーシップボールト(Membership Vault)に資本とGFI(Goldfinchプロトコルのネイティブトークン)を提供して参加を決めた投資家です。メンバーは、ネットワークの成長とセキュリティをサポートし、活動に応じてメンバー報酬を受け取ります。

「コンセンサスによる信頼」

Goldfinchは、「コンセンサスによる信頼」と呼ばれる手段を用いて、シニアプールからの資金を評価し、配分しています。シニアプールは、コンセンサスに基づき、個々の借り手プールに(バッカーからの)資金を配分するスマートコントラクトです。

つまり、プロトコルでは、バッカーや監査人に任せず、様々な参加者のコンセンサスや行動に従った決定がなされます。借り手プールに資本を提供するバッカーの数が多くなるほど、シニアプールのレバレッジ(自動的な資本配分)比率が高くなるという仕組みがその例です。

Goldfinchプロトコルの借り手と投資家をつなぐ仕組み

一連のプロセスは以下のようになります: 借り手(現在はオフチェーンレンディング事業者)は、借り手プールと呼ばれるクレジットラインの取引条件をまとめた提案書を提出します。

提案書が承認されると、投資家には要求された資本を提供する2つの方法があります。一つは、投資家がバッカーの役割を担い、プールに直接資本を提供します。もう一つの方法は、投資家が流動性提供者の役割を担い(シニアプール経由)、 Goldfinchプロトコルを通じて資本を自動配分します。

プールの準備が整えば、借り手はそこからUSDCやその他の互換性のあるステーブルコインの引き落としがスタートできます。その後、ビジネスニーズに応じてUSDCをフィアット(法定通貨)に交換できます。

Goldfinchは、2023年4月時点で、1億ドル以上のアクティブローンを提供しています。Messariのデータでは、本記事執筆時点で30日間のプロトコルの収益は11万5,000ドルを超え、総収益は約180万ドルとなっています。

端的に言えば、Goldfinchプロトコルは、借り手と投資家双方のWin-Winを目指し、グローバル資本のアクセスを促しつつ、効率的かつ効果的なローカルローンを実現しているのです。

Goldfinchトークン: GFIとFIDU

Goldfinchプロトコルには、GFIFIDUという2つのネイティブERC20トークンがあります。ローンと投資用のステーブルコインもサポートしています。2023年4月時点で、プロトコルはUSDCのみをサポートしていますが、将来的には他のステーブルコインへもサポートを拡大していくとみられます。

GFIは、Goldfinchのエコシステムで重要な役割を果たしており、監査人のステーキング、投票、投票報酬、プロトコルのインセンティブ、コミュニティの助成金などのガバナンストークンとして使用されています。また、GFIトークンをメンバーボールト(Member Vault)に預け、プロトコルの成長に貢献すればメンバー報酬(Member Rewards)が得られます。

FIDUは、流動性提供者(Liquidity Provider)がシニアプールに預ける資本に相当します。基本的に、シニアプールに資本を追加すると、見返りとしてFIDUを受け取り、その後Goldfinch DAppを使用してUSDCと交換できます。FIDUからUSDCへの交換レートは、シニアプールの総資産額に基づいて決まります。

Goldfinchは、GFIトークンの当初の供給量を1億1400万トークン強に抑えています。現時点では(トークンの)インフレはみられませんが、発売から約3年後に一定規模のインフレを取り入れれば、プロトコルのあり方として良いのかもしれないと同社は語っています。またインフレを導入するかどうかは、コミュニティと十分に議論した上で決定するとしています。

GFIトークンの配分状況は以下の通りです:

  • 初期/今後の担当チーム:28.4%  
  • アーリーサポーター:21.6%  
  • 流動性提供者:16.2% 
  • トレジャリー(Treasury):14.8% 
  • バッカー:8.0% 
  • ウォーバーラボ(Warber Labs):4.4% 
  • 監査人:3% 
  • 借り手:3% 
  • 貢献者:0.7%

GoldfinchプロトコルはDeFiレンディングに変革を起こせるか?

現在、新しく誕生している暗号資産プロジェクトは、すべて「革新的」と謳うことがよくありますが、Goldfinchプロトコルはその中でも際立っています。Goldfinchは、企業へのサービス提供というユニークな視点と、レンディングにかかる革新的なアプローチにより、DeFiレンディングをよりシンプルで身近なものにしています。もちろん、Goldfinchのレンディングの安全対策には十分な配慮が必要です。しかし、参加者全員がそれぞれの役割を果たし、規制を遵守することで、DeFiエコシステムへの貢献が期待されています。

よくある質問

Goldfinchプロトコルとは何ですか?

Goldfinchプロトコルの創設者は誰ですか?

Goldfinchはどのようなブロックチェーン上に構築されているのでしょうか?

Goldfinchは分散型ですか?

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Takashi Higashi
国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。
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