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プレイ・トゥ・アーン(P2E)ゲームに税金はかかるか?

19 mins

ブロックチェーン・ゲームは、やり始めると誰でもすぐ夢中になってしまい、時が経つのを忘れてしまいます。しかし、その傍らでいつも後回しにしまいがちがなことがあります。それは「ところでこれは、税金がかかるの?」という問いです。プレイ・トゥ・アーン(P2E:遊んで稼ごう)は、Axie Infinity、Sandbox、Illuviumなどの暗号資産やWeb3ゲームプラットフォームで人気となっています。これらのブロックチェーンベースのエコシステムの高まりは、2021年末のメタバースの台頭でその頂点に達しました。

P2Eは、ゲーマーのための新しい所有権モデルを備え、ゲーム内アイテムの新しい保管方法を打ち出しました。ブロックチェーン技術の不変性により、プレイヤー間(また異なるゲーム間)アイテムのシームレスな移動を容易にしています。また、P2Eでは、プレイヤーはゲーム内でネイティブトークンや他のデジタル資産のかたちで報酬が得られます。ところで、自らのゲームの腕前でつかんだものを税務書に申告する必要があるのでしょうか?P2Eゲーマーとして、また納税者としての義務はどうなるのでしょうか。以下に、順を追って説明します。

エンゲージ・トゥ・アーン:新たなフロンティア

暗号資産の税金の計算と申告は複雑で、Web3ゲームを含めるとさらに面倒です。暗号資産ベースのゲームをプレイしたことがある人は、その取引の一部(またはすべて)が実際に課税対象であることに気づいていないかもしれません。

プレイ・トゥ・アーン(Play-to-Earn)は、暗号資産世界に広く行き渡る「エンゲージ・トゥ・アーン(Engage to Earn:投稿やコメントだけで暗号資産が稼げる方法)」ニッチビジネスのサブセットですが、後者には以下に示す多くのプログラムやプラットフォームがあります: 

  • LooksRare、Blur、Optimism、Uniswapなどのプラットフォームでのエアドロップ
  • バイナンスやコインベースなどの取引所からの紹介報酬 
  • 「Coinbase Learn」などの「Learn」 や「 Earn」キャンペーン
  • Lolliなどのプラグインやエクステンションで稼ぐショップ

暗号資産やWeb3の世界の初心者にとって、ゲームやプラットフォームの利用で金銭を稼ぐというのは、あまりに話がうますぎると思えるかもしれません。しかし、これらのプラットフォームにとっては、誠実なユーザーを生み出し、献身的なコミュニティを育成する素晴らしい手法なのです。

暗号資産とWeb3ゲームはまだ黎明期にありますが、1つだけ確かなことは、暗号資産のトランザクションは課税対象であるということです。これには、プレイ・ トゥ・ アーンで受け取ったすべてのデジタル資産が含まれます。

前年の会計年度にゲーム内NFTやトークンを受け取った人は、税金申告期間に暗号資産ウォレットが課税対象になる可能性があります。

税務当局は何を調べているのか?

世界中の税務当局が、これまで以上に暗号資産に真剣に対処しています。米国のIRS、オーストラリアのATO、カナダのCRA、英国のHMRCに至るまで、過去数カ月から数年の間にわたりブロックチェーンと暗号資産の動きに注目を高めています。特に2022年後半のFTXの破綻のあおりを受けていっそう顕著になってきています。

プレイ・トゥ・アーンは課税対象となるか?

読者が暗号資産投資家である場合、前年の会計年度内で得た所得を税務申告書に記載して報告する義務があります。これには暗号資産による収益も含まれます。暗号資産がどのように課税されるかは、居住国によって異なります。しかし、管轄地域を問わず共通している点は、暗号資産は何らかの形で課税されるということです。

プレイ・トゥ・アーンのエコシステムとプラットフォームを利用している人の多くは、すべてのトランザクションが課税対象になる可能性を理解していないかもしれません。課税対象となるのは、通常、暗号資産同士の交換が税金処分(tax disposal)にあたるからです。例えば、ERC1155NFTをゲーム内トークンと交換した後、これをETHと交換すると、2つの別々の課税対象が発生します。

また、暗号資産とブロックチェーン技術は基本的に追跡可能であることを忘れてはいけません。これにより、税務当局はユーザーのトランザクションや取引履歴に関する情報を集約できます。さらに、税務当局は包括的データマッチングプログラムを国内外の暗号資産取引所と共有しています。

税務当局は、取引所から大量のデータポイントを提供され、所得申告に異常がないかどうかを調べます。さらに、銀行やその他の金融機関から既に得ている情報と、暗号資産取引所やオンチェーントランザクションからの情報を比較します。

税務当局は資金の流れも追跡します。イーサリアム上のプレイ・トゥ・アーンのような単純なトランザクションでは、Web3ゲーム内でトランザクション処理されるデジタル資産も簡単に確認できます。これら資産のトークンは、最終的に取引所で法定通貨と交換されます。

従来の金融業界と暗号資産世界の間の資金のやりとり(onramps and offramps)は、規制当局と税務当局にとってはきわめて重要です。ちなみに、KYC(本人確認)とAML(Anti-Money Laundering:マネー・ローンダリング防止対策)は、投資家による暗号資産の「現金化」が簡単にできるよう規定しています。

どのような税務報告が実際に必要なのか

前述の通り、税務当局は暗号資産取引所、金融機関、銀行など、様々なソースから情報を入手できます。また暗号資産トランザクションがどこから「現実の」金融システムに還流するのかも、追跡できるのです。

前年の会計年度に受け取ったトークンは、キャピタルゲインや損失と同様に課税対象になります。要するに、デジタル資産に関わる活動(プレイ・トゥ・アーンを含む)から得られるすべての「所得」が該当します。ところで、何が所得に当たるでしょうか?

この点については、必ず会計士と相談することが大切です。しかしその前に、自分が使っているプラットフォームやプロトコルが実際にどのように動いているかを理解しておくとよいでしょう。

当該会計年度の「所得」とみなされる例は下記の通りです:

  • 報酬のステーク(LidoやRocketPoolのプロトコルやコインベースやクラーケンなどの取引所を介したイーサリアムのステークなど)
  • 暗号資産で受け取った給与や支払い
  • ハードフォークで受け取ったデジタル資産(ビットコインのビットコインキャッシュ、イーサリアムのイーサリアムクラシックなど)

その他、エアドロップのようなイベントは、居住地域の税務当局によって扱いが大きく異なります。例えば、米国のIRSは、エアドロップから得られる収益は、受け取った日の適正市場価格を基準とした所得として課税されると明確にしています。これに対し、オーストラリアのATOの見解は、エアドロップは受け取った時点のコスト基準はゼロで、売却時にのみキャピタルゲイン税(CGT)が課されるというものです。

米国の納税者は、プラットフォームを通じて得た600ドル以上の所得は、1099-MISCフォームに記載してIRSに報告しなければなりません。コインベースやクラーケンなどの取引所では、通常同フォームを発行していますが、プレイ・トゥ・アーンのプラットフォームでは、ゲーマーの出身地がどこであろうと、発行されることはまずありません。

このように、プレイ・トゥ・アーンのトランザクションについては、実際に課税対象になりうるものを理解し、申告時に適切な報告を行なうことが重要です。

プレイ・トゥ・アーン・プラットフォームが役に立つことは?

プレイ・トゥ・アーン・プラットフォームは、記録保管用のフォームや書類は発行しません。しかし、節税を手助けするために、興味深い方法で対応しているところもあります。

例えば、複数のプレイ・トゥ・アーン・プロジェクトでは、NFTや暗号資産トークンが移転可能になる「数日前」に、それらの「請求」を認めるようになりました。エアドロップとは異なるこうしたわずかな調整により、対象となるウォレットは、トークンがアンロックされて取引可能になる動きを一時的に中断して、ゲームやプロトコルの使用によってデジタル資産を請求できるようになりました。

またカードベースのWeb3ゲーム、Parallelでは、先日、ウォレットがPRIMEトークンの取引開始数週間前に同トークンを請求できるようになりました。これは、つまり、トークンが請求されたときにはその市場価値がないため、課税対象にはならないということです。

このわずかな仕組みの調整により、対象となるウォレットへのエアドロップというこれまでの業界スタンダードに代わって、トークン請求に新しい波が巻き起こるかもしれません。

2023年のプレイ・トゥ・アーンと税金: 現実は進化していく

プレイ・トゥ・アーンの世界は、まだほんの初期段階にあります。しかし、暗号資産やWeb3分野で他ではできないような革新と限界への挑戦を続けています。すなわち、状況は進化しているのです。しかし、Web3ゲームと所得報告に関しては、すでにいくつか明確な必要事項が設けられています。ゲームは、世界的に見ても最大のエンターテイメント分野の一つであり、今後10年以上にわたって大きな成長が続くとみられます。プレイ・トゥ・アーンとWeb3ゲームは、今後も、暗号資産世界に多くの人々を引きつけると思われます。

最後に、私たちの社会にプレイ・トゥ・アーンが深く関わり、その普及が浸透していく中で、居住地域の税金や税務当局に係る最新の規則や規制を常にチェックしておくことが大切です。

よくある質問

プレイ・トゥ・アーン(P2E)とは?

税務当局は何を調べているのか?

税務当局は個人の暗号資産を閲覧できるか?

暗号資産の何を税金として報告する必要があるのか?

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Takashi Higashi
国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。
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