トラスティッド

ビットコイン、イーサリアムの次は「SUI」?次世代仮想通貨が注目される3つの理由

26分
投稿者 Shota Oba
編集 Shota Oba

ヘッドライン

  • Suiは高速処理・低手数料・直感的な操作性を兼ね備えた次世代型ブロックチェーンとして注目されています
  • Meta出身の開発者が手がけたSuiは、Move言語と並列処理により高いスケーラビリティを実現しています
  • 従来の暗号資産では難しかった「誰でも使えるWeb3体験」を可能にする設計思想が評価されています

仮想通貨Sui(SUI)は、ビットコインやイーサリアムが抱える「処理速度の遅さ」や「手数料の高騰」といった課題を解決するために開発された、新世代のブロックチェーンプラットフォームです。Meta社(旧Facebook)のDiemプロジェクト出身エンジニアが立ち上げたMysten Labs社によって2023年5月にメインネットが公開され、高速処理性能や安定した低コスト運用で急速に注目を集めています。初心者にも使いやすく設計されているため、Web3時代を牽引する存在になる可能性を秘めています。

本稿では、次世代仮想通貨Suiが注目される3つの理由、活用方法、そして将来性まで初心者にもわかりやすく解説します。

仮想通貨Sui(スイ)とは?基本概要

Sui(スイ)は、Mysten Labs社が開発したレイヤー1のブロックチェーンで、そのネイティブ暗号資産が「SUIトークン」です。2023年5月にメインネットがローンチされた比較的新しいブロックチェーンで、ビットコインやイーサリアムなど従来のブロックチェーンが抱える処理速度の遅さや高額な手数料の問題を解決することを目的に開発されています。

開発チームには、旧Facebook(現Meta社)のDiemプロジェクト(旧Libra)に携わったエンジニアたちが多数参加しています。Mysten Labsは2021年に創業し、以来、複数の大手ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達を経て急速に成長してきました。

Suiは「デジタル資産を高速かつ低コストで、安全に、誰でも容易に所有できるようにする」ことをビジョンとして掲げた次世代型ブロックチェーンプラットフォームです。

SUIトークンの主な用途

SUIトークンは主に以下の目的で利用されています。

  • ネットワーク上で発生する手数料(ガス代)の支払い
  • ステーキングによるネットワークの維持・運営への参加

SUIトークン保有者は、トークンをステーキング(預け入れ)することで、ネットワークの合意形成(コンセンサス)に参加し、報酬を得ることができます。承認方式としてはDelegated Proof of Stake(DPoS)が採用されており、誰でもSUIトークンを検証者(バリデータ)に委任することで、ネットワーク運営に参加できる仕組みとなっています。

項目内容・スペック
発行上限100億枚(10,000,000,000枚)
コンセンサス方式Proof of Stake(DPoS)(委任型PoSで一般保有者もステーキング参加可能)
稼働開始時期2023年5月(メインネット稼働開始)
開発企業・チームMysten Labs社(Meta社元エンジニアのエヴァン・チェン氏ら5名が創設)
プログラミング言語Move(元々Meta社Diem向けに開発された言語を拡張)
特徴的な技術オブジェクト指向のデータモデル並列処理パーミッションレス設計
主な機能・用途スマートコントラクト(資産やNFTの発行管理)、高速な送金・決済、手数料支払い、ステーキング報酬、ガバナンス投票

次世代仮想通貨Suiが注目される3つの理由

スイ

Suiが「ビットコイン・イーサリアムに続く次世代暗号資産」として注目される背景には、大きく分けて次の3つの特徴があります。

  • 高速な取引処理性能
  • 低コストで安定した手数料
  • 初心者にも優しい使いやすさ

以下ではそれぞれの特徴を解説します。

1. 驚異的な高速処理性能 ── 並列実行でスケーラビリティを確保

RankBlockchainHighest TPS
1Solana1,053.65
2Sui854.05
3BSC378.27
4Polygon190.39
5TON175.46
6Tron159.61
7Near117.84
8Avalanche89.16
9Cronos72.19
10Gnosis65.57
TPS(2024年時点):コインゲッコー

Suiが特に注目される理由の一つが、トランザクション(取引)の処理速度が非常に高速であることです。Suiは独自のブロックチェーンアーキテクチャにより、多数の取引を並列処理することが可能で、その処理能力(スループット)は最大で毎秒約30万件にも達します。これはイーサリアムの毎秒約20~30件の処理性能と比較すると圧倒的に優れています。

実際に、テスト環境では1秒間に約29.7万件(0.39秒で1万件)のトランザクション処理に成功しており、レイヤー1ブロックチェーンの中でSolanaに次いで高速と評価されています。

高速処理を可能にする技術のポイント

Suiの高速処理を支える鍵は「オブジェクト中心のデータモデル」と「部分的なコンセンサスの省略」にあります。

従来のブロックチェーン(ビットコインやイーサリアム等)は、すべての取引を逐次(一列に)処理するため、スループットに限界がありました。一方で、Suiでは資産や情報を個別の「オブジェクト」として管理し、それぞれ独立して履歴を追跡します。そのため、取引同士が独立していれば、並列で同時処理が可能となります。

例えば、ユーザーAからBへの送金とユーザーCからDへの送金は同時並行で処理され、取引の順序を付ける必要はありません。これを「因果順序 (casual order)」と呼び、Suiはこうした単純取引(シングルライター・トランザクション)に対し、従来のようなグローバルコンセンサス(合意形成)を省略し、バリデータの多数決で即時確定しています。

その結果、通常の送金やNFT発行などのシンプルな取引は、ほぼ瞬時に確定(ファイナリティ)します。

コンセンサスが必要な複雑取引への対応

ただし、複数のユーザーで共有する資産(共有オブジェクト)を扱う取引(DEXでのスワップ取引やマルチシグ資産の変更など)は、「複雑取引」として従来通りのコンセンサスが必要です。

その際、Suiは「Narwhal & Bullshark」という二段階の高度に最適化されたコンセンサスエンジンを利用します。

  • Narwhal:各バリデータが提案した取引をプールし、データの可用性を担保する役割。
  • Bullshark:BFT型(ビザンチン耐性)コンセンサスを用いて、最終的な取引順序を決定。

この仕組みにより、高速かつ効率的に取引の順序合意を実現しています。最新の研究では、この方法により毎秒40万件以上の取引処理が可能と報告されています。

実績が示すSuiのスケーラビリティ

2024年11月時点で、Suiの累積処理取引数は25.8億件を突破し、イーサリアム(約25.7億件)を上回るなど、その実力が証明されています。

将来的にブロックチェーン利用者が数億~10億人規模に拡大することを見据えると、Suiのような高性能チェーンはWeb3の大衆化を支える重要なインフラとなる可能性を秘めています。

2. 低コストで安定した手数料 ─ ガス代高騰を解決

Suiが注目される第2の理由は、取引にかかる手数料(ガス代)が低く、安定していることです。

ビットコインやイーサリアムでは、ネットワークが混雑すると送金手数料が急激に上昇し、数千円から数万円になることも珍しくありません。特にイーサリアムは、DeFiやNFTブームでガス代が数万円単位になることがあり、小口送金には使いづらいとの指摘が出ています。

一方、Suiは高速かつ並列処理により取引の渋滞(スループット不足)を防ぎ、需要増加による手数料高騰を根本的に抑えています。取引を並行処理することで、ネットワークの処理容量を大幅に拡張。需要が増えても手数料が急激に跳ね上がらない仕組みです。

安定したガス代を支える独自のトークノミクス

Suiは独自の経済モデル(トークノミクス)でガス代を安定させています。ガス料金はネットワーク需要に応じてアルゴリズムで自動調整され、検証者(バリデータ)の報酬も安定する設計です。

需要増大時にはバリデータがマシンリソースを増強し、手数料単価を上げなくてもより多くの収益を得られる仕組みになっています。このため、ネットワーク混雑時でもガス代は安定し、ユーザーは安心して取引を続けられます。

実際、Suiの送金や基本操作に必要なガス代は数円以下に抑えられています。また、将来のデータ保管コストに備え、過剰な手数料収入をストレージファンドとして蓄積する仕組みもあり、ユーザーの負担を将来世代に先送りしない工夫がされています。

ガス代をユーザーが負担しない「代理支払い」の仕組み

さらにSuiには、ガス代をユーザーが直接支払わずに済む「Sponsored Transactions(代理支払い)」という機能もあります。これはDApp(分散型アプリ)の開発者がユーザーに代わってガス代を支払えるようにする仕組みです。

これによりユーザーは取引時の手数料を意識せず、従来のWebサービスと同じ感覚でSui上のアプリを利用できるため、「Web3を無料のような感覚で使える」ユーザー体験を提供しています。

3. 初心者にも優しい使いやすさ ─ Web2並みのユーザー体験

第3の理由は、初心者でも使いやすい設計が随所に施されていることです。Suiは「Web3の利点をWeb2並みの使いやすさで提供する」ことをコンセプトに掲げ、初めてブロックチェーンを使うユーザーでもスムーズに利用できるよう工夫しています。

既存サービスと同じ感覚でログイン可能(zkLogin)

Suiでは、GoogleやApple、Facebookなど既存サービスのアカウントでログイン可能な「zkLogin」という認証機能を導入しています。この技術はゼロ知識証明(ZKP)を利用しており、ユーザーは複雑な秘密鍵やニーモニックフレーズを管理する必要なく、安全かつ簡単にブロックチェーンを利用できます。

公式ウォレットで簡単操作

また、公式ウォレットアプリ「Sui Wallet(現:Slushウォレット)」も提供しています。これはブラウザ拡張やスマートフォンアプリで手軽に使えるウォレットで、トークンの送受信はもちろん、NFTの表示やステーキングも直感的に操作できます。

特にステーキング機能は、ボタンクリックだけで報酬を獲得できる簡単なUIになっており、初心者でも気軽に利用可能です。

標準化された技術規格で一貫したユーザー体験

さらにSuiは、NFT表示に関する統一規格(オブジェクト表示スタンダード)や、柔軟なロイヤリティ設定が可能なマーケットプレイス標準(Kiosk標準)を定めています。これにより、ユーザーは統一的かつ使いやすい環境で、資産やマーケットを利用することが可能です。SUI財団のマネージングディレクターであるクリスチャン・トンプソン氏はBeInCryptoへの独占インタビューに対し以下のように語っています:

Web2とWeb3は融合していくと考えている。Web3がWeb2を乗っ取ったり、完全に置き換えるのではなく、自然な形で融合していくだろう。AI(人工知能)とブロックチェーン、AR/VR(拡張現実/仮想現実)、ロボティクスといった異なる技術はすでに融合し始めている。これにより、自身のコンテンツ、医療記録、データの所有権を求める人々からの需要が生まれている。コンテンツクリエイターは収益化のコントロールを求め、消費者は自身の情報の出どころを知りたいと考えるだろう。

以上のように、Suiは初心者がブロックチェーンを意識せずに快適に使えるよう、多面的なユーザー体験の向上を追求しています。この初心者フレンドリーな設計が、今後さらに多くのユーザーを引き付ける要素になると期待されています。

ビットコイン・イーサリアムとの違い|旧世代との比較

イーサリアム価格が下落、クジラの売却によりETH/BTCが2020年の安値に

ここまでの説明のとおり、Suiは高速・低コスト・高利便性を兼ね備えた次世代型ブロックチェーンです。ビットコインやイーサリアムと具体的に何が違うのか、簡潔にまとめました。

比較項目ビットコイン (BTC)イーサリアム (ETH)Sui (SUI)
世代第1世代(価値の保存)第2世代(スマートコントラクト)第3世代(高性能L1プラットフォーム)
合意形成PoW(マイニング)PoS(ステーク, 2022年以降)DPoS(委任型PoS)
スマートコントラクト不可(スクリプトのみ)可(Solidity + EVM)可(Move言語 + オブジェクトモデル)
処理性能約7件/秒約25件/秒(L2で拡張)数千~数万件/秒(理論値30万TPS)
手数料高い(混雑時に数千円以上)高い(需要増で急騰)極めて安い(数円以下で安定)
取引確定時間約10分(1ブロック)約12秒(1ブロック)1秒未満(単純取引は即時確定)
主な用途デジタルゴールド・決済手段DeFi・NFT・DApps基盤ゲーム・NFT・高速DeFiなど

ビットコインは「価値の保存・決済手段」に特化、イーサリアムは「スマートコントラクト導入によるDApps基盤」の地位を築きましたが、処理性能や手数料面に課題があります。

一方、Suiはこれらを克服するために設計され、高速処理・低コスト・使いやすさという明確な利点を持ち、次世代の基盤となり得ます。

技術面での違い:Move言語とオブジェクトモデル

イーサリアムはSolidity言語とEVMを採用しますが、SuiはMove言語と独自のオブジェクトモデルを使用しています。
Move言語は資産の所有権や二重支払い防止が言語レベルで組み込まれており、Solidityより安全性が高いとされています。そのためSuiは、バグやハッキング対策の面でも安心できる環境を提供します。

Suiが抱える課題と今後の展望

ただし、後発であるSuiには課題もあります。

  • ネットワークの分散化度(バリデータの数や地理的分布)
  • エコシステム(DAppsやDeFi)の成熟度

現在のDeFi預かり資産(TVL)やユーザー数ではイーサリアムに及びません。したがって、Suiが「第3の柱」となるには、今後の実績の積み上げが不可欠です。

広がるSuiのユースケースと将来展望

DeFi・NFT・ゲーム分野で拡大中

Suiは、金融(DeFi)からエンタメ(ゲーム・NFT)まで多彩な用途で活用が期待されています。

  • DeFi分野では、Cetus(DEX)、SuiLend(レンディング)などが登場し、エコシステムが急速に拡大中です。
  • ゲーム分野では、Abyss WorldやRun Legendsなど、NFTや健康促進を組み合わせたゲームが開発されています。

特にゲーム分野では、ガス代代理支払いや高速処理により、従来のブロックチェーンゲームの課題(遅延・コスト高)を克服できます。実際、大手ゲーム制作会社Orange Comet社とMysten Labsが提携し、ウォーキング・デッドを題材としたゲームなど、高品質なゲームが開発中です。

Aptosとの競争関係

Suiと同様、Meta社のDiem開発者が設立した「Aptos」もMove言語を使用する競合プロジェクトです。両者とも性能と開発者体験(DX)を重視しており、今後の競争が注目されます。

日本市場での位置づけと規制対応

SUIトークンは日本でも異例の速さで上場しました。現在、日本国内では以下の取引所で購入可能です。

  • OKCoin Japan:ステーキングサービス対応
  • BitTrade:積立購入やレンディングにも対応
  • BITPoint:ステーキング可能
  • Binance Japan:銘柄数最多、初心者向けの販売所あり

SUI購入時の注意点と安全管理方法

  • 必ず金融庁登録済みの取引所を利用する。
  • 購入後は二段階認証を設定し、不正ログイン対策を徹底する。
  • フィッシング詐欺に注意し、不審なメールや連絡には応じない。
  • 長期保有の場合は取引所に預けっぱなしにせず、公式ウォレット(Slushウォレット)やハードウェアウォレット(Ledger)に移して安全管理を行う。

関連記事:海外の暗号資産取引所を利用するのは違法か?

税務上の留意点

上記のポイントを守れば、日本国内でも安心してSUIに投資・参加することが可能です。

まとめ:仮想通貨Suiが第3の注目銘柄になる可能性は大いにある

Suiは高速な処理性能や低く安定した手数料、そして初心者にも使いやすい設計で、Web3の普及を後押しする次世代のブロックチェーンプラットフォームとして注目されています。国内での迅速な上場や企業提携によるエコシステムの拡大も進み、競合プロジェクトとの競争や分散化などの課題を克服できれば、今後の暗号資産市場を牽引する存在となる可能性は十分あるでしょう。引き続き、その動向に注目です。

ベスト暗号資産取引所
Bitget Bitget 見る
Phemex Phemex 見る
Margex Margex 見る
Bybit Bybit 見る
Coinrule Coinrule 見る
ベスト暗号資産取引所
Bitget Bitget 見る
Phemex Phemex 見る
Margex Margex 見る
Bybit Bybit 見る
Coinrule Coinrule 見る

Follow us on:

X(Twitter):@BeInCryptoJapan
Telegramチャンネル:@BeInCrypto Japan オフィシャルチャンネル

免責事項 - Disclaimers

当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報をもとに読者が取る行動は、あくまでも読者自身のリスクで行うものとします。「Learn」サイトでは、質の高い情報を提供することを第一に考えています。私たちは、読者にとって有益な教育的コンテンツを特定し、調査し、作成するために時間をかけています。この基準を維持し、素晴らしいコンテンツを作成し続けるために、私たちのパートナーは、私たちの記事への掲載に対して手数料を支払う場合があります。しかし、これらのコミッションは、偏りのない、誠実で有益なコンテンツを作成するためであり、私たちの活動プロセスに影響を与えることはありません。

Shota-Oba.png
国際関係の大学在籍中に国内ブロックチェーンメディアでのインターンを経て、2つの海外暗号資産取引所にてインターントレーニング生として従事。現在は、ジャーナリストとしてテクニカル、ファンダメンタル分析を問わずに日本暗号資産市場を中心に分析を行う。暗号資産取引は2021年より行っており、経済・社会情勢にも興味を持つ。
筆者の紹介を全文表示
スポンサー
スポンサー