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ガス代が安価で高速な分散型取引所ZKSwapとは

28 mins

DeFi(分散型金融)の普及とともに、分散型取引所(DEX)を利用するユーザーの数は増えています。ZKSwapは、ZKロールアップという複数のトランザクションをひとつのバッチにまとめて(ロールアップする)、オフチェーンで実行する技術を使い、DeFiにおけるトランザクションの高速化と低手数料を実現し、ユーザーエクスペリエンスを向上させています。今回は、イーサリアム(ETH)ベースの取引所であるZKSwapの仕組みや特徴、メリット&デメリットなどについて解説します。

ZKSwapとは?

由来

ZKSwapは、ZK(ゼロ知識)ロールアップ*を使用し、自動マーケットメーカー(AMM)機能を持つイーサリアムベースの分散型取引所です。現在は、レイヤー2プロトコルであるZKSpaceの一部となっています。なおZKSpaceには、NFTマーケットプレイスZKSeaと決済サービスZKSquareが含まれます。

注)ZKロールアップ:トランザクションを集約してオフチェーンで処理し、生成した暗号証明のみを親ブロックチェーン(ベースレイヤー)に保存する技術。ゼロ知識証明を使用し、処理コストの高いデータをオフチェーンで処理してコストを大幅に削減する。
ゼロ知識証明:一方の当事者がある主張を証明したいときに、他方の当事者に対して、その主張が正しいということ以外の情報を与えずに証明する方法

L2 Labs Foundationは2021年2月、イーサリアムのスケーラビリティ問題(処理速度の低下と手数料増加の問題)を解決するため、ZKSwapのメインネットを立ち上げました。L2 Labsはその5カ月後、メインネットのバージョン2を展開し、アップデートを通じて多くの機能をユーザーに提供しました。

ZKSwapは、2021年2月にメインネットを立ち上げた後、急速に成長しました。同プロジェクトは2021年7月に総取引高が約115億ドルに達し、8万7,000人のユーザー数を獲得しました。

  • ZKロールアップ:トランザクションを集約してオフチェーンで処理し、生成した暗号証明のみを親ブロックチェーン(ベースレイヤー)に保存する技術。ゼロ知識証明を使用し、処理コストの高いデータをオフチェーンで処理してコストを大幅に削減する。
  • ゼロ知識証明:一方の当事者がある主張を証明したいときに、他方の当事者に対して、その主張が正しいということ以外の情報を与えずに証明する方法

担当チーム

L2 Labsの開発責任者はアレックス・リー氏です。CoinMarketCapによると、同氏はスマートコントラクトの開発とゼロ知識証明の研究で経験を積んだとのことです。リー氏は、プロトコルの開発と発展を担う専門家チームを率いています。

資金調達

L2 Labsは、ZKSwapのメインネット立ち上げ時に、170万ドルの資金援助を受けました。この資金ラウンドの参加者は、Longling Capital、FBG Capital、Bixin Capitalでした。彼らは2020年11月にシードマネー(ビジネスの初期段階で必要となる資金:立ち上げ金、種銭)を調達しました。

ロードマップ

L2 Labsは2023年5月中旬時点で、いくつかのタスクを今後の実施リストに入れていますが、2023年の第1四半期と第2四半期には、ZKSwapをZKSync Era(レイヤー2プロトコル)に展開しました。ZKSync Eraは、イーサリアム仮想マシン(EVM)と互換性のあるZKロールアップです。L2 Labsはまた、そのトークンであるZKSをアップグレードし、デュアルエコシステム・ガバナンストークン(ZKSpaceとZKSyncに属するガバナンストークン)にする予定です。

L2 Labsは、2023年第3四半期と第4四半期に、ZKSwap V2のリリースを予定しています(これは後にZKSyncバージョンとなる予定)。加えて、ZKSync Era上でゼロ知識証明(ZKP)のマイニングシステムなどを作成する予定です。

ZKSwapの仕組み

概要

ZKSwapは、レイヤー1のブロックチェーンのスケーリング(ネットワークの規模が拡大しても機能する能力)を支援するレイヤー2ソリューションである、ZKロールアップに基づいています。DEXであるZKSwapは、このソリューションを用いてトランザクションをオフチェーンに移動して高速処理を実現しています。その後、ZKロールアップはZK-Snarksと呼ばれるゼロ知識証明を作成し、それを最終的な検証用としてレイヤー1に提示します。

ZKSwapのコンポーネント

ZKSwapは、オンチェーンのスマートコントラクト、オフチェーンのサーバー、ゼロ知識証明システムで構成されています。このプロトコルは、イーサリアム上に複数のスマートコントラクトを展開し、レイヤー1をオフチェーンのZKSwapサーバーにリンクしています。これらのスマートコントラクトはトークンを保管し、またレイヤー2の更新と証明を記録・検証します。

一方、ZKSwapサーバーは、オフチェーンですべてのトランザクションを処理します。これには、mempool(ユーザーによって送信されたトランザクションが一時的に置かれる場所)、swap engine(異なる暗号資産を送受信できる機能)、block proposer(特殊ブロックを作成するために選ばれたバリデータ)、state keeper、committer、prover serverが含まれます(これらの処理の流れは以下参照)。

ZKSwapプロトコルは、有効なトランザクションの要求をmempoolに送信します。次に、swap engineがそれらを処理します。 block proposerはトランザクションをロールアップして新しいブロックを生成します。この後、state keeperはレイヤー2ネットワークの状態を更新し、それをcommitterに送信します。その後、committerはprover serverと交信し、対応するトランザクションの証明を取得します。そして、証明とネットワークの状態をイーサリアム上のZKSwapスマートコントラクトに送信します。このようにして、ZKSwapはPLONKとして知られるゼロ知識証明アルゴリズムを使った証明を生成します。

流動性の追加と解除

ユーザーは、トークンをレイヤー2上の既存のプール(暗号資産が集まった場所)に預ければ、ZKSwapの流動性プロバイダー(LP)になれます。また代替手段として、デジタル資産のペア用に新しい流動性プールの作成も選択できます。流動性プロバイダーは、プールに流動性を提供する見返りにLPトークンを受け取ります。さらに、トレーダーがプロトコルに支払うトランザクション手数料の0.25%が得られます。プロトコルは、流動性を解除する際にはLPトークンをバーン(焼却)し、LPに預けたトークンの引き出しができるようにします。

トークンのスワップ

LPが持つデジタル資産は流動性があることから、トレーダーはトークンのスワップ(交換)ができます。このスワップ取引はレイヤー2の流動性プールで行われますが、そこではトレーダーはあるトークンを送信した後、別のトークンで受け取るかたちになります。

コミュニティのコンセンサスメカニズム

ユーザーは、ZKSwapコミュニティのマイニングにかかるコンセンサスメカニズムを通じてZKSwapのシステムに参加できます。コミュニティが参加するメカニズムには、以下の4つの種類があります:

PoL(Proof-of-Liquidity)マイニング

PoLマイニングでは、流動性プロバイダーは、ZKSwap上で流動性を提供してZKSトークンを受け取ります。

PoG(Proof-of-Gas)

PoGでは、ガス代プロバイダーがユーザーのガス費用を支払い、その代わりに、ZKSトークンを報酬として受け取ります。この仕組みにより、ユーザーは低コストでトランザクションの実行ができます。ガス代プロバイダーになるには、ZKSwapのスマートコントラクトにETHを預ける必要があります。

PoZK(Proof-of-ZK-snarks)

PoZKにより、ユーザーはZK-Snarksを生成に必要な(マイニングの)計算パワーを提供します。それと引き換えに、ネットワーク参加者であるユーザーは報酬としてZKSトークンが得られます。

PoT(Proof-of-transFee)

PoTは、ユーザーが毎日支払うトランザクション手数料に応じた報酬を、ユーザーに支払うことで、ZKSwapの利用を促進します。

ステーキング

ZKSwapは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)を活用しており、ZKSの長期保有者がスマートコントラクトにトークンをロックしてステークするインセンティブを与えています。そうすることで、ユーザーはセキュリティの確保に寄与しますが、代わりにステークしたトークン数に応じて報酬が得られます。

ZKSwapの主な特徴

主な特徴:ZKSwap

ゼロ知識(ZK)ロールアップ

ZKSwapプロトコルは、ZKロールアップにより、レイヤー2上のトランザクションをリアルタイムで実行します。次に、トランザクションを束ねて「ロールアップ(集約)」し、ゼロ知識証明を生成します。この方法によって、トランザクションは即座に検証できます。その結果、ユーザーは1ブロックの検証時間を経る必要がなくなり、取引時間が短縮できます。

セルフカストディ

ZKSwapは分散型取引所であり、中央集権型暗号資産取引所のようにユーザーのためにデジタル資産の保管はしません。ユーザーはその代わり、自分自身で管理するセルフカストディウォレットをDEXに接続します。またユーザーは、従来の取引所でKYC(本人確認)データの提供が求めらる際に必要となるアカウントの登録や、個人情報の提供も必要ありません。

スマートコントラクト

ZKSwapはAMM(自動マーケットメーカー)モデルを使用しています。つまり、トークンのスワップを促すため、中央集権的なマーケットメーカーという仲介者の代わりにスマートコントラクトを使用しています。また、オンチェーンのスマートコントラクトは、イーサリアムとオフチェーンのZKSwapサーバーに接続しています。これらのコントラクトは、(ロールアップによる)状態の変化や(存在や真正性の)証明を記録し、検証します。

ZKSwapのメリット、デメリット

メリット

  • ZKロールアップは、トランザクションをオフチェーンに移動させ、高速処理を行う
  • プロトコルは、レイヤー2上のトランザクションをリアルタイムで実行するため、ユーザーは1ブロックにかかる検証時間がかからなくなる
  • ZK Swapはノンカストディアル対応のため、ユーザーは自分自身でデジタル資産を保管できる
  • PoGにより、ユーザーのガス代が削減される
  • コミュニティのコンセンサスメカニズムはパッシブインカム(受動的な収入)の元になる

デメリット

  • ZKSwapは、複数の証明メカニズムを使用しているため複雑な構造になっている。
  • 規制動向が不透明。DEXには規制当局が関与しないと見る向きもあるが、米国SEC(証取引委員会)の見解によってそうではないことが明らかになった。
  • ZKSwapは比較的新しい技術に基づいており、その長期的な持続可能性と導入はまだ完全なテストや証明がなされていない。

ZKSトークン

トークノミクス

ZKSはERC-20トークンで、最大供給量は10億個のトークンに固定されています。ZKSwapプロジェクトは、ZKSトークンの60%をコミュニティのマイニング活動、15%をZKSwapチーム、8%をエコシステムの開発者と育成に割り当て、ネットワークの発展と持続可能性の継続的なサポートを実現しています。

また、トークンの6.7%はエンジェル投資家、5.3%は資金調達ラウンドAの見込み投資家、加えて、 initial liquidity(資金調達の新手法)用に4%、アドバイザーに1%にそれぞれ分配される予定です。ZKSwapの経済ホワイトペーパーによると、トークン分配戦略の一環として、ZKSwapプロジェクトはZKSトークンの立ち上げ後4年以内にそのロックを解除する予定とのことです。

トークン価格

この記事を書いている時点では、ZKS価格は0.04ドルです。これは、11.37ドルの史上最高値(ATH)から99.56%下落しています。ZKSは2021年2月25日にこの最高値を記録しました。トークンの時価総額は、本記事執筆時点で9,739,006ドルでした。

ZKSは、2021年を通じてスタート価格の0.35ドルを上回って取引されました。しかし、弱気相場となった2022年にこの価格を下回ったまま、現在まで回復していません。以下は、スタート以来のZKSの値動きを示すグラフです。

ZKSのスタート以来の値動き:CoinMarketCap

エアドロップ

L2 Labsは、メインネット立ち上げ前の2021年1月に最初のエアドロップを行ない、約,7000万ドル相当の4,000万ZKSトークンを配布しました。さらに2021年2月、8,000万トークンをZKS保有者にエアドロップしました。L2 Labsは同年末、CoinMarketCapで別のエアドロップも行いました。その時は15万個のZKSトークンが配布されました。

トークンの用途


ZKSトークンの用途は以下の通りです:

コミュニティのコンセンサスメカニズムに基づく報酬の支払い

コミュニティのマイニングにかかるコンセンサスメカニズムへの参加者は、ZKSトークンで報酬を受け取ります。

ステーキング

ステークをするユーザーは、ZKSトークンをロックしてステーキング報酬が得られます。360日間ZKSをステークしたネットワーク参加者は、コミュニティのガバナンストークンである「gZKS」が得られます。これは、ユーザーが提案をしたり、賛成または反対票を投じるために使われます。トークン保有者がガバナンス提案を行うには、50,000gZKSトークン以上の保有が必要になります。

互換性のあるウォレットの種類

ZKSwapは、MetaMask、コインベースウォレット、BitKeep、OKXウォレット、WalletConnect対応ウォレットをサポートしています。これらのウォレットでは、ユーザーは流動性の追加や作成、トークンのスワップ、レイヤー1からレイヤー2へのトークンの移転(またはその逆)を行えます。加えて、ユーザーは自分のデジタル資産を完全にコントロールできます。言いかえれば、ユーザーは自分のウォレットのセキュリティに責任を持つ必要があります。

ZKSwapはDeFiのアクセシビリティを促進

ZKロールアップは、技術者以外の者にとっては複雑ですが、ZKSwapはこれをうまく利用して、多くの点でユーザーエクスペリエンスの向上を図っています。トランザクションスピードの高速化と低いガス代の提供もその一環です。ZKSwapは現状では、1秒間に約100件の取引を運営できます。こうした処理能力は、ネットワークが発展し、開発チームのアップグレードが重なるにつれてさらに上昇するとみられます。ZKSwapは魅力的な分散型取引所として、今後数ヶ月から数年にかけてその動向が注目されます。

よくある質問

ブロックチェーンにおけるZKの意味とは何ですか?

ZKコインとは何ですか?

ZKのメリットは何ですか?

ZKSwapはイーサリアムとどのように連携しているのですか?

ZKSwapのエコシステムにおいて、ZKSトークンはどのような役割を担っているのでしょうか?

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Takashi Higashi
国際広報、海外の先端技術調査、海外企業との提携等をこれまで行ってきました。ここ数年、暗号資産に関心を持ってウオッチしています。
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