北朝鮮は新型コロナウイルス対策、原子炉安全、戦争シミュレーション、政府監視など多岐にわたる分野でAIと機械学習の開発を推進している。ロイター通信が24日、詳細を報じた。米カリフォルニア州のジェームズ・マーティン非拡散研究センターのヒュック・キム氏によるレビューでは、国際制裁がAIハードウェア獲得を妨げた可能性があるが、北朝鮮は最新技術の導入を図っていると指摘している。
キム氏は「国営メディアやジャーナルからの情報を基に、北朝鮮のAI/ML(機械学習)開発は同国のデジタル経済強化のための戦略的投資である」と述べた。AIとML(機械学習)は物理的な形を持たない技術であり、データやソフトウェアとして伝達できる(無形技術移転、ITT)。報告書ではこの性質により、国際的な制裁や規制を避ける可能性があると指摘。このため、学術界や民間部門では、AI/ML技術の移転や使用に伴う潜在的リスクを監視し、必要に応じて対応策を講じることが重要であるとした。報告書ではまた、北朝鮮のAI研究者が中国を含む外国の学者と連携している事例も明らかにしている。13年に設立された人工知能研究所を軸に近年、北朝鮮の複数企業がAI搭載製品の販売を進めている。
北朝鮮では通信技術が厳格に制限・監視されている。新型コロナウイルスによるパンデミックに際し、AIを活用してマスク使用の効果的なモデルを開発し、感染の臨床症状指標の優先順位付けに役立てた。さらに、原子炉の安全維持にAIを用いる研究も進めている。
米国防省、中国による軍事目的のAI開発に懸念
米国防省は23年10月の年次報告書で、中国の軍事戦略と近代化における人工知能(AI)の重要性を強調し、米中のAI軍拡競争の可能性に懸念を示した。同報告書では、人民解放軍(PLA)が強敵に対し勝利する能力を高めるための能力開発を加速していると警告している。PLAが「多領域精密戦争」(MDPW)という新しい作戦概念を議論し、AIとビッグデータを用いて米国の作戦システムの脆弱性を特定し、それらの弱点に対する精密攻撃を目指すことが記されている。
報告書はまた、中国がAIを優先する国家レベルの科学技術開発分野と位置付け、25年までに西側諸国を追い越し、30年には世界のAIリーダーになることを目指していると指摘。中国の現在の戦略ガイドラインは、19年の白書「新時代の中国の国防」で概説されており、PLAが防衛、自衛、報復対応に焦点を当てていることが記されている。また、情報化された地域戦争についての研究も進められており、AIの軍事応用とデータ、アルゴリズム、計算能力の重要性が強調されている。
一方で日本政府は1月、AIの安全性を担う新組織「AIセーフティーインスティテュート」の設立を予定している。同組織は、生成AI開発企業の軍事転用などを含む安全性の評価基準策定や偽情報対策技術の研究に取り組む。民間の専門家とともにAI製品の検証体制を整備する。本稿執筆時点でホームページは準備中となっている。
Follow us on:
X(Twitter):@BeInCryptoJapan
Telegramチャンネル:@BeInCrypto Japan オフィシャルチャンネル
免責事項 - Disclaimers
当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報に基づいて行う一切の行為については、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。