トラスティッド

規制下におけるステーブルコインの躍進=IVC Summit 2025

8分
投稿者 Shigeki Mori
編集 Shigeki Mori

台北のベンチャーキャピタルInfinity Ventures Crypto (IVC)が主催するWeb3カンファレンス「IVC Summit 2025」が2日、京都市内で開催された。7つのパネルディスカッションが用意される中、注目を集めたのは「イノベーションか停滞か?規制下における日本のステーブルコイン大実験」と題したディスカッションだ。

登壇したのは、神本侑季氏(コインデスクジャパンCEO)、牛田遼介氏(金融庁・イノベーション推進室長)、金森伽野氏(ソニー銀行DX事業企画部長)、岡部典孝氏(JPYC株式会社CEO)、千野剛司氏(バイナンス・ジャパン代表)の5人。

ディスカッションでは、2025年上半期のWeb3業界で最も話題となったステーブルコインをテーマに議論した。ステーブルコインの時価総額は40兆ドルと急成長し、USDCを発行するサークル社の大規模なIPOも話題となったばかりだ。

千野氏は「ステーブルコインの成長率は非常に高いものの、その97%が米ドル建て。トランプ政権になり、法的な枠組みを整備しようという動きがあり、特にステーブルコインに焦点が当てられている。アマゾンやウォルマート、JPモルガンといった巨大企業も参入を発表している」と概況を語った。

世界に先駆けて法制化した日本=伝統的金融への影響は

そんな中、日本は米国よりも早く、2017年ごろには暗号資産の法制化に踏み切っていた。金融庁の牛田氏は「価値が安定したステーブルコインは決済手段として使われるだろうと考えていた。資金決済法については、まさにステーブルコインを決済手段として改正を行い、枠組みを導入した。銀行、市場業者、信託銀行、信託会社が関与している」と金融庁の実績を語った。

一方、日本初のステーブルコインJPYCを発行する岡部氏は、「今年6月の資金決済法の改正により、電子決済手段にも該当する前払式支払手段という微妙な立ち位置となり、発行を一時停止しているが、夏に向けて資金移動業の2種で進めている」と語った。

岡部氏によれば、JPYCの新しいバージョンをリリースするという。「パブリックチェーンで発行する準備を進めている。もう1つは信託銀行が信託型ステーブルコインに向けた動きがある」という。

また、ステーブルコインの急成長について、伝統金融への危機感について、ソニー銀行の金森氏は「サークルの動きなどを見ると、従来の決済サービスを提供してきた会社にとっては、株価下落などの危機感があると言える。一方、銀行などの金融機関としては決済手段が広がっている。お客様は決済手段となる資産を預けるところが必要になるので、規制に合わせてインフラ整備をしっかりして安心、安全なサービスを提供できる機会だとも考えている」と語った。

多角的な視点からステーブルコインの将来性について議論した

Web3の拡大にはWeb2との接続が重要に

神本氏は「牛田氏の言う『パブリック』という言葉は重要で、銀行はKYCなどにも関与しており、Web3の最も面白い部分である、パブリックな領域に挑戦しながらステーブルコインを発行することは非常にチャレンジグなこと」と語ると、金森氏は「Web3が登場した背景には、分散化がカルチャーやエコシステムの拡大につながることへの期待があった。市場は成長しているが、拡大するにつれて、いわゆるWeb2と呼ばれる既存の金融システムインフラとの接続がますます重要になってきている。そこがまさに私たちのやりたいこと」と答えた。

国債の購入とステーブルコインの結びつきは脅威にも好機にもなる

金融庁の牛田氏によれば、米国の場合、8割が国債を買う流れになっており、その結果、ステーブルコインの市場は米国が中心になっている。市場予測では数年後には400兆ドル規模に成長するとみられるステーブルコインだが、つまり300兆ドルの国債の買い需要が生まれることになる。

仮に日本円のステーブルコインが成長すれば、日本国債が買われることになる。牛田氏は「日本円は比較的信用度の高い法定通貨なので、このステーブルコインを世界中に広めていくべき。そうすると、ステーブルコインの発行体が日本国債を裏付けとして購入する流れになる。例えば100兆円の現金があれば、それはステーブルコインに変わると80兆円の国債の買い需要が生まれるということ」という。

しかしながら、牛田氏は「国際的に国債を発行・流通させ、召喚することは重要な役割となるが、流動性のミスマッチもある」と警鐘を鳴らす。

「ステーブルコインを法定通貨に換金したいという欲求も高まっているため、法定通貨を準備するための裏付け資産を得る必要が出てくる。これがファイアセールのような状況を引き起こし、課題に直面することになる可能性がある。ペッグが外れる状況になるかもしれない。そういう面でステーブルコインの規制は重要だ」

と、牛田氏は規制の重要性を強調した。

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大阪府出身。日本では雑誌編集者、読売テレビ広報記者、豪州では日系メディア編集・記者などを経てフリーに。日本とオーストラリアで20年以上、ジャーナリスト、編集者、翻訳者、ウェブプロデューサーとして活動してきた。近年は暗号資産関連の記事の執筆や翻訳、コンテンツ・マネジメントを行っている。
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