暗号資産市場で流通するトークンの95%は、本来発行する必要がなかった―8Blocksのセルゲイ・ノヴィコフ最高プロダクト責任者(CPO)は26日、多くのWeb3プロジェクトがプロダクト上の必要性ではなく、業界の慣例に従ってトークンを発行してきたと指摘した。
BeInCryptoのインタビューでは、Web3プロダクトの成長とトークン価格が連動しない理由に加え、トークノミクス監査がスマートコントラクト監査と同等の重要性を持つべきだとの見解も示している。
プロダクトが成長してもトークンが伸びない時
Web3における根強い誤解の一つは、プロダクトの成長が必ずトークン価格の上昇につながるというものだ。しかし、ノヴィコフ氏によれば、両者は必ずしも自動的に連動しない。
「ユーザーやTVL(総預かり資産)、売上、高い取引数などを誇るプロダクトでも、トークンの価値にはまったく寄与しない場合がある」と同氏はBeInCryptoに語った。
鍵となるのは、そのトークンが実際にプロダクトの生み出す価値を取り込めているかどうかという点である。8Blocksは、プロダクト活動がどれだけ直接的にトークン需要へ結びつくかを測る「トークン・プロダクト連動性」という概念を基軸に独自の評価手法を構築している。同社はこれを用いて、トークンモデルを評価し構造的リスクを特定している。
創業者や投資家が問うべきポイントは明確だ。プロダクトの成長によって、なぜトークンが一層有用になり、需要が高まるのか。もし明快な答えがなければ、そのトークンは事業と切り離されている可能性が高い。
投資家が購入前に注視すべき警告
ノヴィコフ氏は、新規トークンへの投資判断時に注視すべき警告としていくつかのポイントを挙げる。ホワイトペーパー上だけで説明された弱いユーティリティは、繰り返される課題だ。紙面では魅力的でも、実際にトークンが導入されると何も価値を生み出さないケースが多い。
その他の警告としては、高い完全希薄化後時価総額(FDV)に対し流通量が少ないこと、明確な将来需要の裏付けがないままロック解除が大型で予定されていること、自前のトークンがなくてもプロダクト自体が正常に機能してしまうことなどが挙げられる。さらに、需要の大半が報酬やエアドロップ、投機から生じている場合も要注意だ。
本質的なテストは至って単純だ。プロダクトはトークンなしでも利用可能か。それが「可能」であれば、ホワイトペーパーでは解決できない構造的問題がある。
トークノミクス監査が次の業界標準となる理由
多くのチームは、ノヴィコフ氏によれば、トークンの発行イベント(TGE)を成功させることに過度に注力し、その後数カ月・数年にわたってトークンを維持・発展させる取り組みに手を抜く傾向がある。TGEは1日の出来事だ。健全なトークン需要には、長期的な設計が不可欠である。
「プロジェクトのコードは安全でも、経済モデルが破綻しているケースがある」とノヴィコフ氏は指摘する。
同氏は、現在では信頼できるプロジェクトには欠かせなくなったスマートコントラクト監査と同様に、トークノミクス監査も標準化されるべきと説く。経済監査を公表するチームは、ローンチ当日だけでなく長期的にトークン価値の維持を重視しているというコミュニティへの強いメッセージになる。
8Blocksは、Web3のチームと共にトークノミクス設計や監査、改善に取り組む。トークンの発行自体が妥当かどうかについてもプロジェクトへ助言している。ノヴィコフ氏は、こうした問いかけがより多くの創業者に求められると考える。8BlocksはXで情報やリサーチも発信している。









