大手IT企業の決算発表ウィークは異例の展開で幕を閉じた。多くの企業がウォール街の予想を上回ったものの、ほぼすべての株価が下落し、2営業日で数千億ドル規模の時価総額が消失した。
見出しでは分からない4つのシグナルが結果をより正確に説明する。株価の反応、資金フロー、オプションの持ち高、アナリストの見通し修正が、今週の勝者を示している。
なぜ今週の大手IT企業決算は重要だったのか
主力7社が4日間で決算を発表した。テキサス・インスツルメンツが7月21日に口火を切り、アルファベット、テスラ、IBM、ServiceNowが7月22日に続いた。インテルとSAPが7月23日に最終組として発表した。
今週は、AIへの大規模な設備投資が本格的な検証の時期を迎えたタイミングでもあった。決算発表前には、テック株売却を呼びかける声があがっていた。投資家はデータセンターへの過去最高規模の予算が利益に結びついているか証明を求めていた。
解説者らは、この超大型グループが1日で8000億ドルを失ったと推計した。2025年4月以来最悪となる規模。
いまや、決算の利益よりも投資ガイダンスの内容が、これら銘柄の株価により大きな影響を与えている。
今週の勝者は誰か
今週を経て強さを増したのは2銘柄だけだった。一方は業績で大きく勝ち、もう一方は静かにポジション面で勝利を収めた。
インテル
インテルは決算で完勝した。売上高は161億ドルで前年比25%増、約15年ぶりの成長速度となった。1株当たり利益は0.42ドルと市場予想の2倍。発表後、株価は時間外取引で12%超上昇した。
ただし資金の動きは慎重だった。機関投資家のフローを示すChaikin Money Flow(CMF)は決算発表前で−0.13。
Barchartによると、プット/コールのオープン・インタレストは0.96を示した。インテルの通常値である0.6〜0.75に比べ、明確に弱気ヘッジが増加していた。
アナリストは目標株価を引き上げたが、格付けは据え置いた。モルガン・スタンレーは84ドルで「ホールド」を継続し、JPモルガンは85ドルで「売り」を維持した(TipRanks調べ)。
ServiceNow
ServiceNowは決算発表後の取引で3.7%下落し、一見敗北のように見えた。しかし詳細を見ると状況は異なる。利益で市場予想を上回り、サブスクリプション売上は24.5%増。見通しも引き上げた。
CMFは−0.10まで低下し、大口資金の回復シグナルはまだ出ていない。
しかし、決算発表後にプット/コール比率は出来高で0.54から0.42、オープン・インタレストで0.83から0.80へ低下。強気の仕込みが進んだことを示した。
バーンスタインとエバーコアが目標株価を引き上げ、キーバンクのみが「売り」継続。市場ではこの下落を買い場とみなした形となった。
今週の敗者は誰か
今週の敗者には共通の弱点があった。それは需要の弱さではなく、過度な支出だった。市場は業績の不振よりも巨額支出を厳しく評価した。
テスラ
テスラは4つすべての指標で不達成となった。1株当たり利益は0.33ドルで市場予想の0.51ドルを下回り、フリーキャッシュフローはマイナスに転落した。設備投資額は142%増となった。株価は14.5%下落し、1年以上ぶりの大幅安となった。決算発表を控えた1週間の緊張感が反映された格好。
資金フローも悪化が確認された。CMFは−0.06から−0.12へと低下し、過去最高の納車台数にもかかわらず売り圧力が強まった。
プットの出来高は0.78倍から0.83倍に増加し、JPモルガンやUBSを含む少なくとも6社が目標株価を引き下げた。
アルファベット
アルファベットは今週最も良好な決算を発表したが、株価は下落した。7月決算では売上高が24%増の1198億ドルとなり、クラウド事業は82%成長したことがCNBCによって報じられた。一方で、経営陣は2026年の設備投資計画を最大2050億ドルに引き上げ、株価は7.1%下落した。
この大規模投資により、四半期ベースのフリーキャッシュフローは20年以上ぶりにマイナスに転じた。アナリストによると、AI開発の先行投資を株主が負担する形となる。
資金は決算発表前に流出していた。CMFは7月20日の0.14から決算後は0.03まで減少し、機関投資家による買いが減退した。アナリストは買いを維持するも、JPモルガン、パイパー・サンドラー、UBSが目標株価を引き下げた。オープンインタレストは0.68から0.70へ微増した。
大きな決算変動を予想した投資家は、その思惑通りとなった。AI投資が注目された直後の動きである。
3銘柄が中立圏で週引け
3社はいずれも強弱が交錯し、中立で終えた。その緊張感が注目材料となる。
テキサス・インスツルメンツ:今週はJPモルガンが340ドルに引き上げるなどアナリストが強気を示したが、プットの出来高は0.38から0.76へ2倍に増えた。
一方、CMFは−0.03まで改善し、押し目を買う動きが見られた。反応はまちまち。
IBM: 決算を下回り、ガイダンスも下方修正。決算後にはモルガン・スタンレーが190ドルに目標株価を引き下げるなど、最も大きな引き下げとなった。ただ、株価はプラスで終え、CMFも−0.09まで回復した。7月14日の25%急落で既に悪材料が織り込まれていたためだ。
プット・コールレシオは上昇傾向を維持。
さらに、複数のウォール街アナリストはいまだに強気な目標を維持している。ジェフリーズは決算後も「買い」と評価した。
SAP:米国預託証券(ADR)での1株利益は市場予想を下回った。一方、クラウド受注残は27%増加した。
プット取引高は1.99から0.60へ急減した。投機筋が撤退したためだが、ヘッジ目的は1.10まで上昇した。
主なアナリスト目標値はすべて以下の通り。情報元はTipRanks。
大手テック企業の決算発表週に見られたパターンは明白だ。
現在、市場はAI関連支出を集める企業を評価し、支出側の企業は売られる展開となっている。来週は資金フローや新たなオプションデータが、インテルを今週最大の勝者と証明するかが注目点だ。









